R18novel短編

鬼とワルツ-1

「先生、今日の依頼は厳しいんですか」
 そう言われたのは、吹石だった。
 吹石は、普段は探偵業をしている。しかし、裏の職業で不思議な出来事や霊、妖怪などの浄霊なども行っていた。
 今日の仕事は裏の方の仕事で、知り合いの陰陽師から依頼を回されたものだった。
 先ほどから隣で、吹石に話しかけているのは、助手の平宮だ。探偵業の助手であるが、裏家業でも同じことをして貰っている。
「そうだな。憑き物だからな。ちょっと大変だ」
 陰陽師から回された難解な憑き物落とし。霊や妖怪に取り憑かれた人間からおそれらを取り除くのが今回の依頼内容だった。
 専門の陰陽師から回ってくるからには、相当凶悪な憑き物である。それでもそこらの陰陽師よりは吹石の憑き物落としは評判だった。しかし吹石はそれを表家業にしなかった。そう簡単に憑き物落としなどあるわけではないかったから、探偵業をして稼ぐしか生活ができなかったからだ。
「何が憑いているんですか?」
「鬼かもしれないと言われた」
「鬼……ですか?」
 憑き物の中でも鬼は珍しい部類だ。通常は狐(きつね)、狗(いぬ)辺りが多い。力の大きさも鬼の方が圧倒的に強い。種類にもよるが、鬼の中でも小鬼だったならまだ浄霊まではやれるが、名のある鬼だった場合、話が別になる。
 陰陽師から回ってきた時点で、その名のある鬼である可能性が高かった。

 
 依頼主の森家は地方の大きな屋敷で、昔は庄屋として地方を治めていたらしい。そのまま、手に入れた財で起業し、成功した。不動産やビルの所有など、様々なもので財を得たのだが、その分、無謀なことや人に言えないこともしてきたせいで、かなり恨まれてもいた。
 その森家には、親族はほぼおらず、祖父と孫しか残っていなかった。先の大火災のあった時に、親族一同が集まっているところで屋敷があっという間に燃え、死に絶えたのだ。
 その時に生き残ったのが、入院していた祖父と、たまたま隣の屋敷に一人で風邪を引いて寝ていた孫だけだった。
 しかし、その大火災は自然な火災とはいえなかった。まず、台所や暖炉は燃えておわず、火元が怪しかった。放火の可能性があったのだが、一番燃えた場所が親族一同が集まっていた部屋の中央だった。
 当然、燃え始めれば誰もが気付いて逃げることができる場所で、全員が焼け死んだのだが、それもおかしかった。
 部屋には鍵がかかっていたが、中から開けられるはずで、全員が煙を吸ってもいなかったというのだ。
 火災は一気に爆発的に燃え、煙を吸う暇もなく燃え広がり、高温であっという間に人を焼いたことになってしまうのである。クスリで眠らされていたとなれば、それもできたかもしれないが、煙は吸うだろう。しかし解剖して肺を見ても綺麗なままだったという。
 その悲劇にはさすがに同情が寄せられたのだが、話はそこで終わらなかった。
 孫の様子がおかしくなったのだと、祖父から依頼が来たのだ。
 明らかに怯えた様子で、鬼に憑かれていると言った。
 もちろん、最初に話を貰った陰陽師が憑き物落としをしたのだが、取り払ってもすぐにまた憑いてしまうのだという。その繰り返しを一年続け、とうとう陰陽師は自分では力不足だと感じて、他の陰陽師に話を回した。しかし、どの陰陽師が行っても、結果は同じで、鬼はすぐに孫に憑いてしまうのだという。
 孫は部屋の中から出ることもなく、憑いた鬼のせいで、大食漢になった。鬼は何か目的があるわけではなく、ただ孫に取り憑いているだけである。
 目的が分からず、誰かに使役されているのかもしれないという予想までが、これまで手伝った陰陽師たちの意見だ。
