switch

switch外伝6 We can go 4

 パーティーは続いているけれど、そこを抜け出した二人。
 まだまだ盛り上がっているだろうパーティー会場から引き上げる人がぼちぼち出てきた頃には、透耶と鬼柳はしっかりと抱き合っていた。
 部屋に入ってすぐに貪るようにキスをした。
「……ん……は」
 入ってくる舌を絡めて、逃げるような透耶の舌を追いかけて透耶の口の中を鬼柳の舌が這い回る。鼻に抜けるような息がとても甘く、更に鬼柳を煽るようなものになっていく。何度も向きをかえて繰り返すと、透耶の体の力が抜けて、そして壁に押しつけるようにして頬や額、そして首筋へと鬼柳は唇を滑らせていく。
「は……あぁ……」
「透耶……」
 首筋に吸い付いてキスマークを残すようにきつく吸い、そこを舐めあげていく。
 その間に背広を脱がし、蝶ネクタイも外してワイシャツのボタンも外してしまう。鎖骨に舌を這わせて舐め、体中を手で撫でる。
「んぁ……あ……あぁ……」
 胸の突起にたどり着いて鬼柳はそれを口に含んで舌で転がした。
「あぁ!!」
 胸に吸い付いてる鬼柳の頭を掴んで髪の中に指を入れてほとんど掻き回すようにしてしまうのは、暴れ出す体を押さえることが出来ないという証拠だった。
 崩れそうになった透耶の体を鬼柳は押さえて抱きかかえるようにすると、ベッドの方へと向った。ベッドに透耶を下ろすとズボンのボタンを外して一気に下着まで取り払う。
 そしてその膝を割って体を入れると、透耶の唇にキスをまたする。
 透耶はそのキスを受けながらも、鬼柳のネクタイに手を伸ばしてそれを外す。それを合図のように鬼柳は起き上がって背広を脱いでいると、透耶が起き上がって鬼柳のワイシャツのボタンを外した。
 ゆっくりとワイシャツの中に手を入れて、それを肩から後ろへと下ろす。
 部屋の電気はついていないけれど、外から反射してくる街灯の明かりが、鬼柳の体を照らしている。
 その綺麗でそして逞しい身体を透耶は掌で撫で、そして口づけていく。それはとても大事なものを扱うかのような仕草で、鬼柳にはくすぐったい感じであるが、透耶は神聖な気分でいることは知っている。 鬼柳が透耶を大事にするように、透耶は鬼柳を大事にする。
 首筋にキスをして強くキスマークを残してくれる。肩を撫で、そこにもキスをして鬼柳の体を抱きしめる。
「透耶……約束」
 鬼柳がそう言うと透耶はそれを思い出したのか、はっとしたようにして肩口に顔を埋めてしまった。
 恥ずかしがっているのだ。
 ここで急かすと透耶はむくれてしまうから鬼柳は透耶の体に手を回して、背中を撫でてやる。
 ちょっといやらしく、でも急かしてないというような甘い撫で方。
 暫くそうしていると透耶は意を決したように肩口から顔を上げて、鬼柳のズボンに手をかけた。
 鬼柳はそれに手を貸すように腰を浮かせてみると、透耶はボタンを外して下着の中からすでに勃ちあがったモノを取り出した。
 もう大きくなってる……。
 鬼柳は透耶を抱けると思った時はいつでも準備万端と言わんばかりに勃起している。
 ゆっくりとそれを手で包んで扱き、そして誘われるように跪くと鬼柳自身を口の中に入れてしまう。
「……は……」
 鬼柳がため息のような甘い声をはき出した。鬼柳の手が透耶の頭を撫でるように添えられる。
 透耶は両手で鬼柳自身を持ち、口から出して舌でそれを舐めあげる。
 先端はすでに汁を出していて、ちゃんと気持ちよくなっているのだなと確認できる。
「……透耶……」
 うっとりしたような声で呼ばれて透耶は鬼柳を見上げる。
 透耶が少し首を傾げたようにしながらも鬼柳自身を手で包んでその先端を咥えて見つめてくる姿は、もう悩殺的だ。
「……んん」
 美味しそうにそれを咥える様子を鬼柳は目に焼き付けるようにじっと眺める。
 滅多なことではこんなことはしてくれない。大抵恥ずかしがって頼むのも難しい。別にしてくれなくても普段は気にならないくらいに透耶の体に溺れているけれど、時々やってもらいたくなるのも仕方ないだろう。こういう姿を見ると本当に官能的でたまらないからだ。それと同時にちょっとだけ神聖なものを冒涜しているような気分になるのはなぜだろう。
