狂った関係

1

 和納(わのう)家は、不動産王と知られ、東京都の主要地に土地を持ち、そこにビルを建て貸し出すことで巨万の富を得てきた。昨今ではその力は衰えてきたとも言われるが、それは最高に利益を出していた時代にしてはという意味であり、現在でも主要地に土地を持ち、そこを大企業に貸し出すことで巨大な利益を生んでいる。
 更に最近になり、酒造メーカーを買ったことにより、その利益は更に増加。
 そんな和納家には、三人の子供がおり、長男の二十九歳の諒は不動産会社の副社長に収まり、次男の二十七歳の雷は酒造メーカーの専務に収まった。いずれは社長への足がかりにするための配属で、役員達は一致している。
 そんな中、三男の十八歳の周(あまね)は、和納久(ひさし)が再婚して生まれた子供で、長男次男とは十歳ほど年が離れている。
 二人の兄は、雷(らい)と諒(りょう)は年の離れた弟を溺愛していた。
 授業参観には兄二人が現れるほどで、両親すら呆れてしまうほどの溺愛具合で、周は兄の愛情をたくさん受けて育った。
 愛されていると周は兄たちだけには、何でも従うようになっていく。
 両親の言うことよりも、兄たちの言うことだけを聞くようになった。反抗期もなく、母親に似て美しく育ち、やがて母親が病死をすると、周のあまりの悲しみように兄たちは更に周を愛するようになった。
 母親を亡くした父親は第一線を退く決意を決め、長男次男を社長に据え、自分は会長職になり、世界旅行へと旅だった。
 高校を卒業した周は、自宅に引きこもり、兄たちが世話をしていた。母親の死や父親の旅行、兄たちの忙しさから、寂しさを募らせていた周の様子がおかしくなっていることに気付いた時は、すでに周は少しおかしくなっていた。
 医者の診断から、鬱病だと判明し、兄たちは更に周を守るために屋敷の敷地内に平屋建てを立て、周の行動を制限し始めた。
 周りはその言い訳を鵜呑みにした。
 そうしたことで周は籠の鳥となった。
 だが美しいカナリアが鳴くところを人は見たことがない。


 和納家の大きな庭は、隣の家が見えないほどに緑が植えられており、壁も高い。防犯システムも最新のモノを導入している。だから家の中にいる周がどうなっているのか、それを他の人間が知ることはできない。
 周は毎日をテレビと共に過ごしていた。
 朝に兄に起こされ、朝食を与えられた後、仕事に出る兄を見送り、そして入り口の玄関は閉ざされる。出ようと思えば庭には出られたので、鍵をしてしまう意味はあまりない。
 周はその日、天気がいいことに気付いた。
 兄たちにここに監禁されるように暮らし始めてから、天気のことなど気になりもしなかった。ただずっとどうして母様は自分を置いていったのかということばかり気になっていた。そして父様もだ。
 あんなに兄様と言っていたことで怒ったのかとさえ、不安になった。
 兄たちは更に優しくなったが、それでも周の心は満たされなかった。
 ただ今日、たまたま天気がよくなっているということに気付いた。
 そして庭の前のドアを開けて外へと出た。
 庭は、庭師たちが恒例の剪定作業をしに来ていた。
 その一つの木の上で、周と同じくらいの年の子が作業しているのが目に入った。
「やあ、君はここの家の子だね」
 木の上から青年が話しかけてきた。
「俺は庭師の天草(あまくさ)ってんだけど、君は?」
 周はその黒く焼けた肌を持つ青年を見て、少し戸惑ったが、笑顔で名乗ってくる庭師に悪い人はいないとすぐに思い、名前を名乗った。
「……僕は周」
「あ、一番末っ子の子だね。今日は天気がいいから陽気に誘われてきたかな?」
 天草(あまくさ)はそう言って降りてきた。
 周の身長からは二十センチ以上高く、百八十は軽く超えている。兄たちよりも大きな人に出会うのは、高校時代のバスケ部の人を見て以来だ。それでも側で見たことはないため、向かい合って見ると大きな天草(あまくさ)を見上げることになってしまった。百六十しかない周は、長身の人間にある種の憧れがある上に、こうして日の下で元気に動いたことはなかったので、天草(あまくさ)の姿には二重に憧れてしまう。
