destiality

1

「ひぃあああぁぁっ!」
 悲鳴が聞こえた。あれは、葉室の声だ。
 吉成はさっきまで気を失っていたので、霞がかったような頭を振って声がしたほうを見た。
「あっいやぁあっんぁ!」
 声がした方では、葉室が駱駝に犯されていた。
 その光景が理解できずに、何度も頭を振って見たが光景は変わらなかった。

 駱駝は座り込み、その前には板に括り付けられた葉室が、駱駝に足を大きく開いて、腰を高く上げた状態で、細長い駱駝のペニスを受け入れ、全身を揺らされている。
 葉室の周りには木枠があり、駱駝に踏まれないようにされてはいるが、見るからに危険な行為であり、非現実的だった。
 周りには、銃を持った男たちが笑いながらそれを見ている。
 なんだこれはと吉成は目を見開いて考えた。

 会社の研修の締めくくりで石油工場へ向かう途中の砂漠だった。
 突如地元のゲリラに襲われたのだ。悲鳴や銃撃音が響き、黒い砂漠の民のようなターバンを巻いてカンドゥーラを着た男たちが、さらに布を被り、顔の判別もできないような姿で現れた。
 腕を掴まれ、仕分けされるように課長や他の日本人とは別に、葉室と吉成だけが別の車に乗せられたのだ。その間に吉成は気を失い、気付いたら、木の棒に体を縄で拘束されている。

 それを思い出して周りを見ると、自分以外の人間がいない。もちろんバスはなかったが、銃を持った男たちの所持品に見覚えのある品々が見えた。丈夫だと自慢していた課長が持っていたヴィトンのバッグ、有名な時計や貴金属が一所に集められている。
 あれが戦利品のようで、他の人間は解放されたのか分からなかった。
(無事だといいんだけど……)
 そうは一瞬思ったのだが、自分の状況も異常なことだった。
 目の前で起こっている出来事に頭がついていかない。
 獣姦という言葉は聞いたことはある。よく二次元でもあるし、リアルな世界で羊や牛なんかを襲って捕まる人間もいると海外のニュースでみたことがある。
 だが、それはあくまで知らない世界のことだった。
 目の前で駱駝に先輩である葉室が犯されているという状況が理解できなかった。
 葉室は板に腕を後ろ手に縛り付けられ、その大きく開いた体を男たちが腰を上向きに尽き上がらせている。そこに駱駝がゆるりと腰を少し落としたようにして、前後に振っている。時折、駱駝がうめき声をあげて体を震わせているのだが、そのたびに葉室と結合しているであろう尻のあたりから、白い大量の液体が吹き出している。
 バシャバシャと音を立てて零れている液体は、駱駝の精液だ。
 それが零れると男たちが手を叩いて喜んで笑っている。
 一つの駱駝が離れていくと、次の駱駝が連れてこられる。
 その間に見る葉室の尻からは、大量の精液が溢れて、まるで小便をしているかのように弧を描いて吐き出されていた。
 それが収まると、別の男が葉室のアナルに水筒のようなものを突き刺し、何度も洗浄するように水を入れ続ける。
 葉室は苦しそうにそれを受けていたが、その行為自体には慣れているような雰囲気だった。
「あ……は……ぁ……んん」
 真っ赤な顔をしている葉室に、男たちが何かを言っている。
 それに葉室は「違う……違う」と答えていた。
 大きく開かれた足から見える葉室のペニスはすっかり起ち上がり、先走りさえ垂れ流している。
 駱駝に尻を犯されながらも、葉室はちゃんと感じているのだ。
 男たちがおもむろに葉室の乳首を指でつまみ上げた。
「あぁぁぁぁああっ!」
 キュキュッと何度も乳首を捻られ、葉室の体が板から少し浮く。
 大きく開いた足の間には新たな駱駝の体が入り込み、男たちが駱駝の人間よりは細く長い灰色のペニスを掴んで、葉室のアナルに誘い込んでいる。
「いやあぁああっ! あぁぁぁああっ!」
 排泄物を出す場所を駱駝のペニスに犯されるなど、葉室にとっては悪夢な出来事だ。それも一回では済まなくて、何度も繰り返される。
 駱駝はペニスがアナルに収まってしまうと、興奮したように鼻息を荒く、呻きながら腰を乱暴に前後に動かすのだ。獣の動きに合わせて葉室の体が仰け反る。
「あぁぁぁあああっあっあっぁあっぁ! いやぁああっんぁあ……あんっあっ!」
 葉室の体はすっかり駱駝のペニスに夢中なような、荒々しい快感に犯されている。さっきの駱駝が出した残滓が泡となり、さらには滑りをよくしているのか、さっきの駱駝よりももっと激しい動きになっていた。
 駱駝の興奮ぶりから、何かクスリが仕込まれているのか、駱駝の動きは尋常ではない。
「いやっいやっんぁっいやぁあぁぁぁ!」
 駱駝のペニスに犯されて葉室が達した。葉室のペニスから精液が吹き出し、それが葉室の腹を汚している。その後は、駱駝が突けば突くほど、葉室のペニスは精子を吐き出し、葉室の抵抗もなくなった。
「んあぁあっあっぁ!……あっ!……あっ!……んぁ!」
 葉室の開いた口からは、もう嬌声しかもれない。
 駱駝のペニスですっかり満足したような声に、周りの男たちがゴクリと喉を鳴らすのがわかった。
「んぁああっんぁあああぁぁぁ――――――っ!」
 駱駝のうなり声と同時に葉室も嬌声を上げて達した。
 さっきまで喜んでいた男たちが、全員息を飲むのも緊張したように前のめりになっていた。明らかに葉室と駱駝の交わりを見て興奮してきたのだろう。
 だがそれでも葉室には三頭目の駱駝があてがわれた。
「んぁっああっ!ん……あぁっ!……あん……!」
 周りには砂漠しかないオアシスに、ただひたすら葉室と駱駝の交わりの音が響く。葉室の嬌声もだんだんと息づかいが荒くなり、もはや獣になっているかのようだった。
 吉成はそれが恐ろしく、だが、それでも自分のペニスが勃起していることに気づいた。獣と交わる葉室がどうしようもなく美しく、淫らでどうしようもなかったのだ。