 ああ、この綺麗な顔に……自分のものをかけて、汚してしまいたい。
 そんな衝動にかられるのは、初めてかもしれない。
 ほろ酔いである今なら、こんなことをしても、透耶は嫌だとは言わない確信がある。
「……透耶、顔にかけていい?」
 鬼柳がそう言って透耶の頭を撫でて、そして頬を撫でる。透耶は少し考えるようにしたが、鬼柳自身から口を離すと言った。
「……うん、いいよ」
 そうして大事なもののように鬼柳自身に頬ずりするようにした。
 どうやら鬼柳自身を舐めている間に、かなり透耶の淫乱な部分にスイッチが入ってしまったようだ。
 透耶はそれを口に咥えるのをやめて、手で擦り始める。先端を指でいじったり、舌で舐めたり、様々なことをして鬼柳を高めようとしてくれている。
 鬼柳が達するまでそれほど時間はかからなかった。普段やってくれないことをやってくれて、しかも初めての顔射となれば気分も高揚するし、興奮も高まるのは早い。
 鬼柳は達すると判断した瞬間に透耶の手を止め、自分で二三回扱いてからそれを見ている透耶の顔に精子をかけていた。
「…………んっ!」
 飛び出した精子は透耶の顔にべったりと張り付く。目に入るようなことがないように気をつけてはいたが、それでもちょっとかかってしまったようだ。
 透耶はそれを受け止めて、ちょっとだけ驚いた顔をしていたが、顔にかかったものを指で救うとぺろっと舐めてしまった。
 救っては舐めを繰り返している。その舌がいやらしそうに自分の指を舐めている。
 恐ろしいくらいの官能的な顔をして、鬼柳が放ったものを舐めている姿は、暫く鬼柳が呆然として眺めてしまうくらいのものだった。

「……恭?」
 そう呼ぶ唇に鬼柳ははっとして我に返る。
「あ、ああ、なんだ?」
「よく、なかった?」
 透耶はそういって首を傾げる。その言葉に鬼柳は喘ぐように返していた。
「……良すぎて、透耶エロくて、びっくりした。こんなに好きなのに、まだ足りなかったのかと思ったくらいに」
 鬼柳はそう言って、脱ぎ捨てたワイシャツを掴むと、タオルがないから代わりにそれで透耶の顔を拭いてやった。
「……んもう……馬鹿」
 透耶は恥ずかしそうな顔をして少し目を伏せている。
 拭き終わったワイシャツを投げて放り、透耶を抱えるようにして抱き寄せる。
 ちょうど鬼柳の膝に跨るようになって透耶は焦る。鬼柳は当然のように準備していたローションもいつの間にか手にしていて、それを透耶の背中の方で開けて出している。
「透耶……可愛いなあ」
 鬼柳はそういって向かい合っている透耶にキスをする。透耶は鬼柳の肩に手を回して抱きついてキスを貪る。そうしてキスに夢中になっている間に、後ろから手を回した鬼柳は透耶の尻を掴むと、ゆっくりと穴に指を入れていく。
「……んんん」
 指が一本入ると、鬼柳は中をしっかり確かめるように動かしていく。
 唇から透耶の唇が離れて、それが肩口に埋められる。
「ん……あぁ……んん……あ」
 指が馴染めるように透耶はそこを緩めて鬼柳の指を受け入れる。それは慣れたとはいえ、期間が空いてしまうと思い出すのにも時間がかかる。けれど鬼柳の指や動きが変わったわけではないから、思い出すのはほんの少しの時間で済んでしまうのはいつものことだ。
 二本目の指が入り込んで、そこを掻き回す。ぐしゅぐしゅという音が響いて聞こえて、透耶は余計に恥ずかしい思いより、もっとという気分の方が勝ってきてしまう。
 アメリカに来る前、飛行機に乗るからという理由で鬼柳とはまだ寝ていなかった。もちろんその後も結婚式に出られなくなると困るので控えてもらっていた。三ヶ月ぶりに帰ってきたのだからと鬼柳が飢えているのも知っていたが、もろもろの事情で透耶の気持ちを優先させて貰っていた。
 なのに、透耶は何もしてこない鬼柳が不思議でならなかった。ほとんど問答無用のように仕掛けてくるからいつも流されるまましていたような気がしていたから、してくれない鬼柳をちょっとだけ恨んでいた。
