novel

Howling-05

 耀たちが寧野(しずの)の家に到着したのは30分後だった。一時間の距離をかなり飛ばしたのだが、事態はすで収束しかけていた。そうこの時、寧野の父親寧樹(しずき)が拷問されて殺されてから一時間も経っていたのは後で解ることだった。

 耀が見に行かせた寧野の自宅付近にある事務所から組員が様子を見ると、その場に交番から駆けつけたらしい警察官が異変を感じて警察を呼んだ住人と一緒に織部家を訪ねているところだった。

 警察がくるくらいだからこれは家で何かあったのは明らかだった。
 警察が鍵を管理人に開けてもらい中を確認すると、警察官はすぐに家から飛び出してきて所轄に応援を頼んだ。管理人たちは中の様子を見ることは出来なかったらしいが、警察官の様子から異様なことがあったのだと思い、見るのをやめた。

 すぐに所轄から刑事がやってきて騒然となり、さらにマル暴までもが出てきて捜査をし始めた。
 耀がその場に到着したのは、完全に現場が封鎖された後で、捜査が始まってそれほど経ってはいなかった。

「寧野は? あの家の者はどうなった?」
 現場から少し離れたところで耀たちが状況確認をするのだが、人が死んだのは明らからしいが、父親なのか寧野なのか両方ともなのかが伝わってこないらしい。

「それが、中に入った刑事が現場の酷さは口にしているので、誰かが殺されているんでしょうが、それが誰なのかはまだ。遺体もまだ運び出されていないので」
 周りをずっと見て情報を集めていた組員も訳がわからなくて呆然としているようだ。
 状況を知ることが出来るのは当分先になりそうだと解った時、耀たちの方に見覚えのある顔の男がやってきた。

「よう、宝生の小僧。お前が登場ということは、これはヤバイ事件の方なんだな」
 耀たちに話しかけてきたのは、マル暴の杉浦警部だ。やっかいなヤクザが絡む事件になると彼が必ずいる。彼がいるということは余計にヤバイ事件でややこしいことを意味している。
 耀は杉浦を睨み付けたままであったが、息を一つ吐いて尋ねていた。

「どうなっている? 死んだのは誰だ?」
 耀がそう尋ねると、杉浦は煙草に火をつけてから言った。

「父親の方だ。拷問を受けた痕が酷くてな、所轄の刑事は皆目を背けてるよ。あれをやったのは、遠海会の若頭か?」
 どうやら若頭が東京に来ている情報は入っているようだ。たぶん拷問の仕方が前に若頭吉村数馬のやり方にそっくりだったのだろう。それを併せて考えれば、自ずとこの事件の概要は見えてくる。

「いつも通りの捜査をしていれば捕まえられるだろう。それで……寧野は?」
 警察に協力するのは嫌だが、こう言ったのも事実。殺したからと言ってここからは逃亡しただろうが組組織からは逃げないだろう。吉村はそういうところがある。

「ああ、ちょっと手を貸してくれないか? お前でもどうなるか解らないが」
 杉浦は耀を手招くとさっさと捜査陣の中に戻っていく。どうやら寧野はまだ中にいるらしい。鑑識が入ってまだ捜査をしているのに、耀を呼ぶということは、寧野はまだ中にいて、動けない状態なのだろう。

「行こう」
 耀は九猪(くい)と億伎(おき)を連れて捜査陣の中に入っていく。周りに居たマル暴の捜査員が少し驚いた顔をしていたが、そこを素通りして杉浦の後を追った。現場に到着すると、所轄の捜査陣が嫌な顔をして杉浦に文句を言った。

「おい、マル暴さんよ。なんだってそんな大物を現場に入れるんだ。こいつらが犯人という可能性もあるだろうに」
 だが杉浦は笑って言い返した。

「こいつらが犯人だったら、公安がスキップしながらもう連れて行ってるよ。それに殺ったんなら慌てて戻ってくる必要は一切ないし、こんな現場に跡目がわざわざ来る必要は全然ないんだ」
「じゃなんで連れてきたんだ?」
 現場の刑事はキョトンとしている。だったらこの大物ヤクザを連れてくる意味は何だろうと考えても解らないのだ。