 つまり、呪いの一部であり、祖父は病気で長くは生きないことが分かっているので、あとは孫をこのまま鬼に憑かれた状態にしておけば、病院の中で一生暮らすことになるだろう。この時点で、呪った相手の溜飲は下げている状態らしい。
 これ以上の要求がないなら、陰陽師としては放置する他なかった。
 だが、祖父が依頼を続け、吹石まで話が回ってきたのだ。


 吹石達が屋敷に着くと、入院している祖父の秘書が門の前で鍵をあけてくれた。
「私はここまでです。坊ちゃんの部屋は二階の一番奥の突き当たりの部屋でございます。あとはよろしくお願いいたします」
 秘書は屋敷に入るのが恐ろしいと言って、鍵を渡すとそそくさと逃げるように去っていった。
「鍵……どこに返すんですかね?」
 平宮がそう言ったが、吹石はそれを無視した。
 屋敷に着いてからずっと、屋敷の中から強大な力を感じるのだ。
 思ったよりも厄介な鬼であることは明白だった。
 玄関を中へ入る。大きな屋敷は、大正時代に建て替えたもので、新しく建て替えた屋敷の方は先の大火災で燃え尽きていた。なので内部は、無駄に古く、敷かれたカーペットも当時より変えたのだろうが、それでも古かった。
 二階への階段を上がると、異様な雰囲気がありありと分かり、秘書の説明がなくてもそこにいるのが分かる。
 食事などは玄関先に置いておくと、鬼が運ぶらしく、孫はずっと部屋でぼーっとしているだけだという。どうやら宿主である孫の生命が鬼の生命になっているようで、孫が死ねば鬼も死ぬという単純な話であるが、だからと言って鬼が孫を殺されるのを黙ってみているか、といえばそうではないのだという。
 孫を殺すには鬼を祓ってからになるわけだ。だが、それを祖父が許すわけもなく、飽くまで孫を助けることが依頼内容である。
 孫の部屋のドアを開けた。
 一気に異臭が広がる。
 食べ物のカスやゴミの匂いの異臭がする中に、孫が床に寝転がっている。
 どうやら、前の陰陽師が次に帰ってくる鬼を孫に着く前に孫を隔離に成功していたようだった。しかし、その外には鬼がおり、孫がそこから一歩でもでてくれば、取り憑ける体勢で待っていた。
「お、鬼……」
 鬼は、見た目は三メートルあるかないか。大きな体は赤い色をしており、よく人間が造る銅像や石像などで見る、阿吽(あうん)像のような見た目をしていた。
 鬼はこちらには感心がないようで、ずっと孫を見ていた。
「よし、浄霊するぞ」
 吹石はそう言うと、すっと数珠を構え、印を結ぶ。
 呪文を唱え、鬼に向かって浄霊をする。
 吹石が呪文を唱えると、部屋の中に一気に風が巻き起こる。窓ガラスが割れ、落ちていた食べ物のカスなどが窓から飛んでいく。それくらいに大きな竜巻のような力を鬼に向かって放った。
 鬼はそれを受け、一瞬で吹き飛ぶ。
 嵐が治まり、風が止むと、鬼の姿は消えていた。
「やった! 先生、鬼を祓いましたよ!」
「……あっさり退くんだな」
 感心していたところ、鬼はすぐに戻ってきた。
「うわっ!」
「……くそ、やっぱり祓えないのか!? うわっ!」
 遠くから大きな物体が戻ってくる衝撃で、二人は吹き飛んだ。
 吹石は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「ぐっ……」
 気を失う前に、戻ってきた鬼が転がっていた平宮の前に立っているのに気付いた。
「平……宮……逃げろ……」
 戻ってきた鬼は明らかにこちらに感心があるような素振りだった。さっきまでの感心のなさは何だったのか。そこで吹石はハッとする。
 孫を救っている結界が活性化して、孫と鬼を繋いでいた呪いが消えていた。そしてその行き先を失った呪いが、吹石が行った浄霊で、呪い返しになったようだったが、その呪い先がなかったのだ。
