R18novel短編

言霊-2

「お前……兄貴と何やって……」
「セックスだよ。始めて会った日に、何かクスリ飲まされて、頭が変になって体が熱くなってるところをお前のお兄さんに襲われた。お前の兄さん、美味しそうに俺の精液を飲んでいたよ。ペニスおっ起ててな」
 柴倉は口をぬぐった後、武居の前に立ち、武居の制服を脱がしていく。
 武居は兄と柴倉がセックスをしていたという内容に衝撃を受けて、身動きが取れなくなっていた。
「練習が終わるたびに、あいつ、セックスしてくるんだ。好きだのかわいいだの、嘘ばかり口にして」
「…………なんで……?」
 柴倉が怒りをぶつけるように、武居の制服を開けさせ、シャツを捲くって乳首を指で撫でる。プックリとした乳首を弄って起たせると指で摘まんでひっぱたりした。
「あいつ、高校生くらいの子を食いまくってんだって……やっと調べて証拠掴んで突きつけてやったから、もう二度と俺の前に姿を見せないよ」
 柴倉はそう言いながらも、武居の体を撫でるように触り、乳首に吸い付いて吸ったり、舌で転がしたりしている。
 手はズボンを脱がし下着をずらしてお尻をもんでいる。いつの間にか何処かに忍ばせていたローションを使い、武居のアナルに指を一本忍ばせていた。
 武居の兄にされたことを恨んでいるというのに、何故同じことをしようとしているのか、武居には理解できなかった。
 ヌチュヌチュと音がするほどにアナルをほぐされているのだが、武居は抵抗ができない。頭の中で兄が柴倉にしたことが信じられないのもあるが、それ以上に柴倉が嘘を吐く必要がなく、更に柴倉のことを兄に相談したことで、柴倉が言うようなことが起こっていたとしたら、その責任は武居にもあることになる。
 柴倉が怒っているのは、武居のせいでもあるわけだ。
 そう考えてしまい、柴倉に強く出られない。
「……柴倉…あっ…だったらなんで……こんなことっん」
 耐えながらも、息を吐き出しながら痛くないように柴倉の指を受け入れる。 武居は受け入れながらも、どうしてと問うと。
「知らないよ……今日、残ってた武居が悪いんだ……」
「なんで俺が……んぁっ」
 指が二本入り込み、さらに穴を広げた柴倉は、三本の指を広げた穴から指を抜いた。
「……そうだよ、元はといえば、お前が悪いんだよ。お前が兄貴なんかに俺のことを話すから!」
 柴倉はそう言って、武居を床に叩きつけて倒し、俯せにしてから武居の尻を掴んだ。そして水泳パンツをさっと脱ぎ、すでにそそり立っているペニスを武居のアナルに一気にぶち込んだ。
「あっ――――――っ!」
 いきなり異物でさらに大きなペニスだったため、アナルはギチギチに広がっている。柴倉の勃起したペニスはかなり大きな方だったから、武居はその苦痛で顔を歪めるのだが、それでも貫かれたとはいえ、しっかりと柴倉のペニスを銜え込んだ。
「……うぅ……柴倉……こんなことしたって……うぅ」
「うるさい!うるさい!うるさい!!」
 柴倉はそう叫ぶと、強く腰を動かし始めた。
 パンパンと音が鳴るほど柴倉に武居は強く打ち付けられる。ローションを使っているから、内壁が傷つくことはなく、スムーズに挿入が繰り返され、そのローションが滑って鳴る、いやらしい滑りの音が部屋中に響いた。
「……あぁっ、んぁあっあっあっあっんぁあっ」
「んふっ……気持ちいいよ、武居……ああ」
 腰を賢明に振りながら、柴倉は武居の体をなで回した。それは愛おしい何かを撫でるようで、武居はどうしていいのか分からなくなった。
 柴倉は確かに兄のことで弟の武居を傷つけようとしているのだが、愛おしそうな撫でられる背中や脇と、その手が酷く優しくて、何かが違う気がした。
「んぁあっあっあ゛っあ゛っんぁあっ!」
 突き上げられるたびに一緒に息が吐き出されて声が出る。それがだんだんとそうではなくなり、嬌声に変わっていく。こんな状況なのに、気持ちが良くなってくるのだ。
「あぁ……武居……武居……」
 夢中で腰を振り続ける柴倉が、一気に突き上げて武居の中で射精をした。奥まで入り込むように叩きつけられる感覚に、武居は言いようのない高揚感を得てしまった。
