novel短編

「初めてだから」-10初めてだからこそ大胆に

 天野はその日のうちにどうしても興奮が収まらないから、いきなりではあったが塚本の家を夜訪ねてしまった。家の人には友達と勉強すると嘘をついて出てきてしまった。

 そんな天野が玄関にいて、塚本は驚いていたがすぐに家に入れてくれた。

「どうしたの?」
 何かあったのかと心配する塚本に天野ははっきりと言ったのだった。

「教室でのあの……あれが、興奮が収まらなくて……どうしようもなくて、それで襲ってください!」
 いきなりの言葉に塚本は呆然としていたが、すぐにクスクスと笑い出してしまった。

「……いきなりきて、それってもう、天野ってば」
「……いやだって……責任は塚本にもあると思うんだ」
 そう言ってむっとすねている。それも可愛い。欲情してしまって眠れなくなってしまったのだろう。その興奮は塚本にもある。その獲物がネギしょってやってきてくれたのだ。帰すわけがない。

「じゃ、お望み通りに」
 そう塚本は言うと天野を抱えて寝室に直行した。そのままベッドに横たえられた天野はのしかかってきた塚本を見て言うのだ。

「なんか、塚本すごいエロイんだけど……」
 塚本の表情を見て天野はそう感想を漏らした。塚本はくすっと笑って言う。

「そりゃね、興奮しまくってるから」
「俺の身体に?」

「うん、そうだよ」
 そう言うと、塚本はキスをしてくれた。舌が入ってきて舌を舐め取られて天野は下半身まで何かが突き抜けていくのを感じた。何度も何度もキスをして、そのキスが首筋に降りていく。首筋にキスをして鎖骨やらにもキスをして舐めてくる。それだけで天野は感じてしまう。

 塚本の手が乳首を撫でて転がしている。普段そこは何も感じない場所なのに異様に感じてしまい、天野は甘い声をあげた。

「ああぁ……っ」
 身体が跳ね上がる。天野にはなんでこうなってしまうのかが分からない。けれど塚本が与えてくれる快感が体中を侵していくのは分かる。

「……ん……は……」
「いい反応、可愛いな」
 塚本はそう言うと乳首にキスをし、そのまま吸い付いて舐めてくる。舌で転がし歯で噛み。そんなことを繰り返していると天野自身が勃ちあがってしまう。身体はびくびくと震えてしまうし、熱はどんどんあがっていって自分の身体がどうなってしまうのか分からない怖さがある。けれど触っているのは塚本だ、それを思い出して身体をゆだねる。

「ああ、いい顔しているね」
「……ん……あ……」
 そう言う間も手が体中をなで回し、太ももを撫でてきてなんとももどかしい。天野はついに我慢できなくなって塚本の手を取ると股間に当ててしまった。

「……つかもと……」
 もうどうしようもないくらいに勃ってしまったものをどうにかしてほしい。あの教室でした出来事が頭の中によみがえって興奮してくる。

「ん、優しくする約束だったね、いいよ。扱けばいいのかな?」
 塚本はそう言うと天野自身を扱きだした。

「ああ……!」
 びくっと身体が跳ね上がる。ゆっくりと丁寧に扱かれて天野に快楽がやってくる。そうしてほしかったのだと身体が思わず反応しまくる。

「ん……ああ……っ」
 天野自身を扱いていた手がふいに止まる。

「ん?」
 なんだろうとふと目をあけると塚本が何かのボトルを手にしている。

「……なにそれ?」
「ん? 潤滑剤だよ、こうしてね」
 そう言うと天野の身体を抱き上げ、腰を高くして膝を立たせるとそのお尻に潤滑剤をどっぶりと垂らしたのだ。

「ひゃ……!」
「ちょっと冷たかったね、でもすぐに熱くなるよ」
 塚本はそう言うとすぐにそれをすりつけ始めた。最初は天野自身を何度も扱きあげて、片方の手は穴を撫でてくる。そこを使うことは天野も知っていたからその準備だと分かっているのだけれど、この体制は恥ずかしいものだ。

 するとゆっくりと解された場所に指が一本忍び込んできた。潤滑剤のお陰でスルリと入ってくるそれが中を何度も犯していく。

「あ……っ、うん、あ……あ……っ」
 なんだか妙な気分が襲ってくる。さっきまでの気持ちよさとは別の何かがそこにあった。指先まで痺れてきて体中に電気が流れるような感覚が何度も起こる。そのたびに天野は全身を震わせた。

 何度も出入りする指が段々と増やされ、ゆっくりと穴が開拓されていく。最終的に三本の指が出入り出来るようになると塚本は指を抜いて天野の腰に手を当てた。そして覆い被さって言うのだ。

「そろそろ入れるよ、ゆっくり息を吐いて……」
「……う、うん……」
 塚本に言われた通りに天野は息をゆっくりと吐く、それに合わせて塚本が腰を進めて塚本自身を穴に入れてくる。先が入ってしまえば後は楽だ。ゆっくりと中を広げるように塚本は腰を進めてきた。