「ふむ。あんまり元気がないのかな?」
「うん、母様が死んでしまって、父様も旅行に行ってしまったから」
「でも兄さんたちは、君のこと大事にしていると思うけど?」
「……うん、そう、だね」
 天草(あまくさ)にそう言われて初めて、そうだ兄様たちがいると周は思えた。不思議なことであるが、まったくの赤の他人に言われた方が、すごく納得できることだった。
「じゃあ、元気にならないと。ほら、自分の家の庭にこんなに緑があるんだ。ちょうど俺たちの作業も半分ほど終わっているから、見てきてごらん。ここの庭は毎年父さんの会社が請け負っているんだけど、皆で綺麗にしているから」
 そう言われて周は初めて庭をちゃんと見た。
 天草(あまくさ)が言うように、庭の半分の木々が剪定され、綺麗になっている。この季節は花が咲いた後は、ただ緑が茂るだけだと思っていたが、こうした季節も夏に向けて剪定が行われている。
 それを見た周は、出来上がった庭を見に歩いた。
 母親が育てていた花、バラも今の時期に咲いていたことを思い出す。毎年それを楽しみにしていたのだが、去年から見ていなかった。
 緑も深く、ツツジも青々としている。父親が母親のために作った花壇の道は綺麗に保たれていた。
「どうだい?」
 天草(あまくさ)がいつの間にか隣に立っていた。
「うん、綺麗。ありがとう。母様のバラも他の花も綺麗にしてもらってありがとう」
 思い出したようにホッとした声を出した周に、天草(あまくさ)は微笑む。
「でしょ。うちはすごいからね」
 そう言われて、その天草(あまくさ)の笑顔があまりに綺麗だったので、周はそれを見つめてしまった。
 健康な優良児を見るのは久々だった。だから眩しかった。
「明日も来る?」
「え、まあ仕事だから今週いっぱいは通ってくるけど」
「そう。じゃあ、また明日。できたところを見せてね」
 周はそう言って天草(あまくさ)に笑いかけると、出来上がった庭の方へと歩いて行く。残りの出来を眺め、その日の午後は潰れた。
 その日の周の機嫌はよくなり、夜に帰ってきた兄の一人、諒が気がついた。
「周……今日は気分が良さそうだね」
 帰ってきた諒を出迎えた周に、諒がそう言った。
「うん、庭がね、綺麗だったんだ」
 周がそう言うと、諒はなるほどと頷く。四日前から庭の剪定や補修に庭師を雇ったのだ。毎年父親がやっていたことで、今年も忘れなかったらしい。いつもの庭師なので、気にしていなかったが、どうやら周が外で出ていたというから、諒も少しは焦った。
「大丈夫だったかい?」
「ん? 大丈夫だよ。庭師の人がね、綺麗にした半分の庭を見てくださいって言ってね。それで、見てきたんだ。母様のバラも綺麗になってた。嬉しかったなあ」
 庭師が周の姿を見て、話しかけてきたという。
「その庭師は、なんて人?」
「天草(あまくさ)って人。兄様よりも大きくて、すごく日に焼けてた。それで仕事に誇りを持ってて、きらきらした人だったよ」
 周の顔が笑顔になる。
 その笑顔を見て、諒は笑顔になりながらも、心の中でその庭師を恨んだ。自分たちにはずっと笑顔さえ見せなかった周が、見ず知らずの庭師を見て笑顔で会話したというのだ。
 それは許されないことである。
 周は自分のものである。昔からこの子を愛してきたのだ。
「周……愛してるよ」
 諒はそう言い、笑顔で微笑む周を抱きかかえると、自分の部屋に連れて行く。
「諒兄様? 何? どうしたの?」
 そう言っても諒は何も言わず、ベッドに周を寝かせると、その上に覆い被さるようにした。
「……兄様?」
 諒は周に跨がるように乗り、その上で背広の上着を脱ぎ、ワイシャツも脱ぎ捨てた。
 周はそれを訳が分からず見ていて、そしてまた問う。
「兄様、何するの?」
 一緒に寝るだけかと思ったのだが、そうではなさそうだった。それが分かってしまい、周は逃げるように体を起こそうとしたのだが、それを諒に遮られた。
 真剣な顔をした諒が、周の顎を掴んで真っ直ぐに見てから言った。
「周、愛している」