「んぁぁああぁぁぁっっ!」
 上半身を支える腕の力がなくなり、武居の腕の力が抜けて床に倒れると、腰だけを突き出した姿になった。それでも柴倉は構わないとばかりに武居の腰を抱き寄せる。
「あっあっ……うそ……なんで、でたのに……なんで、大きいまま……なんだ」
 さっき射精した柴倉のペニスは、瞬く間に完全な勃起状態になり、さっきよりも固く大きくなっている。射精したことでリセットされたような形で復活している。
 足されたローションが滑りを復活させ、ボタボタと落ちながらも、アナルからじゅぼじゅぼという淫猥な音を立てている。柴倉のペニスが幾度も内壁を擦りあげ、武居の嬌声を上げさせた。
「んぁあっはぁっあっあっあっんぁああんっんんっ!」
 快楽を貪る荒い息が漏れ、高まる気持ちを武居は抑えきれなかった。
「いいっ……んっいいぃっ……しぬっ……んぁあ゛っあ゛っぁああっ!」
 柴倉が武居の奥の奥まで突き上げると、武居は木森良さに喘いで達した。縮こまるように体を丸め、ペニスから射精する。それは今日二度目の射精で、バックで突かれて始めて達したことでもあった。
 奥まで突いたままで、柴倉は武居のペニスに手を添えて、立ち上がらせるためにしごき始める。
「ひぅあああぁぁぁぁああっ!」
 達したばかりのペニスを撫でれば当然、敏感になっているのだから触っただけでも、信じられないほどの快楽が襲いかかる。武居はそれだけで達したのか、体をまた痙攣させている。射精はしてなかったが、オーガズムに達したのかもしれない。
 そうした武居の痴態を眺めていた柴倉は、たまらなくて喉を鳴らして唾を飲んだ。
 最初は武居を困らせてやろうとは思った。だが、こんなに武居の体と相性がいいとは思わなかったのだ。
「……んぁあっ! あっ!あっ!あぁあっ!」
 武居のペニスを扱きながら、柴倉が腰を打ち付けると、武居が嬌声を上げ始めた。ビクンッと体が何度も痙攣しているのは、確実に絶頂しているからだ。オーガズムを迎えて、まだそれが収まらないうちにまた快楽を与えられているから、痙攣するしかないわけだ。
 何度も何度も達して、頭が鈍くなっているのか、武居は最初から抵抗はしなかったが、それでも完全に柴倉の手によって堕ちたと言っていい。
「お○んちん……ああぁ……あんっお○んちん……いやぁ……あぁ……っ!」
 絶頂を何回も感じて、頭がおかしくなるのを怖がった武居が、やっと抵抗をし始める。だが、その抵抗が柴倉を更に興奮させた。
 甘ったれた口調で、卑猥な言葉を発する武居がどうしようもなく淫猥だったのだ。
「おっきいの……いやぁあっ……お○んちん……おっきぃああぁあっ!」
 柴倉は夢中になって武居を突いた。
 グチャグチャと鳴る音と、武居の嬌声が響いているが、この時間は警備の見回りもなく、柴倉の練習が終わった後に、鍵を受け取った警備員が見回りをするだけだ。
 だから後二時間は誰も来ない。
「あんあんあんあっあんッ……んぁあっあっあっあっんっ……あんっ!」
 柴倉は武居を思い存分犯した。
 武居はすでに抵抗もなく、されるがままで犯された。

 最後はシャワールームで体を洗いながら、柴倉にバックで突かれて、武居は達すると同時に倒れ込んだ。
 ゼェゼェと息をしているところをシャワーを流されて体を洗われる。武居は溢れ出る精液をアナルから吐き出させられた。嫌がる素振りすらできないままの武居は、柴倉に連れられて部室に脱ぎ捨てられた制服を着せてもらう。
 散々やった柴倉は武居の抵抗のなさから、大体の察しはついたようだった。
「お前……被害者だったんだな……」
 そう柴倉が言うと、武居はコホッと咳を一つしてから、小さな声で言った。
「兄貴が家を出て行ったのは……俺に手を出していることを親に見つかりそうになったからなんだ」
「いつから……」
「何歳かは覚えてはいない。……兄貴はずっと俺の体を弄るのが好きだった。俺はなんとなく親には知られてはいけないと思ってた……親の期待を背負いすぎて、兄貴はおかしくなってたんだと思う。親はそういう兄貴を俺にベッタリさせることで、反抗を免れていたんだ、たぶん」