 吉成が目が覚めてから三頭目の駱駝がペニスを引き抜くと、今度は別の男たちが葉室の体に水をかけ、水筒のような筒をアナルに入れ、洗浄をしている。 すっかり駱駝のペニスで開いたアナルなのか、水は残滓を吐き出していく。
 水は葉室を洗うように流され、それが終わると何かの香料のようなものを体中に塗っている。その香料で葉室の体は松明やランプの光に照らされて、艶めかしく光っている。
 三頭の駱駝に犯された葉室は、すでに抵抗する意思を捨てたのか、それとも心が壊されたのか、一切の抵抗しなかった。
 それが終わる頃には、男たちが葉室を集まりの中央に引いた絨毯を敷き始めた。
 そして駱駝の残滓から綺麗にされた葉室が、その絨毯の上に横たえられた。 まるで悪魔に捧げる生け贄のように、差し出された葉室が少しだけ身じろぐと、その葉室に男たちが十人ほどが群がった。
 男たちは無言で葉室を犯し、抵抗する意思を失った葉室は、まずは一人の男にアナルを犯され、口には別の男のペニスを咥え、両手にもペニスを握ってしごいていた。
 男たちは次々に葉室の向かって射精をし、一息吐いては葉室のアナルや口が開くと、我先にと犯すことに集中していた。
 そんな中で、犯し終わった男たちから、やっと言葉が聞こえてきた。
 聞き取れる単語が聞こえきたのはこんなことだ。
『あの方も、好きものだが……いかんせん、良すぎる』
『女じゃ国際問題になるとはいえ、彼もどうして納得しないのか』
 どうやら男が女のように犯されたとしても国際問題にはならないというのが彼らの考えだったらしい。この国では確か男同士は禁忌ではなかったと吉成は考えたが、それもある台詞で打ち消されたのを思い出した。
 昔、知り合いが言っていたのだ、禁忌だからこっそりやって楽しむのが正しいのだという。神様は多少のことは見て見ぬ振りしてくれるのだそうだ。
 まして彼らは強盗団である。戒律を守っているなら、まず強盗はしない。
 この辺りで潜伏しているテロリストの中でも、政府や戒律をねじ曲げて活動するやっかいな集団に拉致されたようだった。
 吉成はそう思っていた。