「兄様……いやぁあっ」
 咄嗟に逃げなければと思い、暴れるのだが、諒は手慣れたように周のワイシャツのボタンを引きちぎって開くと、そのワイシャツで周の腕を拘束した。
「な、にを、兄様!」
「大きな声を出すと、雷に見つかるよ」
「雷兄様っ! 助けて! いやぁ! 諒兄様、嫌いっ!」
 暴れて逃げようとする周に、嫌いと生まれて初めて言われた諒は、カッとなり、周を乱暴に扱った。
 諒は周のズボンを一気に脱がし、下着も剥ぎ取って裸にしてしまう。そして周の足の間に体を入れ、押さえつけながら首筋にキスをした。
「いやっあっ」
 逃げようともがくと、起き上がったところから諒が周の体にキスをして舌で舐めていく。
「あっいやあっやめてっ! 兄様! いやっ!」
 そう叫んでも、声が誰かに聞こえることはない。
 次男の雷は今日は別の会社の接待に呼ばれ、深夜にならないと帰ってこない。
 それを諒は知っている。周もそれにやっと気付いた。
「助けなんてこないよ。周は私と愛し合うんだ」
 いつもはにこにこ笑っている諒が、恐ろしい顔をして周に言った。これは悪い夢だと思うほどに、諒の変貌が恐ろしく、周は震えてしまい、抵抗ができない。
 それをいいことに諒が周の体を舐め回し、音を立ててキスマークを残していく。
「いやっやめて……兄様……」
 周は泣きながら懇願したのだが、今の諒はそれを聞こうとしない。何が兄の機嫌を損ねたのか、周には理解ができない。なぜ庭師の話をしていて、こうなったのか分からない。
「いやっあっあっ」
 嫌だと周が逃げ回るのを諒は押さえて、とうとう舐め回していた舌が周の乳首に辿り付いた。
 ザラリとした舌が周の乳首を舐めあげ、勃起させていく。柔らかかった乳首は諒の舌ですっかり硬くなり、それを諒の唇が吸っていく。音はいやらしく鳴り響き、チュッチュウっとわざと鳴らしているように音がした。
「いやあああっあっんあんっ」
 何も感じない飾りだと思っていた乳首が、舐められるたびに腰に痺れが起こる。ビクンビクンと体が跳ねて、周にはどうしようもなかった。
 怖いと思っていた諒が優しく乳首を舐めあげてくる。そしてそれが最初はなんともなかったのに、今は気持ちがいいという感覚なのだと気付いた。
「あっんっ……あんっ……あぁっ……いやぁあ……兄様……んあっ」
 いつの間にか周のペニスが勃起し始めていた。
 初めて勃起をした時、どうしていいのか分からず、諒に抜いてもらって、オナニーというモノを教えてもらった。だが、それがとてもいやらしく思えてなかなか周はしようとは思わなかった。
 それに最初に諒がしたようにしても、簡単にはいけず、諒の手を思い出しながらオナニーをしていたくらいだ。
 その諒の手が周の乳首を掴み、指で押してくる。
「ああ、周……可愛い、周。美味しいよ……」
 諒がそう言いながら周の乳首を吸い上げて、そしてだんだんと下へと降りていく。腹を舐め、へそまで舐め取ってから、足の内ももにもキスを降らせる。
「あっだめ……あっ兄様……」
 すでに周のペニスは勃起してしまっていた。
「ああ周……私で感じてくれている」
「あぁあぁああっ!」
 諒が周の小さなペニスを咥えて扱き始める。初めて諒にオナニーをされた時以上の衝撃が周を襲う。ビクンと跳ねた周の体を受け止め、諒はペニスを舌で舐めあげていく。
「あっだめっ兄様っああぁっん……だめっだめぇ……」
 小さな抵抗がだんだんとなくなっていく。それに合わせて諒は唾液を指にたくさん付けて、周のアナルに指を挿入した。
「んぁあっ……やだ兄様ぁ……そこは……だめ」
 一本の指が入り込み、中を押し開いていく。その感覚に少しの違和感があった。この指を周は知っているような気がしたのだ。


2

「ああぁあっだめぇ……んぁあっ」
 入り込んで掻き回してくる諒の指に周は翻弄される。
「あっあっんっあぁあっあっあぁっ」
 ズンズンと指を増やして入り込み、中を掻き回してアナルを広げる動きに、周の腰がビクビクと跳ねた。前立腺を撫で上げるように諒がしているせいであるが、周はそれを知らない。