「あの坊やを動かしてもらおうと思ってな」
 杉浦はそう言うと玄関の道を空けて耀に先に進むように仕向けた。

 耀は現場を見て呆然としていた。杉浦と捜査員のやりとりは一切聞いていなかったが、目の前の光景はしっかりと見ていた。
 真っ赤な血が天井まで散っていて、死後一時間ほど経った遺体の腕を寧野がしっかりと掴んで放さない。捜査員の一人が話しかけているのだが、寧野にはこの世界の言葉は一切聞こえていないようだった。

 ショックが大きすぎて何にも反応が出来なくなっているのだ。
 ほとんど一般人として暮らしてきた寧野がこんな光景を見ることなどあるわけないし、死んでいるのは自分の父親だ。ショックを受けて当然で、トラウマものだった。このまま静かに生きていくには、この光景はあまりに酷すぎた。

 しかし寧野が怪我をした様子がないところを見ると、若頭たちに見つからずに済んだらしい。
 刑事達も寧野が怪我を一切してないのと、血を一切被っていないので本人はずっと押し入れにでも隠れていたのだろう予想はついていたようだ。
 だが一応は病院に連れて行かなければならないのに、肝心の寧野が動いてくれないときた。そこで杉浦は耀を使って動かしてみようとしいたらしい。

「耀様、これを」
 九猪が持っていたコートを耀に差し出すと、耀はそれを掴んで家の中に上がり込んだ。鑑識捜査は遺体の周りは出来てなかったようだが、その代わりに遺体から離れた周りはすでに鑑識捜査が終わっていたので、靴を履いたまま耀は家に上がり込んだ。
 真っ青な顔をしたままの寧野の側に座り、耀はコートを寧野に掛けた。そしてその背中を撫でてやりながら、話しかけた。

「寧野、もういいんだ。それにごめんな」
 耀が寧野の顔をのぞき込んでそう言うと、寧野はゆっくりと顔を上げた。どこを見ているのか解らない目がすっと動いて耀の姿を捕らえた。

「……ほう、しょう?」
 ボソリと呟くと、耀はそうだと返事をした。
 すると寧野の喉がごくりと動いた後、寧野は一気に耀に言っていた。

「宝生……どうして、誰もお父さんを助けてくれないの? お父さんがヤクザだから誰も助けてくれないの? どうして、どうしてお父さんは……」
 どうしてと何度も繰り返しているところを見て、耀は寧野がずっと拷問されている父親の様子をどこかに隠れて聞いていたのだなと察した。

 危険を冒してまで自宅に戻った寧野の父親は、遠海会に見つかる前に寧野を上手いこと隠して寧野を守ったようだ。
 だが寧野からすれば、これだけの惨劇を周囲の人たちが黙ってやり過ごし、警察に通報もしてくれなかったことがどうしても納得できなかったらしい。

 それもそのはずだ。これだけの惨劇を一時間続けても寧野の意識がはっきりしている間、誰も尋ねてこなかったし、警察すら一度もこなかったのだから。
 でも現実は違っていた。近所の人はちゃんと最初から通報していたし、警官は遅れたがやってきた。

「寧野、近所の人は警察を呼んでくれた。ただ間に合わなかったんだ。解るか? 周りを見てみろ」
 耀がそう言うと寧野はゆっくりと周りの状況を受け入れるようにしっかりと見回していた。鑑識や刑事が気の毒そうに寧野と目を合わすと反らしていた。ヤクザの子供だからと言ってこんな目に遭っていいわけがない。