 何かおかしいと思っているはずの親すら、被害者ぶって弟に兄の精神をゆだねた。
 二人部屋で寝ている時は、兄が必ずやってきて武居の体中を弄っていた。
 それが異常だと知ったのは、武居が小学四年の時。学校行事のキャンプで友人たちと泊まった時にそういうことはしないものであることや、やるなら異性とやるべきことだと知った。
 だが兄はそういう武居の言葉を封じて、武居の体を好きなようにし、中学に上がる前にアナルを使ったセックスまでするようになった。
 こうなった時はすでに兄はおかしくなっていたのだろう。それが分かっていただけに、武居は何も言えず、されるがままで過ごした。兄が可哀想だと思ったからだ。
 武居の兄への親からのプレッシャーは大学受験でピークになる。武居の兄は毎日のように武居を犯してきた。
 だが大学に入ってから、兄の様子がおかしいことに親が気付いた。
 さすがに兄弟仲が異常に良すぎることに不信感を持った親たちに、兄は一人暮らしを薦められ、マンションを与えられた。
 それがいけなかった。
 兄は確かにそれから武居にはそういうことはしなくはなったが、他の誰かを弟の変わりにしていた。
 最初は人を買っていたのだろうが、あの背徳感が忘れられなかったのだろう。
 柴倉の話を弟から聞き、いじめられるほど弱い人間なら、抵抗はしないだろうと思われ狙われた。
 弟を性欲のはけ口にしては駄目だと言われたから、他の誰かを使っている。それだけでも親には安堵すべきことっだったのかもしれない。
 だが崩壊していく兄を、武居は放置しておくわけにはいかなくなった。
「ごめん、柴倉……練習の教師の件は、兄に言って大学の誰かに変わってもらうように言ってもらっておく。だから、こんなことは二度とないから。謝ってもどうにもなるものじゃないけど、ごめん」
 武居は、疲れた体を引きずって、置いてある荷物を持って部室を出ようとした。そんな武居に向かって柴倉は叫んだ。
「た、武居……俺……武居のこと……」
「……それ、聞かなかったことにする」
 柴倉の言葉を遮って、武居が言った。
 その言葉を聞いたら、今決めた決意が揺らぐ。
「……っ!」
 柴倉はそれで武居が今後どうするのかが分かってしまった。
 きっと家族のため、兄のために武居は自分の身を兄に差し出すのだ。そして両親は世間体のために弟を兄に差し出すことを了承するのだろう。そうした家族間の溝がとっくに出来上がっていて、誰もその道から外れようとはしない。
 だから柴倉が武居を好きだと言ったとしても、武居はそれを受け入れるわけにはいかなかった。
 犯罪者の兄を残して幸せになろうなんて、虫が良すぎるのだきっと。
 兄の暴挙の原因は、兄を拒まずに生きてきた武居の責任もきっとある。
 手を出された時に兄を見捨て、親に泣いて縋っていれば、柴倉の手を取ることだってできたかもしれないが、もしの話は夢ですら願ってはならない。
 武居が部屋を出て行くと、柴倉はその場に座り込み、膝を抱えて泣いた。
 自分だって被害者なのに、勝手に恨んで加害者になりかわった。相手も同じ犯人の被害者なのに――――――。

 一週間後、暫く学校を休んでいた武居は、転校していった。転校した場所は教えてはもらえなかったが、武居の兄も大学を辞めてしまったというから結構な騒ぎになっていた。
 どうやらあの後、両親に本当のことを話したのだろう。
 そして揉めた末に親が離婚したという。元々仮面夫婦だった二人は、一気に不満をぶつけ、子供を罵ったらしい。らしいというのは柴倉が後で武居の近所に住んでいる友人からの股聞きだからだ。
 結局親が離婚し、両方が子供を置いて出て行った。
 武居の兄が武居を引き取る形で、何処か遠くへ引っ越したという。
 その後の二人のことは、誰に聞いても分からないまま、柴倉も水泳を辞め、高校を卒業し、普通の大学生になった。
 ――――――あの時の苦い思いだけが未だに記憶に残っている。