novel短編

Honey-表- 5愛しています。

 部屋に到着してドアをノックすると、部屋のドアがすぐに開いた。

「大知(だいち)?」
 部屋は真っ暗だった。ドアが開いたから誰かいるはずなのにと思っているとドア影から腕が出てきてがっしりと小汰(しょうた)の腕を掴んだ。

「な……っ」
 驚くと同時に部屋に引きずり込まれる。その拍子にドアが閉まって目の前が真っ暗になる。

「ちょっと、大知、ふざけるな!」
 腕を振り解こうとして引っ張るも逆に引っ張られて抱き上げられた。

「うあ……っ」
 その人物が大知でないことは抱き上げられた拍子に分かった。
 大知が普段付けている香水の匂いではない違った匂いがしたのと、自分を支える腕が、大知ではないと告げてくる。これは知らない人だ。

「い……いやっ! 誰っ!?」
 大知だと思って油断した。
 必死で暴れるもそのまま部屋の中まで歩いて行かれ、ベッドに放り出された。誰だか分からない恐怖に震えながらもなんとかベッドから逃げようとする小汰をその人物が押さえ込む。

「離せ!! いやだ!!」
「小汰」
 必死で叫んでいると押さえ込んでいる人がそう呼んだ。
 この声はよく知っている低いよく響いて聞こえる懐かしい声だった。
 呼ばれて小汰の動きがピタリと止る。信じられないながらも、絶対に間違いない声色に、小汰は言葉が絡みついてなかなか声が出ないながらも、やっと吐き出すように尋ねていた。

「……まさか……織田……さん?」
 なんで織田がこんなところにいるのだと小汰は混乱する。
 大知と織田が繋がっているなど、小汰には想像すら出来ないことだった。ここには確かに大知の電話で呼び出されたのにだ。

「そうだ」
 そう答えが返ってきてさらに混乱する。

「え? え? なんで? 大知、大知は?」
 混乱はさらに大きくなって、織田が居るということが違った意味での恐怖になる。いるわけがない人間がその場にいるということが信じられないのだ。

「彼にはちょっとだけ協力してもらった。ここに呼び出してもらったのは俺だ」
 小汰の疑問に織田はそう答えた。

「え? どうして……?」
 ちゃんと別れは告げたはずだ。なのに何故織田がそんなことをするか分からない。織田にはそんなことをする理由がない。
 だって自分とは遊びだったはずだからだ。その相手が逃げたなら携帯で文句くらいは言いたくなるかもしれないが、呼び出してどうこうという手間はかけないだろう。

 するとパチっと音がしてベッドスタンドの明かりが付けられた。それでやっと小汰にも織田の姿がはっきりと見えた。スーツの上着を脱いでネクタイもつけていない。ワイシャツ姿の織田だ。
 会いたかったけれど会ってはいけない人だ。そう思っていたから姿が見えたとたん、顔が熱くなった。

「……小汰、なんで泣いてた?」
 すっと頬に手を当てられ、目の下をすっと撫でられた。そこは真っ赤になっていて一目で泣いたということが分かってしまうほど腫れていた。

「いや……あの……」
 そもそも自分が泣いていた事実を思い出して、こんな顔で織田に会うとは思わなかったので小汰は焦る。

「ん? どうして泣くことがあったんだ?」
 織田は小汰の緊張を解くように頬を撫でて問う。小汰は力の抜けた身体では到底織田の腕からは抜けられない。
 優しい手が撫でてくる。それが嬉しくて崩壊した涙腺がまた涙を流してくる。

「なんで……なんで大知いないの?」
 口から出た言葉はそれだった。どうして織田と大知が繋がっているのか解らない。大知は織田のことなど一言も言っていなかったし、織田もそうだった。その彼らが知り合いというのが納得できない。
 小汰がそう尋ねると、織田は苦笑して言う。