 男でもアナルで感じることはできるだなんて常識を誰も教えてはくれなかった。けれど、この感覚を知っている。
「いやぁ、なぜ……なぜ……あぁあっあっあっ」
 困惑している周に向かって、諒は言った。
「クスリで眠っている時に、ここを毎日舐めて弄っていかせていたからね。周はオナニーをあまりしないから……ふふ」
 諒の言葉に周は言葉を失った。
 諒が周の乳首を舐めながら、アナルを何度も指で突くからだ。
「あっあっあぁあっんっああぁあっ……んぁあっあぁっ!」
 乳首を舐められ歯で甘噛みされながら、指でアナルを掻き回され、周は嬌声をあげて達した。
 ピューッと小さなペニスから精液が飛び出し、それが腹を濡らした。ビクビクと快楽の頂点を感じた体が痙攣をする。周の体が弛緩(しかん)するのを諒は満足した顔で見下ろしていた。
「可愛く達ったね、周」
 諒はそう言って周にキスをする。
「うふっ……んふっ」
 息を吸うために開いていた口に、諒の舌が侵入してくる。それを追い出そうとしたのだが、逆に口を開かされ諒の舌を招き入れてしまい、舌と舌が絡まんってしまう。
「う……うう……ん」
 舌を絡めていたと思っていたが、周の口腔を諒の舌が陵辱し始める。自分のモノとは違うザラリとしたものが口の中を這い回り、溢れ出る涎(よだれ)がたまっていくので、口の端から溢れる。だが次第に二人分の混ざった涎(よだれ)を周は飲み込むしかなかった。
 ごくっと喉が動いているのを諒は感じて、満足したように唇を放した。そして周の顔中にキスをして言った。
「可愛い周、愛してる。愛しているよ。誰にも渡さない。絶対に」
 諒のすさまじいまでの愛情は、周の家族愛の域を超えていた。ぞっとするほどの執着は、溺愛という形で形(なり)を潜めていたが、実のところ、こうしたかったという独占欲から来ているものだった。
 周は半分血の繋がった弟であるが、それでも諒の思いは止められるわけもなかった。ずっと可愛いと手間暇かけて育てたのは、目に入れても痛くないほど可愛がったのは、自分だけのものにしたかったからだ。
 両親からさえも奪い取るようにして、周を手に入れようとした。結果、母親は病死し、父親はそのショックで逃げた。独りぼっちになったと錯覚した周をこうして屋敷に閉じ込め、鬱病という診断を利用して睡眠薬を与えてから、体を触るようになった。
 溺愛した周の体、それは諒の心を歪(いびつ)にしていく結果になった。
 周を体をセックスができるように作り替えるのに一年かけた。薬の量を増やし、更にアナルまで開発した。
 すべて周が知らないうちにだ。
 すでに狂っている諒を止める手段は、周にはない。ただ次男の雷に助けを求めるだけしかできなかった。
「いや……いや……兄様……雷兄様! 助けて!」
「雷の名前を呼ぶな!」
 叫んだ周に対して、諒が声を荒げた。周の顔の横の布団に拳を叩きつけ、見たこともない恐ろしい形相で周を睨んでいる。
「……ひっ」
 周の喉の奥で息が音になった。諒に怒鳴られたことなど一度もなかった。それくらいに溺愛してくれていた。それなのに、今日の諒は恐ろしいほどに真剣だった。
「周……私を愛してくれとは、言わない。だが、私を拒否するな……私を」
 諒はそう言うと、周の足を掴んで引き寄せる。周のアナルの入り口には諒のペニスが当てられていて、それに周はまさかと思った。
 だがそのまさかが起こってしまう。
「私を中に入れてくれ」
 諒がそう言って、周のアナルに自分のペニスを突き刺していく。
「はぁっ……あああっ」
 男同士のセックスがアナルですることもあるのは、周も知っている。耳年増で同級生が冗談で言っていた話の中に、そういう話もあった。だが周はそれは自分と関係ないし、一生縁がないと思っていた。
 自分はいつか両親が選んだ女性と、それなりに恋愛して結婚をするのだと。
 そういう風に思っていたのに、自分が女性の役をやらされている。
「いぅうう……ひぃああぁ……やめ……兄様……あっあ゛っ」