 葉室は男たちが飽きるまで、犯され続けた。
 屈強な男たちの黒々としたペニスが葉室のアナルをリズム良く出入りし、そのペニスを葉室はしっかりと銜え込むように収縮するアナルで受け止めている。駱駝の長いペニスのお陰なのか、男たちの大きな勃起したペニスであろうとも葉室は受け入れられていた。
「あっ……んぁっ!あぁあ゛っあ゛あ゛っ!」
 四つん這いにされた葉室は力強く男に突かれながらも、腰を高く上げられて、強引に男たちに犯されている。
 乳首は男たちが代わる代わるに吸い付き、もみし抱き、香料で滑る指で弾かれて、完全に起っていた。最後には男に跨がるようにされ、下から腰を突き上げられて、淫らに蠢いた。
 まるで踊っているかのようなリズムで挿入を繰り返され、残滓はペニスがアナルから抜けるたびに大量に吐き出されている。精液が固まらないようになのか、時折水が何度もかけられ、葉室のアナルも洗浄されていた。
 どうやら、彼らは葉室の体に無体なことをしているのだが、傷をつける気はないようなのだ。最初こそ縛ってはいたが、それは駱駝から葉室を守るために固定されていただけに過ぎない。
 今こそ葉室は何の拘束もされていない。
 葉室は逃げるのを忘れたように、男たちに様々な体位で犯され、精液を体中に受けた。
 まるでそれが仕方がないと思っているかのようにだ。