 寧野の反応を見ていれば、こんなことにあったことすらないのは解ることだ。ただでさえ警察でも目を覆う酷い拷問された遺体が寧野の父親だということと、第一発見者がその子供である寧野という事実は、子供を持っている刑事なら気の毒になっても目をそらしたくもなる。

「寧野、その手を放してやって。警察がお父さんの遺体を調べるから」
 耀がそう促すと寧野はゆっくりと手を放した。ずっと掴んでいたので手の感覚がおかしかったが、それを見た耀がその手を包んでくれた。少し暖かい手だった。寧野の手が完全に冷えてしまっていたので余計にそう感じられたのだが、その温かさに寧野は気を張っていた体から力がすっと抜けるのを感じた。

「ごめんな、寧野、全然間に合わなくて。でもこれからは俺が守るからな」
 耀が泣きそうな顔で寧野にそう謝ってきた。だが寧野には謝られる理由が思い付かない。だってこれは父親と遠海会の事件で耀は元から関係ない。なのに耀はずっと謝っていた。ごめんなと何度もだ。

 自信満々の彼の謝る顔がずっと泣きそうで。寧野がふっと触れるとその瞳から小さな雫が一粒零れたのを見て、ああ綺麗な雫だなと場違いなことを思った。 


 寧野の意識がこちらに戻ったことで耀が上手いこと誘導して寧野を父親の遺体から引き離すと鑑識がやっと遺体の周りを捜査しだした。
こうするのが目的だった杉浦は所轄の人の肩を叩いて、用事はそれだけだと合図して耀の後を追って現場を出た。
 
 寧野はこの事件の重要な目撃者になるのでマル暴としても寧野の証言が欲しい。だからこのまま耀に持って行かれても困るので杉浦が誘導して回しておいた救急車に乗るように言った。
 そこに耀と九猪が乗り、杉浦も便乗して病院へ向かった。
 その救急車内。

「遠海会の若頭が何でまたこの坊やの父親を拷問するんだ? 30年もちゃんと務めてた資金源だろう。お前との噂はどこかで大きくなっただけでそんな事実ないのは調べればすぐ解るから違うんだろうが、だったら他に理由があるということになる。お前らはそれを知ってるのか?」
 杉浦がそう尋ねるのだが耀には答えられない質問だった。

 寧野たちが一体何をしていて、父親が拷問されて殺されたのかは、耀たちだってはっきりとは知らないのだ。金回りの良さだけで殺しには発展しない。むしろ抵抗されても父親さえ押さえればいいだけの話だ。

「さあ」

 耀は知らないことを強調した。金回りの良さについてのことは警察も知らないようなので黙っていた。これはたぶん事情聴取で寧野が言うかもしれないが、本当の意味で寧野も金の流れの大元を知っているとは思えないからだ。

「じゃあ、この坊やを正常にして話を聞くしかないというわけか。しかし遠海会もなんだってこんなに派手にやらかしたんだか。あそこは中華系マフィアとごそごそやってて胡散臭いところだったが、今事を起こすようなことはないだろうと踏んでたのにな」

 ただでさえ暴力団の締め付けは厳しくなっているところだ。若頭が暴走して人を殺したら、その大元である遠海会会長もただでは済まないだろう。
 あまりに酷似している拷問の仕方と殺し方で若頭が寧野の父親を殺したことは証明されるだろうし、逃げる組員を見ている住人もいるから若頭の吉村は捕まるだろう。
マル暴がすでに遠海会の若頭吉村の仕業であると断定している今、耀たちが必死に追わなくても吉村は十分制裁は食らうだろう。
 だがその裏にいる貉の方が放置になる。
 耀が関わっても関わらなくても、たぶん貉は寧野を追うだろう。
 けれど宝生が表立って動けば貉は一旦は引くかもしれない。

「警察としては、このまま織部寧野を保護することになるが……」
 そう杉浦が言ったところで杉浦の携帯に着信があった。杉浦が面倒くさそうに出てみると意外な話が舞い込んできた。