 諒の凶器のようなペニスは、周のモノとは比べものにならないほど大きい。それを知っているから、あんなものが自分のアナルに入るなんて思いもしなかったことだ。
 だが、周のアナルの奥まで諒のペニスが侵入し、さらには指さえ届かなかったところにまで諒のペニスが入っている。
 あり得ない。こんなことあり得ないと、頭で否定はしても実際には起こっていることである。だがそれを受け止められず、心が壊れてしまいそうだった。
 だがその心の壊し方を諒は知っていた。それも周すら予想しない壊し方である。
「やっと周の中だ……ああ……気持ちがいい。周……お前にもこの快楽を分けてやるからな」
 諒は熱にうなされた譫言(うわごと)のように言い、ゆっくりと腰を使い始めた。
「うっ……あっ……うっああっ……んふ……あっ……いやっ……いやいや……」
 ズンと入り込んでくるペニスに首を振って抵抗してみてせるが、ズルリと抜ける感覚にゾワッとした快楽が押し寄せてくる。指とは比べものにならない質量が内壁を圧迫しているが、そんなものは十回ほど挿入された後は違和感がなくなっていく。
 それよりも違った感覚が押し寄せ始め、周は困惑した。
「いやっあっああっ……ああっあっあっあんっあんっ」
 自然と甘い声が口から出てしまうのだ。自分の声だと思えないような甘ったるい声に、最初は周も自分が出している声だとは思わなかった。だが次第にそれが自分の口から出ている声だと認識し、一生懸命口を閉じた。
「んふっふっふっんふっ! ふっんふっ」
 そのわずかな抵抗に、諒はクスリと笑って言った。
「駄目だよ周、声を殺しちゃもったいない」
 そう言って諒は周を突いていた腰の動きを強くした。挿入が早くなり、さらには前立腺をも擦りつけるやり方に、周のわずかな抵抗も空(むな)しく終わりを告げる。
「……んふっあっあぁああっ! あっ!あっ!あっ! んあぁっ!あっああっ!」
 声を我慢していたせいで、いつの間にか嬌声が大きくなっていたことに周は気付いてなかった。諒に強引に口を開かされた周の嬌声は、部屋中に大きく響き、いやらしく体さえもくねらせた。
 自分の意思とは違う淫らな動きになる体に、周は戸惑った。アナルを擦られて気持ちよくなるのはおかしいと思うのだが、それでも実際に気持ちよくて、体が自分から動き始めてしまう。
「あっあっんぁっ! あっあっぁあっ! あっ!あぁ!」
 諒は、周の腰が動き出したことに気付いたが、それは口にしなかったが、口の端で笑った。
 周は思った以上に快楽に弱くできていたらしい。
 そういえば、周の体を弄っている時もそうだったが、昔、オナニーのやり方を教えた時も気持ちよすぎて諒の手の中で痙攣をしていた。あの初々しさに諒の心は歪んだ。
 周を抱きたいという歪んだ心を何年もかけて育ててしまった。
「周……ああ、いいよ周」
「あっ……やっあっ……兄様……いやっいやっ」
 周は首を振りながら、快楽に溺れそうな自分を認めようとはしない。けれどそのたびに諒が前立腺を突きあげてきて、その否定を嬌声に変えた。
「あんっあんっあんっあっあっあっんっあぁああぁあ――――――っ!」
 前立腺を突き上げて追い詰めたら、周は射精をした。吐き出された精液が、周の腹を濡らす。
「周……お尻だけでいけるようになったね」
 諒はそう言い、更に腰を強く打ち付ける。
「今、周の中に種付けしてあげるからね」
「いや……兄様……いやあ」
 周は諒の下から逃げようをするのだが、押さえつけられていては逃げられない。それまでの優しいやり方とは違った動きに、周は何度も首を横に振った。
「周……周……あぁ」
 諒は奥まで突き入れてから、周の中に精液を大量に吐き出し、本当に種付けでもしているかのように、何度も奥で擦りつける。
 その精液を受けて、周は嬌声を上げていた。


3

「――――――っ」
 信じられないことに実に兄に女のように扱われ、抱かれた。それが周にはショックでことが終わった瞬間、周は声を殺して泣いた。
「周、泣いても駄目だよ。周がいけないんだからね。他の男を誘惑して、こうしようとしていたくせに」
 諒がそう言うのだが、その意味が分からない。
