novel

everyhome-21

「ゃああぁ――――――!」
 ゆっくりと中に入ってくる。侑の大きなものが押し入ってくる。

 なんとか息を逃しながら、圧迫感に耐えようとする。入ってくるのは侑なのだと言い聞かせると、そこが熱に解かされていく感覚に陥る。

「あ、つい……ぁ」
 内側から焼かれるような感覚に、那央はどうにかなってしまいそうだった。その熱を持ったものこそ侑自身なのだ。そう思うとその熱に浮かされたいと思う。
 侑の腕がしっかりと自分を抱くようにと背中に回してくれた。

「……大丈夫か?」
 それを那央はしっかりと抱きしめて、そして背中を少しだけさすった。

「だい、じょうぶ……したいように……して?」
 そう言ったとたん、荒波のようなものが押し寄せてきた。
 ねじ込んで出る。その繰り返しに、那央はどうにかなりそうだった。

「ひゃあ……ああぁっ……ああか!」
 侑は那央のいいところを見つけていたらしく、そこを丹念にさすってくる。

「いや、そこ……いやあぁ……ん」
「……那央は……ここがいいんだよな」

「ち、ちが……あぁ!」
「違わないな、ほら……」

「ひっ……――――――っ!」
 声にならない快楽がやってくる。
 そこだけを何度もされるともうどうにでもなれと思ってしまう。

「いくっ……いっちゃ……う……あぁ……もうだめ……」
 もう自分でも何を口走っているのか那央には分からなかった。ただ侑が欲しくて、もっともっととねだって、そして侑にもよくなって欲しかっただけなのだ。

「……那央、那央……」
 そう侑は呟くとより一層深くねじ込んできて、那央は一気に達してしまった。

「あ、あ、あ……あぁん、ああぁぁ―――――!」
「……くっ――」
 ぐっと、侑が奥の方を貫く。ぐっと抱きしめられて、骨が折れそうな感じにされた。その深い奥で侑の放ったものが熱く流れ込む体液を感じながら、那央はゆっくりと意識を失った。

 最後に見たのは、満足そうに快楽を楽しんだという侑の笑顔だった。
 
   

 
 朝起きてまず那央が思ったのが、「しちゃったんだ」ということだった。

 起きた時、侑はすでにベッドにはいなくて、那央はちゃんとパジャマを着せてもらって寝ていた。どうやら侑が後片付けもしてくれたらしい。

 那央は自分の体力のなさを嘆いたものだが、あんなのを何回もしていたらそれこそたまったものではないと思い直した。

(あんな、すごいのされたら、壊れちゃうよ……)

 身体がではなく、那央の精神がである。
 とりあえず起きようと思うのだが、腰が痛くてびっくりした。

 うんうんとしていてやっと起き上がれたのは、それから30分経ってからだった。

 寝室の隣のドアが開いていて、そこから声が聞こえてきた。
 侑が誰かと話しているらしい。

 そっと音を立てないようにドアに向かってそっちを覗くと、侑がちょうどこっちを向いたところだった。
 行っていいものかと思っていると、おいでと手招きされたので那央はすすっとゆっくりと歩いて侑の元へ行った。

 電話の相手は仕事の相手かと思っていたが、どうも違う。にやにやしている侑を見るのはなんだか面白かった。
 その電話は向こうが一方的に何か言っていたらしいが、一方的に切られたらしい。

「誰からですか? 何か怒鳴っているようでしたけど?」
 那央がそう言って侑の隣に座ると、侑はまず那央にキスをした。

「おはよう」
「あ、おはようございます」 
 こういうのは少し照れくさくなる。
 じっと顔を見ていた侑がぼそっと呟く。

「朝一っていうのもいいな……」
「……え?」
 ぼーっとしていた那央にははっきり聞こえなかったらしい。

「いや、なんでもない」
 侑はそう言って那央の頭を撫でる。柔らかな髪がすっと指からこぼれていくのは、なんどやっても気持ちいい。

「そう、電話だが、摩鈴からだったよ」
「摩鈴?」

「ああ大学で那央が連れ去られるのを見たと報告してきたのが摩鈴たちでね。こっちに向かっているからいいと言っておいたんだが、那央を無事に保護したのを報告しわすれていた」
 侑はそう言って笑っている。

