R18novel短編

Juice-1

 その日の川合は、暇だった。
 テレビは野球やサッカーの試合がやっていたが、スポーツ観戦に興味がない川合には、普段やっている映画が潰されたので腹が立つことだった。チャンネルを回すとゴルフ、釣り、競馬と興味がない特番がやっている。
 今日の休みに限って何もない。見たかったのは映画で、ドラマだった。
「なんだよ、今日に限って何も無しかよ」
 舌打ちをしてテレビのリモコンでテレビ欄を出してみるが、ものの見事に映画やドラマがやっていない。
「そろそろネットの有料チャンネルに入るかな……」
 そんなに見る暇はないと思っていたが、映画館に行かなくなって久しいから、映画はすべてレンタルするしかなかった。そのレンタルも借りに行く時間や返す時間が取れなかったことで次第に足が遠のいた。唯一テレビでやっている洋画劇場などが楽しみだったが、それもスポーツが盛んな夏には潰れることが多くなった。
 だがそんなレンタル店であるが、最近山の向こう側に新しく大手の店舗ができると、こちらがわのレンタル店が潰れた問題がある。
 田舎というのも不便である。
「……こういう時こそレンタル店だよな」
 川合は車の鍵を取り出し、家を出た。
 日中は暑かったが、日が暮れてきて気温が下がっている。だが車の中は熱気が溜まっているのを吐き出し、冷房を入れて乗り込んで出発した。
 どういうわけか山を越えた向こう側の賃貸家賃が二万円近く高く、駐車場代も一万ほどかかるのに、その山を越えたこちら側は駐車場代はなく、家賃も安い。ただ大きなショッピングセンターはないし、学生だとバスで通わなければならない。
 だが車を持っていると話は別だ。多少のガソリン代は通勤手当で賄えて、こちら側の町に住んだ方がお得ではある。だが夜に遊ぶようなところはないし、車に乗るなら飲酒運転になるので飲み会にすら参加できない。
 不便である部分と得する部分とがあり、一概にどうこう言えないのだが、川合はそれなりに町を気に入っていた。
 その山は最近になって、トンネルが掘られ始め、後三年ほどで完成するときいた。つまり山を越える山登りは後三年後にはなくなるわけだ。
 その山を車で上がり終えたところに、小さな休憩所がある。
 この山から見る夜景が綺麗な場所なので、小さな公園が作られ、さらには最近まではレストランもあった。そのレストランが潰れたのは山の下に新しいレストランができてしまったためだった。だが川合はレストランが潰れたのは、レストランの食事が美味しくなかったからだと思っている。
 実際、微妙な味でどうしようもなかった。
 噂では、新しい店舗になると言っていたが、その気配は消えてすっかり廃墟である。土地の持ち主が死んで、相続で別の人間に変わったことで売りに出され、町が買い、大きな公園にするのだとかいう話もあったが、半年間何の変化もない。トンネルができることで、そのすべてが廃案になったのだろうと思われる。
 今や休憩する場所には自動販売機がたくさん並び、それで喉を潤したい人たちが利用している程度で、公園もすっかり寂れていた。
 川合はそのレストランの駐車場に車を止め、販売機のジュースを買う。
 さすがにまだ暑いために、何か飲まないとやってられなかった。
 車が時折通り過ぎているのを見ながら、川合はコーヒーを飲んだ。
 山の景観が綺麗で、風がよく抜けるために涼しい。この場所で涼んでいる方が気持ちよくて、川合はコーヒーを飲み終えると、缶をゴミ箱に捨てて車に歩いて行く。
 すると一台の車は入ってきた。
 それをなんとなく見ると、販売機のジュースを補充する車だ。その車が入り口を塞ぐように止まり、川合は舌打ちをしてしまう。入り口を入ってすぐに止めてしまうのは、補充をしやすいからいつものことなのだろうが、車がいるのが分かっていて塞いでしまうか?と思ったからだ。