 はっきり言って矛盾しているのだが、透耶もまた鬼柳を求めていたのである。だからキスされただけでも体が高まってしまうし、忙しい日が終わった今日は、鬼柳が求めてくるまま受け入れようという覚悟もいつも以上に出来てしまっていた。
 まさか鬼柳が顔射したいと言い出すとは思わなかったが、よくよく考えたら、これは初めてのことだった。
「……あっぁ……はぁ……あ!」
 指は三本入って中を掻き回し、中は完全にほぐれていた。
 指だけでもいってしまいそうになるのは、今日の透耶が十分おかしいことを意味している。けれどそれで達くのはなんだか悔しくて。そして鬼柳が要求する奉仕するという言葉を思い出した。
「……んんん、だめ……だめ……恭……」
「ん? どうした透耶?」
「これじゃ……奉仕して……ない……」
 中に埋められたままの指が動かなくなって、透耶ははあっと息を吐きながらそんな言葉を口走っていた。
「……え?」
 鬼柳は顔射した時点で十分透耶の範囲の奉仕はしてもらったと思っていた。
 なのに、透耶はまだしていないと思っているのである。
 鬼柳は呆然としそうになりながらも、何とか聞いていた。
「えっと、何してくれる?」
 なんだか今日の透耶は積極的だ。顔射の時点でもちょっといつもと違うような気がしていたがやっぱり勘違いではなかったようだ。
 鬼柳がそう問うと、透耶はうーんと考えて、そして鬼柳の肩を押して、鬼柳を押し倒したのだ。
 その上に透耶が跨った形になっている。
 あーなるほどと鬼柳は透耶が何をしようとしているのか分かってしまった。
 しかし透耶はちょっと戸惑っているようだった。
「どうした?」
 鬼柳はそう言って跨っている透耶の足を手で撫でた。
「透耶がしてくれるなら、大歓迎なんだけどな」
 鬼柳が困っているわけじゃないというふうに進めると、透耶は意を決したように鬼柳自身を手に取ると、そこへ跨って腰を落とそうとしている。
 先が滑ってなかなか入らなかったけれど、鬼柳が透耶のウエストをもってあげるとなんとか透耶は自分で穴の中に鬼柳自身をゆっくりと入れていく。
「ん……あぁぁ……んんん」
 ゆっくりと圧迫感のあるものが中へと入ってくる。最初は戸惑ったが、先が入ってしまえば後は体を落とすだけでずるずると侵入してくる。
「あぁぁ!!」
  全部が中に入ってしまうと、ただただ圧迫感が酷くて、透耶は苦しそうにし、鬼柳の腹に手を置いて崩れそうになる体を支えた。足だってがくがくするし、動くのは難しい。
 鬼柳は衝撃に耐えながらも、透耶の足を撫でて、透耶に落ち着くように促す。
「中に馴染むまで動かなくていいよ。んで、透耶がいいと思ったら動いて」
 どうやら鬼柳はそれまで待ってくれるようだった。
 顔を見るとにこにこしているし、上機嫌であるのは分かる。こうする透耶のことを嬉しいと思ってくれている証拠だ。
 透耶はそうして馴染むまで待ち、ゆっくりと腕や足に力をいれて動き出す。もちろんそんなに激しい動きではない。ゆっくりとした動きである。
「……ん……ん」
 ゆっくり引き抜きそして腰を落とす。それを繰り返しているとコツが掴めてきて透耶は鬼柳の上で淫らに乱れた。
「あ!は……っ!」
 鬼柳のいいところというのがなかなか分からず、透耶は探るように挿入を繰り返した。ただの出し入れだけでは鬼柳を高めるのは難しい。なんとかして鬼柳が気持ちよくなるように動いていたが、自分だけがよくなっているのじゃないかと不安になってきた。
「ん……ん」
 目の前の鬼柳が余裕そうに見えていたが、透耶が精一杯腰を動かしていると、急に鬼柳がぐんと腰を突き上げてきたのである。
「あぁぁぁ!!」
 急激な衝撃に透耶は仰け反りそうになるが、鬼柳が腕を掴んでいて後ろに倒れそうになるのを防いでくれた。
「透耶、ちょっとごめんな。これじゃ俺だけになる」
 鬼柳はそう言うと一気に腰を動かしてくるのである。
「や……っ! だめっ!だめっ!」
 さっきまで自分で動いていた時の比ではない動きに透耶はただただ翻弄されるだけだ。
 鬼柳が少し起き上がって透耶の腰を掴むと、一気に引き上げそして落とした。
「やぁぁぁ――――――!!」
