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switch101-64 洗濯日和

 天気のいい日。
 恭ははりきって洗濯をする。
 大抵、乾燥器を使ってやっているけど。

「やっぱり、太陽に当てないとな」
 とか言ってシーツを大量に干している。

 ちょうど庭があるから、そこに紐を張ってシーツを干して行く。
 こういう大量にシーツを干した所なんか、テレビのCMとかでしか見た事がないから、俺はちょっと面 白いと思った。

 恭が敷いてくれたシートに寝転がって、シーツが風に揺れるのを見ていた。

「こんなのが面白いのか?」
 恭が不思議そうに俺を上から見下ろして言った。
 俺は笑って頷いた。

「見た事ないから面白いよ」
 俺がそう言うと、恭はシートに座った。
 何故か、クシャクシャと頭を撫でられてしまった。

 よく解らないや。
 そして恭は、俺の隣に寝転がった。
 そのまま二人で空を見て寝転がっていた。

 恭が何も言わなくなったので、隣を見ると、恭が本気で寝ている。
 疲れてるのかな?

 俺はそう思いながら、起き上がって恭の顔を覗き込んだ。
 綺麗なパーツで整った顔。
 思わず触れそうになって手を引っ込めた。

 折角寝ているのだから、邪魔しちゃいけない。
 でも見るくらいなら大丈夫だよね。

 最近、俺が忙し過ぎて、マトモに顔見てなかった気がする。
 ちょっとでも顔眺めてたら、誘ったとか言ってキスするし、恥ずかしい事ばかり言うし、寝顔なんてここ最近全然見てない。
 夜は俺の方が先に寝ちゃうし、朝は起きたらいないし。
 まったくちゃんと睡眠取ってるのか疑っちゃうよ。

 そうしてじっと恭の顔を見てたんだけど、俺も恭の事は言えなくなってきた。
 
 そう、無性にキスしたくなってしまった。
 どうしよう…。
 ちらりと恭の顔を見ては逸らす。
 それを繰り返して、とうとう我慢が出来なくなってしまった。

 ちょっとなら、解らないよね…。
 などと、訳の解らない言い訳をしてしまう。
 
 じっと恭の顔を見て、それからバレないように、本当に触れるだけのキスをして離れた。

 大丈夫、起きてない。
 と、安心したけど、甘かった…。

 離れた時に恭の顔を見たら、目がバッチリと開いているんだ。
 俺は硬直してしまう。

 しかも恭はニヤニヤとしてるし…。

「い…いつから起きてた…?」
 恐る恐るそう尋ねると。

「透耶が俺にキスしようかどうしようかって悩んでいる時から」
 ニッコリ笑ってそう言われて、俺は卒倒しそうだった。

 …なんだとぉ?!
 知ってて狸寝入りしてたんだ!
 あー、ちくしょー!

 怒りたいんだけど、それより恥ずかしさが勝ってしまって、絶対顔は真っ赤になっている。
 オロオロしてしまった俺を恭は笑って見ている。
 
 う、うう…。
 穴があったら入りたいし、入って埋めてもらいたい。

「透耶」
 呼ばれて恭を見ると、腕を上げて、ここへ来いとやっている。
 取り合えず、そこへ行けば顔を直接みなくていいと思って、それに甘えた。
 少し身体を動かしただけで、腰に手を回されて抱き寄せられた。

 で、俺は恭の胸に収まった。
 一瞬、何かされるかもと思ったけど、それ以上何もなくて、拍子抜けしてしまう。

 何もしないんだ。
 いつもなら、キスの一つでもしてきそうなのに。
 と、そこまで考えて、俺はハッとした。

 俺、もしかして、それを期待してる?
 そう思ってしまって、ますます頭が混乱してしまう。
 俺も相当Hなのかも…。

 せっかくの洗濯日より。
 天気もよくて、気持ちいい風が吹いているのに。
 俺ってば、何エロい事考えてるんだろう?