 だが退いてくれと言うのも面倒で、川合は車のエンジンをかけてクーラーをかけた。そしてラジオを付けて時間を潰した。メーカーを見てみると大手のメーカーで、その自販機は一個だけである。品出しから小銭確認までしてもそんなにかからないだろうと思ったのもあったが、それよりもさっき飲んだコーヒーの苦さが口の中に広がり過ぎて、ちょっとだけ気分が悪かった。
「……あれってこんなに後味が悪かったっけ?」
 いつも買っているコーヒーなのに、今日だけ味が違うような気がする。もしかして賞味期限が過ぎていたなんてことはないだろうか? そう思うような苦さである。
「もう一本お茶でも……買っておく……かな」
 だんだんと目の前が暗くなる。夕方ではあるが、それでも暗すぎる。
「あれ……なんで……瞼が……」
 瞼が重く、勝手に目が閉じる。川合は抵抗をしようとしたが、強力な眠気が川合を襲い、川合は車の中で背もたれに凭れてそのまま寝てしまった。
 販売機でジュースの補充をしていた男が、車の窓の外に立っていたのを見たのが、川合の眠ってしまう前の記憶だった。


 男は川合がうっつらし始めたのを見ると車に近づいて眺めた。
 川合をなんとか寝ないようにしようと抵抗しているようだったが、それでも睡魔に勝てるわけなかった。そのまま眠り始め、最後に男を見たと思う。
 男はそれを確認すると、まず川合の車の運転席のドアを開けた。後部座席を空けておき、運転席から寝ている川合を一旦外へ出し、後部座席に移した。
 そして川合の車を運転して、レストランの裏手になるところに車を止めた。 すぐにエンジンを切って、車の中身を確認する。
 ダッシュボードに入っていた財布から、免許証が見つかり、名前が川合雅人(まさと)であることが分かる。
「まーさとくんか、可愛いケツしてたし、今日はたっぷり時間もある」
 男がそう言い、一旦車を出る。それから川合を抱えてレストランの中へと入っていく。
 レストランはテーブルやソファがすでに撤去されており、広い空間があるだけである。その奥の方にある一角を、男は少し改造して部屋を作っていた。外から見ればモノが置いてあるだけの場所に見えるが、中に入ると薄汚れた部屋の中に電気まで通していた。
 川合をその部屋に運び、床にマットレスを敷いただけのベッドに横たえた。 男はある事情から、正式なベッドは用意しない。マットレスだけ買い換えるために捨てやすくしてある。
 男は川合の腕を縛り、そこに寝かせてから一旦レストランの外へ出て、販売機の補充トラックを動かし、レストラン内に入る。それからレストランの敷地内に入れないように通り道に鎖をかけ直し、鍵をしてからトラックをレストランの裏に移動させて隠した。
 レストランに戻ると、レストランの駐車場のセキュリティを作動させて、侵入者が分かるようにしてレストラン内の部屋に戻った。
 この廃墟のレストランは、たまに悪戯目的の人間が肝試しに入ろうとするため、持ち主がセキュリティを付けたのだ。だから入ると通報され、監視カメラが作動して逮捕もされる。実際に大学生が何人も逮捕され、話題になってからは侵入者はほとんどいなくなった。
 男はそれを上手く利用して、この中を自由に改造した。。
 男は川合の元に戻り、川合の服をナイフで切り裂きながら剥ぎ取った。
「雅人(まさと)くーん、いいね……」
 男はそう言いながら、川合の全身をスマートフォンで撮影し、メッセージを仲間のアプリへ送った。アプリはその直後からポンポンと返信が返ってくる。
 ほとんどが特徴を聞いてくるものであるが、中には抱き心地の感想を求めるものや初めては面倒なので調教してくれたら考えるなどの答えが溢れてくる。
 男はにやりしながら様々な場所を撮影し、送り続け、さらには撮影機材を持ってきて撮影を始める。男は目や口が開いている目出し帽を付けて雅人(まさと)の体を自撮りしているライブ映像を始めた。