 孫という呪いの行き先と、戻る呪いの行き先がなく、呪いはさっきまでいた場所に戻ってきたのだ。
 前の陰陽師は、吹石の浄霊を利用して、孫から鬼を離すのに必要な術を施していたらしい。
「は、はめられた……のか……おれは」
 体が叩きつけられたせいで、全く動かない。体中が痛くて、身動きも取れない吹石の前で、助手の平宮が鬼に襲われていた。
「……!」
「先生……! た、すけて……ひぃいっ!」
 平宮は、鬼に腕を捕まれ、引き寄せられる。食われるのだと平宮が怯えきっていると、鬼は何かの力を使って平宮の服をビリビリに切り裂いた。
「うあああぁあっ!」
 裸にされた平宮を鬼は俯せで床に押しつけた。
 その平宮の裸の体に、鬼の口から漏れている涎がボタボタと大量に垂れた。
「ひぃい……」
 いよいよ食われると平宮が覚悟した。
 だが、吹石は気付いた。鬼の背中から無数の触手がたくさんでてきたのだ。それが押さえつけられている平宮を襲う。
「うぅうああ!」
 触手は平宮の体を這い回り、腕や足を広げて絡みつき、平宮の体は触手によって宙に浮いた。
 ちょうど、鬼の顔の前にお尻を突き出す形で、中に浮いた状態だ。その平宮の尻に、鬼が口を寄せ、先が細い舌で平宮の尻を舐め、その細い先がアナルへと入り込んできた。
「ひ、あっ……そ、そんな……うそだ……んっんっ」
 鬼は平宮のアナルを舌で犯す。
「んっ……あっ……そん……なっん……あっん……だめ……ああっちくびまで……んっうふっ」
 先に垂らした涎が何かの作用をしているのか、明らかに平宮の様子がおかしくなった。
 触手は先端が割れ、そこから小さな触手が更に無数にでてきており、それが平宮の乳首にギュッと絡みついたり、乳頭を撫でたりしている。触手はペニスにまで絡みつき、それがリズム良くペニスを扱き、亀頭の尿道にまで触手が入り込んでいた。
「んふぅ……っあっ……ああんっ……ゃっも……あっ……あぁっ」
 さっきまで恐怖に引きつっていた平宮だったが、乳首やペニスやアナルまで舐め回され、脳天まで突き抜けるような快楽へと突き落とされた。
「んぅ!んぅっんむっんっんんっ!」
 なんとか我慢をしようとはしたが、それでも快楽は襲いかかってくる。やがて触手が口にまで入り込み、平宮の自由になるところはどこもなくなった。
「んふっ……んんっんっんっ……んふっんんんっんっ」
 ペニスが擦り上げられるので射精をしたいが、尿道に入り込んだ触手がそれをさせない。何度か射精をせずに達しているのか、ビクンビクンと平宮の体が跳ね上がり、常時体が痙攣をしている。
「あぁっあぁんっ……やあっだめっ……おっぱいっ……もぉっやっあぁんっ」
 とうとう撫でられている乳首から、白い液体が出てきた。吹き出るようにピューッと勢いよく出たものが床に散らばる。
 それでも触手は乳首をいじるのを辞めず、もっと絞り出すように乳首を刺激してくる。
「ひゃあぁっ、あ゛うぅっ、あぁんっあっ……っ!!」
 アナルを鬼の舌で舐められ続け、細い舌の先はどんどん内壁を広げて奥まで入り込み、鬼の五十センチはあろうかという舌が、どんどんアナルの奥まで入り込んでは、内壁を舐めてきた。
「はぁっあ、あぁぅっごりごり、おくっおくっあ、だめっあぁんっきもちいぃっ」
 壮絶なる快楽に、平宮の顔は蕩(とろ)けてしまい、口からは涎を垂らし、嬌声が漏れ聞こえてくるだけになった。もはや吹石がいることなど忘れ、助けを求めていたことも綺麗に忘れたようだった。
「んっんっ、んっうっあんっ、あぅっは、はあぁっ」
 鬼から与えられる快楽は、人間がハマると二度と普通には戻れなくなると聞いたことがあるのだが、まさにその通りだった。