「彼、呼び出すのは簡単だろうけど、今忙しいと思うよ。ほら、俺と一緒にいたやつ。小汰が見たとか言ってたやつ。あいつを口説いている頃だと思う」
 織田はどうやら大知がどうしてこんなことをしたのかという、もっともらしい理由を知っているようだった。

「……へ?」
 なんだって?と小汰が目を開くと、織田は笑っている。
 織田は小汰が織田を避けていた理由すら知っているというのだ。それは大知がぺらぺらと余計なことを喋ったに違いない。

「泣いてる小汰も可愛いな」
 そう言って口づけされて、涙まで拭き取ってもらった。
 しかし小汰は納得出来ないように織田を見上げる。

「あれは大学の頃からの友人だ。なんなら聞いてみる?」
 そう言って織田は携帯を持つと電話をかけ始める。呼び出し音が鳴り始める前に小汰の耳にそれを当てた。

 暫く呼び出し音が鳴っていたが、やっと向こうが出てくれた。のだが。

『………………う……あっ……はっあぁ』
 ぎょっとして小汰が両手で口を押さえて驚く声を抑えた。顔が段々熱くなってきて、心臓が飛び出ていきそうになった。
 これは、どう聞いても喘ぎ声だ。

 小汰が一瞬で顔が真っ赤になって固まってしまうと、それに気付いた織田が電話を自分の耳に当てて聞いて、呆れた顔をして切った。

「ごめんね、お取り込み中だったようだ。分かった?」
 小汰は顔を真っ赤にしたままうんうんと数回頷いた。あんな艶っぽい声を聞かされてちょっと興奮してしまったのもある。すると織田はくすっと笑う。

「小汰、好きだよ。本当に小汰だけが好きだよ。愛している」
 見上げると織田は真剣な顔に変わっていた。

「本当に好きすぎて、どうにかなってしまいそうだった。小汰に疑われるようなことをした俺が馬鹿だった。でも無実だ。それはさっきので分かったよね?」
 そう織田は言いながら、小汰の頬にキスをして、唇に唇を寄せてくる。避けようと思えば避けられるほどゆっくりした動作だったが小汰は避けようとは思わなかった。

「……本当に?」
「本当に、こんなに小汰のこと好きだよ」
 織田はそう言いながら小汰にキスをする。初めて織田とした時のキスとは違う激しいものだ。口を割られ中に舌が入ってきて暴れる。舌を絡め取られて吸い取られる。それだけで小汰の全身が震える。

 このまま織田に触れられていたい。押さえられていた気持ちを抑えなくていいのだと言われたら、我慢してきたものが一気に膨れあがってはじけしてしまった。だからこの感情を抑えることなんて出来ない。

「んん……はぁ」
「ん、小汰は綺麗だな、ここも」
 織田はどんどんと小汰の服を脱がしていき、ワイシャツのボタンを外して胸の突起に触れる。

「……あっ」
 こりこりと摘まれたり転がされたりすると乳首は固くなる。それに織田の唇が吸い付く。

「あ……っ、だ、だめっ……」
「感じるんだ?」

「やっ……ああっ」
 足の間をいやらしく触られた。すでに立ち上がっていたそれを下着ごと脱がされて、直接織田の手で触れられる。握り込んでは扱く。やわやわと根本をもみほぐす。

「あっ……んん……だめ……ぁ」
「ちゃんとぬれてる。気持ちいい?」

「あ……はっ……んん、いい……いいよぉ……」
「いい子だね。もっと先をしよう」
 織田はそういうとすぐに何かを手にして、それを小汰の尻の辺りに塗りつけた。

「……何?」
「ちょっとしたものだよ、大丈夫気持ちよくなるだけだからね。最初だけ」
 そういって塗られた場所、その穴をゆっくりと揉み解す。入り口をなで回すように襞を広げて指が動き、そして中に入ってくる。ぬるぬるとしたものを中に塗りつけて指が動き出す。

「う……あ……はっ……や……ん」
 身体はびくびく震えるし、段々身体は熱くなる。織田が触っているのだと思うだけでも震えが止まらないのに、どんどん気持ちよくなってくる。