「そんなこと……してない……してな……」
 周がそう言うのだが、その時に思い浮かんだのは、あの天草(あまくさ)という青年の顔だった。
 ハッとした周に、諒が不気味な笑みを浮かべて言った。
「思い浮かんだね……駄目だよ周」
 それは許さないと諒が口にし、周はそれが諒をおかしくした原因かと気付いた。
 天草(あまくさ)の話をしたとたん、おかしくなった諒。
「ちがっ……そんなんじゃ……」
「ないって? 周が楽しそうに家族以外の誰かの話をするなんて、初めてだって気付いてない?」
「……え?」
「私は周が言ったことなら、何でも覚えているよ」
 諒の執着に対して、周が初めてゾッとするほど恐怖した瞬間だった。
「周……愛しているよ」
 諒がそう言うと、まだ周の中に入っていた諒のペニスがガチガチと硬くなり、さっきよりも酷く大きかった。
「……いやっ……もういやっ……助けて!」
「駄目だよ周、これから周は毎日私に抱かれるんだよ」
 諒がそう口にして挿入を開始した。
「いやあああっ! あっ! んぁあっ!」
 諒は周を突きながら、周の乳首を摘まみ上げた。
「あぁあああっっ!」
 快感が脳天を突き抜ける感覚に、周の体が仰け反る。それを利用して諒が周の乳首に唇を付け、吸い上げて噛みついた。
「あっんぁあああぁあっ! あああっ! いやあぁあっ!あっあっあっあっ!」
 乳首を甘噛みされながら突かれると、勃起した周のペニスがピュッと精液を何度も吐き出す。
「あっ!いやっとまらな……い……いやっあっあっ! んぁあっ!」
「周、それは気持ちがいいってことなんだよ。いいっていいなさい」
 それに周は首を横に振るのだが、そのたびに乳首を噛まれた後引っ張られて、体が仰け反ってしまう。次第に逃げようする周の体が反転して、俯せになると、バックから諒が遠慮なく周を突きあげた。
 周の腰を掴んで、体を揺らしながらピストンを繰り返し、甘やかな快楽が周を襲った。それまでになかった快楽が脳天を突き抜け続け、周は嬌声だけをあげるようになった。
 否定の言葉は忘れてしまったかのように。
「あぁあっいぃっああっ……いいっ……おしり……気持ちいぃ……ああっ!」
 おかしいこととは分かっているが、アナルで感じるようになってしまったのだ。諒が一年慣らしていた結果、周の体が快楽を覚えていた。それが周の意識を超えて、完全に脳を支配した。
「ああ、周……すてきだ」
 感無量とばかりに諒が腰を強く打ち付けると、周の体はその動きに翻弄される。ガクガクとする動きに合わせて、腰が勝手に動いていく。アナルの内壁が諒のペニスを銜え込み、押し入って出て行く感覚に液体をはき続ける。
 先に吐き出した精液と混ざり、それが泡に形ながら周と諒を繋いでるアナルから漏れて滴り落ちる。
 周は諒に突かれている間にドライオーガズムを二回も迎え、完全に頭の中は、諒のペニスのことで一杯だった。
「……お○んちん、きもちっいいっああっいいッ……兄様のお○んちん……ああっっ気持ちいいぃっ!」
 周はそう叫び、最後には諒の精液を奥に受けて潮を吹いた。
 尿のように吹き出た透明の液体が、ベッドを濡らしていく。
「はは、潮を吹くほど気持ちよかったのか、周」
「……あっあっ……あっ……」
 諒が名残惜しそうにペニスを抜くと、周のアナルの中から諒の精液がゴボリと吹き出た。その感覚にさえ、周は快楽を得てしまった。
 朝とはきっと、すべてが変わってしまった。
 そう周が思った時だった。
 諒の部屋のドアがノックされた。
「諒兄さん、周はこっちにいるのか?」
 その声に周ははっと我に返る。
 いやだ、雷にはバレたくないとばかりに、諒にしがみついた。諒は分かったと周の手を撫でてから部屋の入りに行き、雷と話している。
 幸い、入り口からはベッドは見えない。更に部屋の防音を重視したため、部屋の入り口にインターホンのようなものを付けるという部屋の構造から、さっきまでの周の嬌声は聞こえてはいない。
「……もう寝ているから、用があるなら明日にしてくれ」