 大きな異物感が襲ってきて、なかなか上手く呼吸が出来ない。

「あ……はぁ……む、無理……ん」
「大丈夫、もうちょっとだから」
 そういうと塚本はぐんっと腰を押してきた。強く押し込まれ息が一瞬つまる。

「――ああああ!!」
 ぞくりと肌が粟だった。

「うん、全部入ったよ。天野の中温かい……」
 入ったところで塚本は甘い息を吐いて天野の背中にキスをしてきた。

「……ん、入ったの?」
「うん。大丈夫?」

「な、なんか変な感じだけど……想像してたより痛くなかったし」
 痛いのだけれどそうじゃない。これはなんと呼んだらいいのか分からなかった。

「じゃ動くよ」
 塚本は宣告してからゆっくりと動き出す。中を動くものが天野の気持ちいいところをこすりつけるから最初は少し苦痛だったものが快感に変わってくる。熱も同時にあがってくるし、息もどんどん乱れてくる。

「……あ……はぁ……んん……あっ」
 甘い痺れに天野は翻弄されるばかりで声は甘くなる。その声を聞いて塚本のものが大きくなってさらに天野は快楽に振り回される。塚本が動きながら天野の乳首を撫でてこね回す。もうそこは赤くなって痛くなっていたがそれがまた快感になってしまっていた。

「だめ……あ……変に……なる……」
 ギシギシと揺れてもう何がなんだか分からなくなる。

「もっと、変になって……」
 塚本はそう耳元で言ってぐんと中に入り込む。そこで中をかき回すように動く。ゆっくりしたりかき回したり、奥まで強く突いたりしてくる。

「あ……んんん……やぁ……だめえ……気持ちいいよぉ……」
 もう腕で身体を支えるなんて出来なくて、枕にしがみついてしまった。口は閉ざすことは出来ず、恥ずかしい言葉をたくさん言ったと思う。気持ちいい、こんなに気持ちいいなんて。そうしか頭に浮かばない。天野が力を入れたわけじゃないが、中は塚本自身を締め付けてくる。出ていくのを拒むようなその窮屈さがたまらない。

「いいな……もっとよくなって」
 塚本の腰使いがどんどん早くなっていく。抱きしめられたまま身体を揺すられ快楽だけを与えられる。段々限界が近づいてくるのが分かる。

「も……だめ……あ……だめ……いっちゃ……」
 もう何を口走っているのか分からない状態だ。こんなこと正気では言えないだろうが、今は何でも言えてしまう。

「達って……俺もだから大丈夫……」
 そう言った塚本が奥までいっぱいに突いてきた時に天野は達していた。そして塚本も「う……」と小さな声を出して達していた。暖かいものが中に溢れてきてそれが気持ちよくて天野はそのままふわふわする意識のまま振り返ってにっこりと笑った。

「……きもち、よかった……」
「うん、俺もすごくよかった」
 塚本はにこりと微笑んで天野にキスをする。そのキスで気持ちよくなってきた天野はそのまま意識を飛ばしてしまったのだった。

 次の日、天野が起きると塚本がベッドに腰をかけた状態で見つめていた。その優しい顔がにこりと笑って言うのだ。

「おはよう」
「あ、うん、おはよう」

「身体、大丈夫?」
「え、あ……たたたた……」
 大丈夫と言われて起き上がろうとした天野は体中の、しかもあり得ないところが痛かったのでびっくりして腰を押さえて座り込んだ。

「やっぱ駄目か」
 塚本はそう言って笑う。初めてしたセックスだったから仕方ない。

「んーでも」

「いいよ、寝てて。そうだ、音楽かけてそのまま寝て凄そうか?」
 塚本は何か面白いことを思いついたようにそういうと、クラシックの音楽をオーディオにかけて戻ってくるとベッドに潜り込んできた。その顔は笑っている。

「このまま寝て過ごすの?」

「どうせ、天野は起きられないからね。そういう日もいいんじゃない。起きられそうだったら起きればいいし」

「あーうん、そうだね」
 そう言って二人で布団に潜っていたのだが……。

「ちょ……またやるの!?」
「んーまあ足りないっていうか、昨日一回でしたし」
 さっさとパジャマを剥いでいく塚本に抗議したのだが無駄だった。

 昨日の今日ではまだ熱が残っていてちょっとでも塚本に触られるとすぐに身体が熱くなってしまう。

「……や、優しくするって……いったっじゃん!」
 天野がそう怒鳴ると塚本は綺麗な笑顔を浮かべて言い放った。

「だからたくさん優しくしてやるって言ってるだろ」
 たくさん優しくセックスをしてあげるという意味だと瞬時に悟った天野だが、それ以上の抗議は甘ったるく気持ちいいからもっとしてとしか出てこないのだった。