「んは……熱いよ……織田さん、熱い……もっとぬるぬるして……」
「いいよ、もっとしてあげよう」
 織田はそういうと指を激しく動かして中で指を暴れさせる。小汰は悶えながらも何かが足りないと思い始めた。

「は……ん、だめ……もっともっと……ん」
「小汰は欲張りだね、でもいいよもっと大きなのをあげよう」
 織田はそういうと、ぐっと熱いものを小汰の穴に当てた。

「ゆっくり息を吐いて……大丈夫、そのまま」
「あっ……ああぁ……んんんんんん……あ、お、おおきい……くるし……」

「もうちょっとだけね。そのうち気持ちよくなるからね」
「んん……あっ」
 全部が収まると同時に中で脈打つのがよくわかる。織田が中に入っている。それが小汰には嬉しかった。

「お、織田さん……入ってる……深い……よ」
「ん、いい感じに効いてるね」

「なに……?」
「ちょっとだけ、クスリ使ったから痛くはないだろ? ほら」
 そう言って織田が二三回動くと小汰は今まで味わったことがない快感を得てしまう。

「ああぁ……だめ……う、うごかない……で……ああっ」
 身体を突き抜ける電気が走って背中が浮き上がる。織田はそれを確かめると一気に動き出した。

「あああぁ――!!」
 激しく身体を動かされ、小汰は飛んでいきそうなくらいに身体を揺らされた。違和感があったそこは段々と何か熱いものがぬるぬると入ったり出たりして、それが気持ちよくなってくる。

「ああぁ……いい……いい、きもち……いいああっ」
 小汰はそういうと織田にしがみついていた。織田はしっかりと小汰を抱きしめるとどんどん中を突いてくる。激しく中を犯されて小汰の頭は真っ白くなっていく。

「はっ……あ……んん……ああっ……も……だめ……だめえぇ……」
「小汰、もうちょっとだ」

「だめ……も……いっちゃうの……いっちゃう」
 小汰は自分でも何を口走っているのか分からなくなってくる。

「好き……すきなの……織田……さん、すき……」
 小汰はずっと織田を好きだと言ってしまっていた。織田はそれに微笑んで返してくれる。

「知ってるよ。俺も愛してる……」
「あああぁ――――――!!」

「……っ」
 愛していると言われた瞬間に小汰は達してしまっていた。それにつられるように織田も中に出してくる。

「……はぁ……はぁ」
 小汰が荒い息をしていると、またぐっと足を持ち上げられた。

「……え?」
 驚いて織田を見ると織田がにっこりと笑って言うのだ。

「まだまだ終わらないよ。もっと小汰を愛したい」
「……んあ……あっ……また、おおきく……なって……あぁん」
 達したはずの織田のアレがまた大きくなっていて、中でドクドクと脈打っている。

「足りない、もっと小汰」
 織田はそういうと小汰にキスをする。

「んふ……あ……ん」
「ああ、小汰の中は気持ちいい、何度でもやれそうだ……」
 織田のそんな言葉を聞いて小汰はハッと我に返る。

「だめ、そんなの無理!! やだあ……あああぁ!!」
 抗議するのを無視するように織田が激しく動き出して、小汰の口からは喘ぎ声しか漏れなくなる。

 その後はただ織田が好きだという言葉しか出てこなかったのだった。



 散々達かされて後、小汰は気を失う前にもう一度織田に確認をしていた。

「……ほんとうに、俺のことが好き?」
 小汰がそう問うと、織田は小汰の頬を撫でて答えるのだ。

「愛してます」
 ここまで愛しているのだよと、散々愛してくれた織田を小汰はにっこりとして眺めたあと、そのまま意識を飛ばした。夢の中ではずっと織田が出てきていた。
 そんな小汰を愛おしそうに抱きしめて織田も眠る。

 幸せいっぱいのまま眠りについた二人を余所に、裏では違った物語が始まっていた。