「織部寧野の保護者代理が警察に身元引受にきた? はあ弁護士? 何者だそいつは」
 杉浦が思わず声に出してそう言うと、九猪がすぐに槙に連絡を取った。

「山浦弁護士? 本当に本物なんだな?」
 その言葉を聞いてすぐに槙が調べてくれた。

「本物のようです」
「何者だ?」

「それが最近寧樹氏が雇った弁護士で、寧野さんを保護するために動いていたそうです。寧野さん本人もまだ知らないことだそうで、今日もそのことで寧樹氏と会っていたらしいです。何か寧樹氏の様子がおかしかったので気にしていたところ、この事件の一報がさっき流れたのを車内のテレビで見て、それで近くの警視庁に搬送先を聞きにきたらしいです」
 その言葉を聞いて耀はまさかと言うように呟いた。

「寧樹は最初から自分が狙われていることを知っていて、寧野に危険が及ぶかもしれないからその保護のために弁護士を用意していたってことか?」
「どうやらそのようですね」
 九猪(くい)も信じられないようでそう呟いてため息を吐いた。

 そこまでの危険が側に来ていることが解っていた寧樹は、捕まったら殺されるかもしれないと覚悟していた可能性も出てきた。相手が若頭の吉村であった今回、寧樹は情報を手に入れた時点で拷問されることも、そのまま死に至ることも解っていたことになってしまう。吉村の拷問で死に至った人間は一人や二人ではないと有名だったからだ。
 すると寝ていたと思った寧野がボソリと呟いた。

「お父さん、全部解ってたみたいだった。でも時間が足りなくて間に合わなくて、それで今日乗り切ったら明日山浦先生のところへ行こうって言った」
 寧野がそう言うと電話をしていた杉浦も驚いたように電話を切った。

「じゃあ君はお父さんがどうして狙われていたのか、その理由を知っているのかい?」
 杉浦が尋ねると寧野は首を縦に振ってから言った。
 正直、これを話していいのか解らなかったけれど、耀の方を見ると少し頷いたように見えたので、大丈夫だと思い寧野は話していた。

「遠海会の若頭が知りたがってたのは、お父さんがどうやって商店街の用心棒料を一人で負担してたのかっていうことだった」

「シノギを全額負担?」
 杉浦もそれには驚いている。おかしな鐘の流れは解ってはいたらしいが、全額負担は思ってもみなかったのだろう。そもそも内部抗争らしい現場に杉浦がいること事態が少し大げさなのだが、得意の必殺技でここまで漕ぎ着けたのだろう。

「ええ。よく解らないけど、その金策のルートを知りたかったみたいです。でもお父さんは知らないって言って、言わなかった。そしたら若頭って人が怒って、それで」
 殺されたと最後まで言えなかった。

 正気に戻ってからまた恐怖が戻ってきていた。なんとかそれに耐えていられるのは、今握ってもらっている手が温かいことだ。最後に触った父親は冷たかった印象しかなっかったので暖かいだけが救いになるとは思わなかった。

 耀は寧野を抱きかかえて救急車のストレッチャーに乗せてからも、救急車に乗ってからもずっと寧野の手を握ってくれていた。
 絶対にここにいるからという強い意志を感じるのは、握った手に込められた力が強いからだ。
 この手があるからなんとか正気を保ってられた。

「どうやってお父さんがお金を稼いでたのか、俺全然知らないんです。生まれてからずっと、どこから生活費が出ていたのかって全然知らないんです」
 寧野は目を伏せたままそう言った。
 自分の父親がヤクザなのは知っていた。でもそのヤクザがどうやってお金を稼いでたのかは知らなかった。
 最後の最後でやっと父親がどうやってお金を得ていたのか、思い当たることに出会った。でも言えるわけがない。