 時計を見ると九時を回っている。実質、一時間以上もセックスに明け暮れていたのだと諒ですら驚いたほどだ。
「早いんだな、分かった」
 雷は諒の言葉を受けて、そのまま部屋に引き下がっていく。
 諒は部屋の鍵をかけてから、ベッドに戻り周の腕を掴んで言った。
「周……雷には知られたくないんだね。なら、自分で毎日来るんだよ。セックスしに」
 諒が周が掴んでいる腕を引き寄せて、呆然としている周にキスをする。
 甘く甘くキスをされ、周はまた快楽の火がつき始めたのに気付いた。
「周、今度は声を殺して。雷に聞こえるよ」
 その言葉に周はビクリと体を震わす。それは恐怖ではなく、期待の震えであることに気付いた周は、自分の体がもう昔のようにならないことを悟った。


 次の日、天気は晴れ。
 昼まで寝ていた周は、起きた瞬間に昨日は諒にセックスを強要され、あのまま失神してしまったことを思い出した。
 嫌だったのに、嬉しかった。
 それが周の気持ちだった。
 諒のペニスが突いてくるたびに快楽を得て、あり得ないほどの快楽を得た。その快楽が気持ちよくて、最後は自分で諒の上に乗り、腰を自ら振って射精もした。
 お風呂に入っても湯船やバスタブの中でと、最後には外から見られるかもしれないというのに、庭の方を向いている窓のカーテンを開けてセックスをした。
 諒は狂ったように周を求め、最後には周もそれに応じていた。
 だが冷静になった今、それが恐怖だった。
 自分たちは片親とはいえ、血が繋がった兄弟だ。それなのに、こんなことになるなんてあり得ないことなのだ。
 雷に知られたらきっと軽蔑されるだろう。
 もう、雷に泣きつくことすらできない。
 昨日の痴態を思い出せば思い出すだけ、自分に非がないとは言えない。
 諒のペニスを咥えて、その精液さえ飲んだのだ。これで違う、脅されたとは言えない。
 それが分かっているだけに、周はこれからも諒に抱かれて生きていくしかない。
 昨日まで見ていた美しい世界が、鈍(にび)色に変わり、周は部屋から出ることもなく、その日一日をベッドで過ごした。

 その日は、雷が早くに帰ってきた。
 出迎えはしなかったが周の部屋にやってきた。
「今日はどうしたんだい? すごく辛そうだ」
 そう雷が言うと、周は何でもないと首を振る。
「今までは、何でも話してくれたのに、周は隠し事をするようになったんだね」
 雷が突然そう言い出して、周はドキリとしながらも首を横に振った。
「違う……そうじゃない……ないけど」
 周がそう言うと、ベッドに雷が座り込む。
「違う? じゃあ、諒兄さんと寝ていることを、どうして俺に隠すんだ?」
 雷がいきなりそう言った。
「…………なんでっ……知って……」
 あまりのことに周は正直に反応してしまった。
「防音とはいえ、あれだけ嬌声を上げ続ければ、聞こえてしまうんだよ周」
 雷がそう言い、周はあまりのことに言葉を失う。
 だが雷は周を助けるためにそう言ったのではなかった。
「あまりに周が甘い声を上げ続けるから、俺も何度も周で抜いた。兄さんは昨日好きにしたのだから、今日は俺と寝るんだ」
 雷はそう言うと、逃げようとした周をベッドに押し戻し、諒と同じように周をベッドに押しつけた。
「兄様……なんで……なんで?」
 周が信じられないと声を出して、泣きながら懇願したのだが、雷はそんな周にキスをして言った。
「俺も周を愛しているんだ。兄さんだけのモノにはしない」
 そういう雷を見上げた周は、ああっと心の中で絶望をした。
 雷の顔は、昨日の諒と同じ顔をしている。
 そして体格差で、昨日と同じく周に逃げる道がない。周にはこの屋敷の中に味方はいない。諒が戻ってきても、きっと諒にも同じことをまたされるだけだ。
 そして雷に懇願しても、雷も昨日の諒と同じことをするのだ。
 その通りに、雷は周の体の上に付けられていた諒の付けた痕を消すように体中を舐め回しキスをして、足の先までも大切そうに舐めた。
 周は抵抗することができず、雷の好きにされてしまう。
 心が壊れた方がきっと楽なのだ。
 なのに、心が快楽に引き摺られて、あり得ない言葉を口にする。