 それは酷くないか?
 向こうは心配して待っていたというのに、今はこの状況である。

 そこで那央ははっとして自分の携帯をチェックすると案の定、メールボックスが満杯になっていた。  

「どうしよう……」
 そのメールは摩鈴や大雅たちからの心配して、大丈夫かという無事を確認するメールだった。
 その途中から段々メールが怒ってきているから見るのが怖い。
 最後のメールだけ確認すると、「お幸せなのはいいけれど、連絡寄越せと隣のやつに言っておけ」と大雅のメールで終わっていた。

 まったく迷惑をかけていたのに気づかなかったとはいえ、何かあったら連絡すると言っていたから那央はさっそく、大雅に連絡をした。

『馬鹿! こっちは冷や汗もんだったのによ。今頃 仲良く朝食中か?ええ?』 
 大雅はもうこの状況を知っているらしく、呆れながらも怒っている。

「ご、ごめん大雅……まさか見られてると思わなくて」

『見てないけど、他のやつが慌てて知らせにきたんだよ。なんかヤバいやつ来たって』 
 それが実だと知った大雅は大慌てて那央に連絡を取ろうとしたが、その本人が携帯を切っていた為に電話は留守電だし、メールは返事が来ないしで最初は焦っていた。
 だがその後、氷室本社に連絡を入れると、侑が後は任せとけと言わんばかりに引き受けたらしい。
 しかし、那央からの無事の返事を聞くまでは安心出来ずに連絡を入れていたそうだ。

「うん、最初はちょっとだけど、その後は大丈夫だったから。侑さんのところにいたし。ごめんね、ありがとう」
 那央がそう謝ると大雅ははあっと息を吐いて言った。

『はあ。まあ、秘書の人が無事だって言ってたから無事だと分かってたけど。それになんか幸せそうな雰囲気だし、惚気られそうだし、じゃ月曜また大学でな』  
 大雅はそう言うと電話を切ってしまった。
 どうやらこっちがラブラブだというのが分かって嫌になったらしい。

「まあ、どこも似たような反応で怒るな……」
 大雅が怒っているのに侑がそんな感想を漏らす。

「連絡しなかったから。する暇あったのに」

「そんな暇どこに?」
 侑が真顔でそう返す。

「あ、いや、あの、ここに来る前にとか……」

「あんなに私に夢中だったのに?」
 そう言われて那央は顔を赤らめた。
 確かにそうだった。

 ここに来た後は食事しかしてない。食べるだけ食べた後は、見事になだれ込んだからだ。それは思い出しても恥ずかしい記憶だ。
 自分はそんなに飢えていたのかと思うと恥ずかしいのだ。

「那央、顔色はよいみたいだね。今日は出かけられるかい?」

「え? お出かけですか?」

「ああ、ちょっとだけ外の高台にいって風でも浴びようじゃないか」

「あ、いいですね。ここあたりはまだ涼しいですものね」
 那央は涼しそうな木々に包まれた庭を見つめてそう頷いていた。



 そろそろ夏が来る。

 暑い季節が来たら、ずっとバイトに入ることになるだろう。そうしたバイトがとても楽しみになる。そのまま家に帰らない日も出てくるだろうし、泊まる日も出てくるかもしれない。
 そうしたらまた一緒にいる楽しみが増えてくるだろう。

 この人とずっと一緒にいるのだ。
 そう那央は決めてそう呟いた。

「ずっと……一緒にいて、いいですか?」

「ああ、もちろん。離してくれと言ってももう無理だよ」

 侑は笑って那央を抱きしめる。その腕の中で那央は幸せをかみしめていたのだった。