 悲鳴を上げるように喘ぐと鬼柳は何度もそれを繰り返し、とうとう透耶は後ろだけで射精してしまったのだった。
「――――――あぁぁ!!」
 仰け反るように体を反らすと、透耶自身からも白い液が飛び出した。
 鬼柳はくっと呻くと、透耶の中に注ぎ込む。
 透耶が達した時の姿は本当に綺麗だった。鬼柳は自分は達くつもりはなかったのだが、つられてしまって放ってしまった。
 内側に温かいものが注がれると、透耶はそれだけでびくびくと体を震わせた。
 そしてふらりと鬼柳の胸の中に倒れてくる。
「……透耶」
 それを受け止めて鬼柳はぎゅっと抱きしめる。
 透耶はそのままこてんと気を失ったのだった。

 久しぶりのセックスだったし、今日は一日忙しかった。お酒も飲んでいたし、緊張もしていた。そんなものが一気に重なってしまったのでは仕方ないと思いながらも、鬼柳は少し残念だった。
「久々だし、いっぱいやろうと思ってたけど、やっぱ駄目かあ……」
 そう言いながらも顔は笑っていた。
 透耶からの奉仕もあったし、自分が期待している以上のものも奉仕してもらってしまった。
 だからまだ興奮していてまだまだ足りないと思うけれど、その一方で妙に満足しているのもある。
 透耶をベッドに横たえると、意識のない体はベッドに沈み込む。鬼柳自身はまだ収まってないから、ちょっとだけ透耶が目覚めそうな悪戯をする。
 意識のない体だが、まだ反応はあった。
 挿入を繰り返し、透耶のいいところに当ててやると、透耶の息が荒くなっていく。
「……ん、ん」
 そこでふっと意識が戻ってしまったことを透耶は後で後悔する羽目になってしまうのである。
「お帰り透耶、とりあえず抜かずの三発はやろうな」
 にっこりと鬼柳がそう言い放つと透耶はギョッとして思わず逃げ腰になった。
「えっと……あの……ですね」
 透耶は何とか言い訳を考えようとした。
 抜かずの三発、久々に聞いた朝までコースの予兆だ。
「透耶、もう我慢なんかする必要ないよな? 帰ってきてからこっちに着いて用事済むまでが透耶のお願いだったよな?」
 鬼柳はもう欲求を隠すことなくストレートに透耶に確認をしてくる。
 その笑顔からは透耶に拒否権はなさそうだ。
 どんな言い訳をしても鬼柳の耳は今は特別仕立てになっている。
「えーと、あと一回だけってことじゃ駄目?」
「透耶、それだけでお願いの代償になるとでも思ってる?」
 帰ってきてからの禁欲生活は鬼柳の中では最長だった。当然、一回やってしまえば、そのタガも外れている。今やただの暴走するエロ魔人でしかない。
「まあ、どうせ、透耶はやってる間は夢中になってくれるし、俺の好きにしていいよな?」
 にっこり笑うエロ魔人。
「…………えっと……やっ……あ」
 透耶が次の言い訳を思いついたらしいが、鬼柳はそれを無視して透耶のいいところを何度も突いてやった。
 そうすると抗議は甘い声に変わってしまい、抵抗していた手は鬼柳を抱きしめ返してくれるようになる。
「透耶、とりあえず抜かずの三発な。で、その後は透耶を弄り倒して俺が満足するまで付き合って貰うから、覚悟して」
「いやぁ……そんなの……無理……っ」
 ただでさえ今日は疲れている上にお酒も飲んでいる。その上で鬼柳がしてくるセックスの中で一番の獄門コースだ。
「そんなのっ……あっあっ……んぁ!」
 透耶が先に達しても鬼柳は達しない。
「透耶の一回はカウントされないからな」
 上から満足そうに微笑む鬼柳が悪魔に見える。
「透耶がエロイからいけないんだ」
「んぁ……まだ……んん……あっんぁあ」
 達したままの状態で中を掻き回されると、快感は想像を絶するほどになる。それこそ頭の中が真っ白になってくるのだ。
「そう……そうやって……俺のことだけ感じてればいいんだ」
 鬼柳は抗議の声が上がらなくなると満足したと同時に、自分のペースに完全に透耶を持ち込んだのだった。
 抜かずの三発に耐えた透耶にその後散々、馬鹿だの、エロ魔人だの、発情期過ぎるだの怒られたのだが、そんなことを言われたとしても、鬼柳が卑猥な言葉をはき続け、結局鬼柳のペースのまま朝までコースになってしまったのだった。