「あっあっ気持ち……いぃ……ああっ兄様……」
 雷に乳首を舐められて達し、雷のペニスを咥えるだけで腰まで揺れた。
「ああ、すっかり兄さんに躾られて……でも周、いいよ。それで」
 雷はありのままの周を受け入れ、当然のように挿入もした。
「ああっ! ああっ!あっ!あっ! あっ!ああっ! んぁあっ!」
「ああ……周っ」
 体は快楽をすっかり貪るようになっていた。雷がペニスを奥まで突き上げると、周は何度も射精して達した。諒とは違う、力任せで乱暴で、獣のようなセックスだったが、それでも快楽は十分得られた。
 パンパンパンパンっと強く打ち付ける腰の動きに、周は翻弄され、嬌声を上げた。
「あっあっあっあっあぁあああああぁ――――――っ!」
 雷にまでも精液を奥まで注がれた。
 その時だった。
「周……雷には相談しない約束だったじゃないか?」
 その言葉が降ってきて、周はギョッとして目を開けると、諒がベッドに腰をかけて周の顔をのぞき込んでいたのだ。
「諒……兄様……っ! あぁあっ!!」
 諒が見ている前で雷が挿入を再度始めた。
 両方の兄に陵辱され、周の頭はおかしくなりそうだった。けれど雷に突かれると、嬉しくなってしまい、嬌声は口から出る。
「あああっ! あっ!ああっ! んぁあっ!」
 そんな周を諒は見つめて言うのだ。
「そんなに雷のペニスがいいのかい? 昨日は私のペニスで喜んでいたのにね」
 そう言って諒が勃起したペニスを周の顔に擦りつけた。諒は周の顔に跨(また)がり、ペニスを口に挿入する。
 周は口を諒に、アナルを雷に犯されながらも快楽に身を投じた。
 もうどうでもよかった。
 この家でこの痴態を知らない人はいない。もう隠すことでもないのだ。
 そう思ったら、妙に心が楽になり、雷の腰使いに身を捩(ねじ)らせながらも、諒のペニスに舌を絡めて喉の奥まで突き入れられても吸った。
「んっんっうんっんふっ……んふっ……んんんっ!」
 アナルの奥で感じて達すると、雷も奥まで突き入れて達し、精液を大量に送り込んでくる。それと同時に諒も達し、周の口の中に精液を吐き出した。
 周はその精液を喉で受け止め、そしてそれを飲み込んだ。
「そう、周よくできた。いい子だ」
 周は精液を飲んでしまうと、昨日教えられた通りに諒のペニスを綺麗に舐め取った。
 雷がペニスを抜くと、中から大量に精液が出てきて、それで周は体を震わせてドライオーガズムを迎える。
「あ――――――っ!」
 ビクビクと震える周の体を、二人の兄が眺めて言っている。
「周は、随分淫乱だね」
 雷が感心したように言った。
「そうだな。これは二人で相手をしないと、とてもじゃないが他に男を作る体だ」
 諒は天草(あまくさ)のことをまだ根に持っているかのように、当てこすりをした。それに雷が反応し、ことの顛末を雷が知ることになるのだが、雷はそれを聞いて言った。
「もう他に男を作ろうとしていたのか、なんて子だ」
「あり得ないだろう。私たちの愛を無視するなんて」
「そうだよ、兄さん。周は一生ここに閉じ込めよう」
「鍵を外からかけて開けられないようにしなければ」
「ああ、それは大事だ」
 二人は意気投合して、周を籠の鳥にする計画を立てていく。周はそれを聞きながらも、もう抵抗はできなかった。
 この兄たちに捨てられたら、きっともう生きていけない。
 母親は死んで、父親は逃げた。もう兄たちしか周のことを愛してくれる人はいないのだ。
 ああ、これが愛なのか。
 周はだんだんと思考が低下していく。
 今は、そんなことよりも。
「兄様、このお○んちんを……ください」
 二人のペニスを周自ら掴んでその双方にキスをし、そして引き寄せて誘った。
 もういいのだ。これが愛で。
 外の楽園なんか、きっと意味はない。
 この世界で終わっても、後悔はしないだろう。
 周は、一瞬だけ頭を過ぎった天草(あまくさ)の笑顔を胸の奥に閉まって、二度と開かない鍵をかけた。

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