―――父親が数字を見ただけで賭け事に勝ってしまう能力を持っていたということは。

そして寧野もそれを受け継いでいる可能性がある。そんなこと言えば、父親の二の舞どころか、もっと恐ろしいことになる。

 だから寧野は父親がどうやってお金を稼いでいたのかは知らないと言い張るしかない。父親が死んでまで守ってくれたことだ。寧野は絶対に父親と同じ事をしてはいけないのだ。
 
―――だから知らないと嘘を吐く。
 
 この手を握っている相手には嘘を吐いていることはバレているかもしれないけれど、この手の温かさを信じてみようと思った。
 
 
 織部寧野(おりべ しずの)の父親、寧樹(しずき)が遠海会の若頭吉村数馬に殺され、吉村が逃走中という情報はすぐ警察を駆け巡った。逃走している吉村の立ち入りそうな場所はすべて先回りし待ち伏せていると、遠海会会長の自宅付近に吉村が現れた。そこで取り押さえて緊急逮捕された。
 
 織部寧樹を殺した容疑がかかっている吉村は、何故か恐怖に震えており、必死に遠海会会長の奥村幹也に「あれは手違いだ助けてくれ」と懇願していたという。
愛知県警から警視庁へと吉村が移送されてくると、組織犯罪対策部、通称マル暴がこの事件を捜査しだした。吉村が一人で遠海会系の切谷組組員を拷問して殺したという事実と、殺された織部寧樹の息子、寧野が興味深いことを言っていたことで、さらに掘り下げて調べられることになった。
 
 特に吉村が織部寧樹を手違いで殺したと言っていることから、彼らはどうしても織部寧樹が必要だったと思われ、何らかの犯罪が潜んでいると考えられた。遠海会は中華系マフィア貉との繋がりもあるため、そこから繋がっているのかと思われたが、織部寧樹との繋がりは一切見えなかった。
 
 だが遠海会が織部親子を捜し回っていたことから、息子の寧野も狙われる可能性が高いため、寧野は警察の監視下に置かれた上、公安からも目をつけられていた。
その織部寧樹が、生前今後の生活を相談していた山浦という弁護士は寧樹から受けた相談内容を寧野に話してくれた。
 
 寧樹はヤクザから足を洗うつもりで準備をしていたという。だが最近動きが怪しい遠海会は、重要な案件に関わっているわけではないが、少しでも組員を増やしたいと考えているので簡単には逃がしてくれないだろうと言っていた。
 
 とにかく身元を隠して息子と二人、一時的にでも避難出来る場所を探していたそうだ。そしてその準備が着々と進んで、受け入れ先も決まったところだった。
 しかし寧樹を追っていたはずの遠海会会長は、織部寧樹を吉村が殺したことには素直に驚いていたという。そして「手違いだ助けてくれ」という吉村の言葉は意味が解らないと言っているという。
 その遠海会と繋がっていたはずの貉は、急に姿を消し、遠海会との繋がりがぱたりと消えた。
 
 助けてくれと言っていた吉村は弁護士がつけられると、言い訳は出来ない状況だった為か、罪を素直に認めた。しかし遠海会絡みでも貉絡みでもないと供述を翻し、織部寧樹と他の組員を間違えたと言い出したのだ。
 
 けれど吉村が父親のことをしっかりと織部と呼んでいたことは周りの住人も証言していたため、間違いでは通りはしないようだが、吉村は偽証したまま突き通すらしい。もちろんこれは裁判官に印象が悪く、前科があるだけに検察の要求は通りそうだと寧野の面倒を見てくれる山浦弁護士が知らせてくれた。
 
 事件は少しだけ新聞やテレビで短い時間放送されただけですぐに別の話題に変わっていった。一般人にはヤクザの内部抗争でもない殺人には興味はわかないし、被害者もヤクザであるから同情すらされない。
 しかし、マル暴や公安はそんな単純な事件とは片付けなかった。
 
 織部寧野は、あの宝生の跡目である耀を動かした人間として認識され、例えこの先関わり合いになることがないとしても、一生捜査対象として扱われることになった。