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switch101-12 ガードレール

 道で車に乗ってると、永遠に続くんじゃないかって思えるくらいに、白いガードレールが続いている。

 それが車の安全を守る為であるのに、道案内をしているみたいに思うのは俺だけなんだろうか?

 それが途切れた時、道が終わってしまった気がする。
 何だか、全て終わってしまう気がする。

 そんな事を思っていると、運転している鬼柳が笑っている。
 何だろうと思って振り向くと、前を向いて、時々視線が俺を見ている。

「何?」
「いや、何か。この世の終わりみたいな顔してるから」

「え? 俺が? うーん」
 思わず唸ってしまう。
 何で、そう解るかなあ。

「車乗ってると、時々そんな顔するよな。何見てる?」

「…ガードレール」
 俺は正直に答えた。
 
「ふうん。ずっと続いてれば、いいって感じ? 途切れたら終わりとか、そんな事考えてる?」

 鬼柳は実に的を射てた。

「どうして解るんだ」
 俺の驚いた声を聞いて、鬼柳が微笑む。
 何で嬉しそうなんだよ…。

「透耶の事なら、何でも解るよ」
 鬼柳の得意そうな顔に、俺は頬を膨らます。

 むう、この男は…。

「ほら、そういう顔しない」
 そう言った鬼柳の手が、俺の頬に触れる。
 何で運転中まで触るかなあ?

「あんまり可愛い顔してると、そのまま襲うぞ」
 鬼柳の衝撃的な言葉に、俺は鬼柳の手を振り払って、ドア側に身を寄せた。

 いつもより素早い動きだったらしく、赤信号で止まった時に鬼柳がすごく驚いた顔をしていた。

「…素早くなったな」
 そりゃなるって…。

「アホな事言うから…」
「透耶はいつも可愛いから」

「それをアホって言ってるんだ」
 俺がそう言った時に、青信号になって、車が発進した。

 俺は、ずっと鬼柳に文句を言ってたのだけど、こういう口喧嘩では一度も勝った事はないから、当然負ける訳で…。

 卑猥な単語が出てきて、俺は叫んでやめさせようとするけど、運転中には殴れないし…腹ただしい…。
 
 そのお陰なのか、もうガードレールなんか見る暇はなかった。