 海外のアダルトサイトを利用した会員限定の場所は、こうしたものに使われることもある。参加しているのは世界各国の人間だが、オークションと銘打ったために、参加して商品を受けれる相手に限る。
 男のサイトには次々に人が殺到し、日本国内のみの制限をしたルームには五百人ほどの視聴者が参加している。その人達がチャットに書き込みをして、男に注文を投げかける。
『早く始めてくれ』
『雅人(まさと)くんペロペロしてやって』
 川合のプロフィールは説明欄に書いてあり、それを皆が読んでいる。免許証に載っていることは書かれていたし、その他の名刺なども使われて会社や役職までも全部バレている。
 この動画を視聴者は録画をしているのだが、彼らがこの情報を悪用することはない。訴えられたら一発で自分が捕まるようなまねをするわけがなく、あくまでも商品についているサイズ、食品についている内容物などの説明に過ぎない。
 身長や体重は男の憶測でしかないが、大抵体重なら一キロほど、身長も一センチくらいの誤差しかないことは、男のことを知っている人間なら、想定内のことである。
 顔の大きさなどからメジャーを使い、肩幅、首の長さ、目と鼻の位置の割合など、細かな作業が行われていく。もちろん乳首の大きさも計られるし、ペニスの萎えている状態と勃起した状態まですべて計られる。
 やっとすべての測定と写真が撮られて、男が川合に触り始める。
 まず男がやったことは、催淫効果があるクスリを与えることである。口から液体を飲ませ、内部から効かせるのと、アナルの中に直接塗りつけ、直腸から吸収させることをした。
 まず直腸から効き始め、それが切れる微妙な時に口から飲んだものが効き始める計算だ。
「ん……ふ……」
 声が漏れるとチャット内が荒れる。
 もっと聞きたいと注文が入る。
 男はニヤついてから川合に触れた。
 首筋から撫で、肌をさするようにして全体を撫で回していく。まるでマッサージでもしているかのように全身をくまなく撫で、体をまず解した。
 乳首に少しローションを垂らし、それを塗りつけるようにしてクルクルと周りを撫でた後に、乳首の先を指で押しつぶしたりしながら撫でた。
 男は手慣れたように川合の乳首を勃起させ、指で摘まんで捏ね、両方の乳首をひたすら弄った。
「んふ……あっ……んあ……あぁ……ん」
 川合の息が上がってきて、声が漏れ始めた。
 どうやら不快感はなく、気持ちよくなっているのがペニスの半起ちで分かる。
 男は川合の乳首を指で何度も撫で回した後、ベッドの横から取り出した洗濯ばさみで両方の乳首を摘まんだ。
「んはっ! ああっ……」
 さすがに衝撃がある。初めてされたであろうなら、痛いのもあるはずだ。川合の顔が不快感で歪むのだが、摘まんだままの洗濯ばさみを指で何度も弾いて揺らし、川合の体がビクビクと震えるのを映像に映し出す。
 川合は座った状態にされ、男に背中を預けている状態で撮影されている。乳首にぶら下がった洗濯ばさみを男が引っ張ったり、揺らしたりしてくるのを最初こそ耐えていたが、次第にクスリの効果が出てきたのか、口から涎を垂れ流しながら、完全に勃起したペニスが画面いっぱいに映し出された。
 川合のペニスはすでに先走りが出始め、皮が剥けているのでその先走りがペニスを伝って落ちると、そこがテカリ始め、余計にいやらしく見えた。
 すると、入札の金額が十万から一気に三十万まで上がり、チャットから文句が出始める。 これもいつものことだ。むしろここまでしかやっていないのに三十万をすでにたたき出している川合の凄さだ。興味がある人間が多すぎるのだが、それでも十万で入札した人間はすでに諦めて録画で我慢すると言い出している。
「さすがにチクニーだけじゃ初心者はいかない」
 男がそう言うと、視聴者も納得している。素人はいないので、説明が早くて済む。