2

 明け方近くになると、男たちが順番に寝始め、やっと葉室が解放された。
 だがそれで終わりではなかった。
 吉成がなんとか逃げ出せないかと考えていると、無数に並んでいるテントの一つから、真っ黒なフードを被った一人の男が出てきた。
 その男は、絨毯に放置されている葉室を抱き起こすと、すぐ近くにあるオアシスの水場に連れて行き、体を洗ってやっていた。
 葉室は放心状態でそれを受けていたのだが、やがて思い出したかのように抵抗を始めた。
「やめっ! いやだっ!」
「……また駱駝と交わりたいのか?」
 抵抗する葉室に男がそう日本語で話しかけた。
「あと、大声を出すな。やっと周りが納得して寝てるんだ」
「……うるさい、お前が仕組んだくせにっ」
 葉室が男を睨んでそう言っている。
 どうやらこの強盗団と葉室の面識があるようだった。それもボスらしい男とは意思疎通もできる。葉室の言葉から、何か事情があるようだった。
「逃げ帰ったお前を歓迎してやったんだ。これでも甘いと思え。普通なら死んでるところだ」
 男の言葉に葉室はぐっと息を飲む。
「お前が騙して作らせた石油工場の代償としては、甘いだろう」
 その言葉に吉成は思い出す。葉室は仕事の営業マンで、この地域の石油工場建設を国に持ちかけたのだ。その結果、他の国を押さえて日本の会社、つまり葉室たちが工事を受注し、無事完成させた。
 こんな大きな仕事を持ってきたのが、葉室だった。だが葉室はどこでこんな国のこと、日本ではほぼ名も知られていない国の王族と知り合えたのか、という疑問が残っていた。
 本人は留学時代の友人だったからと言っていたらしいが、それにしては熱心だった葉室が急に課長に全指揮を譲って日本に戻ってきたことは何か手違いがあったのだろうかと吉成は思っていた。
 その手違いが、きっとこの男なのだ。
「……王子……どうして私を諦めてくれないのですか……」
 そう葉室が言った。
 どうやらこの盗賊団の首領はこの国の王子らしい。
 吉成はどうして自分が連れ出され、殺されないどころか関心さえ向けられないのか理解した。普通にテロならば、もう自分は死んでなければならない。
 もしくは人質として、日本に金銭要求をされるところである。
 だがその場合、何も吉成だけ誘拐する理由はない。課長や他の日本人も一緒に誘拐した方が金額も跳ね上がって、日本政府も人質優先で身代金を払うかもしれない確率があがるからだ。
 こうして吉成だけが人質として捕らえられているということは、葉室の後輩が吉成だからだ。
 葉室はその後輩の吉成を見捨てて逃げないことを王子は知っていたからだろう。
 この国に再度入国した時点で、葉室の運命は決まっていたのだ。
「お前を諦めるなど、どうしてできよう?」
 王子はそう言った。
 どういう理由があるにせよ、二人は恋仲か一方的でも想いがある関係だったらしい。
「……私を……殺してください」
 葉室は王子に懇願している。だが王子は動じた様子はなかった。
「ならば、体だけ残して心だけ死んでくれ。お前の心が変わらないことなど知っている。だが私はお前を諦めはしない。心など望まない、その体だけ私にくれ」
「それがいったい何になるんですっ!」
 葉室が苦しそうにそう王子を睨み付けて叫んだ。
 王子は葉室と駱駝を交わらせてまでして、葉室の心を殺そうとしている。降参しない葉室を無数の男に陵辱させてまでもした。
 それでも葉室の心は壊れなかった。
「そこにいる後輩の男を日本に帰してやる。だからお前をくれ。拒めば後輩の遺体すら日本に帰ることは二度とない。この砂漠で殺してくれる」
 そう王子は言った。
 いきなりのことに吉成はドキリとしたが、葉室は迷う素振りは見せなかった。王子を睨み付けた顔のままで言った。
「……そうなるように仕組んでおいて……分かりました……お願いです、吉成を日本に帰してやってください……お願いします……あっ!」
 最後まで言い終わらないうちに、王子が葉室の体を抱き上げ、そのままさっきまで王子がいた大きなテントに入っていく。その瞬間から、葉室の甘い声がそこら中に響き渡って、周りの男たちが起きだしてくる。
「突かないで……だめっあっあっ!」
 甘くかすれた声が響き、吉成はドキリとする。さっきまでの嬌声とは違った甘やかなそれは、確実に葉室が王子に対して心があることが分かってしまった。
 そしてその葉室の葛藤も理解できた。
 その王子は、この国の王になる。だから葉室以外も抱いて、子供も残す。それが彼の使命であり役割だ。葉室はそれが分かっていて別れたのだ。とても耐えることができなかったから。
 だが王子は心をくれなくても、壊しててでも葉室を望んだ。
 王子には葉室の心など最初から眼中にないのだ。それが葉室にはショックだったのだろう。
 王子と葉室のセックスが始まってすぐに、それを聞いて起き出しあくびをした男が一人、吉成のところにやってきて、体を拘束していた罠を解いてくれた。まだ腕自体は繋がったままであったが、やってきた車に乗せられた。どうやら、この辺りの砂漠はジープで移動ができる範囲らしい。
 さっきの葉室の言葉が、吉成を無事に日本に帰すための約束だったようだ。吉成はそのまま車に乗せられ、ついたところが空港だった。
 車の中でロープを解かれ、案内されて空港に入ると、課長や他の社員たちが吉成を見つけて駆け寄ってきた。
「大丈夫だったか! 吉成くん」
「よかった解放されて!」
 わっと囲まれて口々に無事を喜んでもらったが、課長が呟いた。
「……葉室君は……残念だったらしいね……」
 課長がそう言うので、驚いた吉成だったが、どうやらさっき吉成を連れてきた人間が、この国の外交官で、葉室の死亡と遺体の回収ができないことを告げたらしい。
 吉成は葉室が死んでないことを知っているのだが、あの状況で葉室が生きて帰ることはできないだろうと思った。ここで騒いでしまうと、せっかく葉室が吉成を逃がしてくれたのに、その努力が無駄になる。
 そして吉成がこの国にいる限り、葉室は死ねない。
 無事にこの国から出ること、それが吉成できる葉室への精一杯の恩返しになる。
 そしてこの国とは、完成した石油工場の整備などで会社も関わってくる。課長や他の社員の命も葉室の行動一つにかかっているのだと思うと、あの王子が言っていたように、葉室の心が残らない方がいいのではないかと思えてきた。
 逃げたというだけの理由で、あんな辱めを受け、これからもそれが続くとなると、葉室の心が残っている方がきっと地獄だ。
 その一時間後には飛行機がその国を離れ、日本に向かった。
 その後、葉室については遺体のない葬式がされ、葉室は存在自体をこの世から消された。当然、その後の葉室がどうなったのか誰にも分からない。
 吉成はその後会社を辞め、二度とあの国に出入りすることのない家業を継いだ。あの会社にいれば嫌でも葉室を思い出して、事実を告げられない辛さで生きていけないと思ったからだ。

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