R18novel短編

虚ろな華-2

「さあ、次はこれだ。どうだい?」
 アナルの入り口を固い何かが擦っている。
 広がったアナルが少し先の方だけ受け入れているそれは、イジドアのペニスだ。
 その大きさは、今までルシアンが見たペニスとは長さも太さも段違いに大きかった。
「ほら、入っていくよ……ああぁすごい、飲み込んでいく」
 絶対に入らないと思ったのとは裏腹に、イジドアのペニスはルシアンのアナルにしっかりと入っていく。キツキツになりながらもローションで滑るお陰で、イジドアが腰を進めるたびにゆっくりと大きく長いペニスがアナルに入っていく。
 イジドアのペニスが八割入ったところでイジドアは腰を止めた。
「あ……あっ……あっ……あぁあっ」
 じんわりとした痛みと共に、なんともいえない圧迫感がある。だがそれがルシアンの気分を悪くはさせなかった。ルシアンの内壁はしっかりとイジドアのペニスに絡みつき、離すまいとしてしっかりと銜え込んでいる。
 馴染ませるように待っているのか。経験上、無理をすれば相手を壊しかねないと知っているのか。どちらか分からないがイジドアはそのままでしばらく待ち、ルシアンの顔や胸に散った残滓を舌で舐め取り始めた。
「あ、やっん……んぁっ」
 もう全身が敏感になっていて、イジドアに触れられた場所はすべて性感帯になっているかのように体が反応する。
 馬車に乗ってすでに一時間は立っている。その馬車もいつの間にか止まっていて、揺れがまったくなくなっていたのだが、ルシアンはそんなことにすらすでに注意が向けられないほど快楽に堕ちていた。
 両足を押し上げて胸まで届くほど折り曲げた状態で、イジドアは一気にペニスを抜いた。「ひぅあぁあああぁぁぁぁあああっっっ!」
 アナルセックスは抜ける感覚がとてつもなく感じるのだが、それが大きな圧迫感があるものだとすれば、余計に感じる。
 あり得ないほどの快楽の後に、経験のない快楽。それが脳天を突き抜ける快楽となれば、もうルシアンの心配など空の彼方だ。
「あ゛っ!あ゛っ!あ゛っ!あ゛ぁあっ!……おしり……こわれっあ゛ぁああっ!」
 抜けたイジドアのペニスがすぐさま入り込み、そしてまた出て行く。ピストンの動きに合わせてルシアンの嬌声は出続ける。アナルはすでに陥落したと言っていい。あとは残っている思考が消えるまで、そう時間はかからなかった。
「おち○こっすきっ……いっちゃ……いっちゃあぁああ゛ぁっっ!」
「いいね、君、私のペニスにすっかりなじんでる……あぁすてきだ、ルシアン……ぁあ」
 イジドアはルシアンが達するのも気にせずに、アナルを犯し続ける。グチュグチュと鳴っていた音にパンパンと肌がぶつかり合う音が鳴り出し、イジドアが強く腰を使っていることが分かる。
 アナルはすっかり溶けきっていたが、それでもイジドアのペニスに食いつき、出て行くのを止めるように絡みついてくる。それにイジドアが力一杯腰を使ってピストンを速める。
「あ゛あぁっ……も、だめっぇ……んぁひあぁっんあああぁ――――――!」
 そう叫んだ時に熱い物が奥の内壁に叩きつけられた。
「あぁんあ゛っあ゛い、いっいい―――っ!」
 奥まで届いたのはイジドアの精液だった。それを感じた瞬間、ルシアンは連続で達していたが、ペニスから精液はでなかった。ただ体が痙攣を繰り返し、絶頂が長く続き、ビクビクと跳ねる体をイジドアがしっかりと受け止めている。
「はは、連続に達するとは、なかなか快楽に弱いんだね。いいよ。まだまだ続くんだから思い存分私の愛を受け取るといい」
 そうイジドアが言ったのだが、それはルシアンには聞こえてなかった。意識が朦朧とし、もはや普通の言葉も口にできないほど、快楽でおかしくなっていたからだ。
 イジドアはペニスを一旦抜いた。すると大きく開いたアナルからイジドアが吐き出した残滓がゴボゴボと吹き出して出た。
「ひぁあっ〜〜んぁ」
 それが伝わる感覚もまた快楽で、嬌声が出る。
 それにイジドアが興奮したように、ルシアンを立たせた。
「さあ、壁に手をついて……そう、後ろから思いっきり突いてやるよ」
 腰を突き出した形にされ、ルシアンは後ろからイジドアに犯された。
 ニュチャニチャッと精液が皮膚に触れて鳴る音や、アナルからなるビュヒといういやらしい粘着音が鳴り響き、あとは荒い息づかいがする。
「あぁん……そこっいい……あ゛っあっんっんあんっあんっ!」
「最初の頃よりは随分といい声で啼くようになったな」
 パンパンと後ろから突き入れられ、ただ前後に揺すられるだけになり、立っているだけでやっとのルシアンがその行為から解放されるのは、セックスを開始して約四時間後だった。
 最後の方はただ椅子にもたれていただけで、腰だけ突き出して、それをイジドアが腰を掴んでパンパンと突き上げているだけになっていた。
 イジドアは絶倫と言ってよかった。普段、それほどやっているわけではないらしい。それもそのはずで、女性相手だとペニスが大きすぎて入らないのだという。だからアナルを使うのだが、アナルを使うセックスなら、何も面倒ごとになりそうな女性よりは男性を買った方が楽だという理由だったらしい。
 ルシアンも買われた一人だが、そのルシアンの具合がよいことが評判になっていたので選んだと言った。
「これだけの名器だ、そこらの男に使わせるなどもったいない。次からは、私の指名だけ受ければいい。飽きるまでは飼ってあげるよ」
 イジドアはそう言って最後にまたルシアンのアナルに精液をたっぷりと注いでいった。
 馬車の床に倒れたままのルシアンを置いたまま、イジドアが馬車から出て行った。
 ルシアンはわずかな意識でそれを見ていた。
「お疲れ様でした」
 そう老人がイジドアに言うと、イジドアは嬉しそうに答える。
「今回のお前の人選は、素晴らしかったぞ。アレを長く使えるようにきっちりと世話をしてくれ」
「畏まりました」
 イジドアはさっとその場で着替えると、真っ黒な車に乗って敷地内の道を走っていく。その先には目映い光が見え、どうやらイジドアの自宅があるらしい。
 だがそこへルシアンは連れていかないのだろう。
 外にマンションを与え、敷地内の馬車の中でセックスをする。甘い時間なんてありもしない、ただひたすら穴に棒を突っ込むだけの行為。
 これは売春なのだ。ただ、高給を与え、セックスするためだけに体を整え、そしてそれにいつでも応じることがルシアンに与えられた当面の仕事だった。
「よくやりました。次も体調を整え準備を怠らず、イジドア様を喜ばせるよう努めてください」
 老人の言葉が決定的だった。
 ルシアンは愛されているわけではないことは、頭で理解していたのだが、あんな優しく乱暴なセックスをしてくれたイジドアのことは絶対に忘れられないだろうと瞬時に理解した。
 あんなに激しく求められたこともなかったし、受け止められたことも、まして食べ尽くされたこともなかった。
 仕事を始める前のさみしさは何処にもなかった。
 だから、この仕事を降りるとは言えない。
「……わかりました……」
 次はある。まだ一回目だ。イジドアは飽きてはいない。
 だから飽きられないように勤めよう。そして、飽きられた時、精一杯の彼から愛情代わりに与えられるモノを持って、遠い世界に行こう。
 そう覚悟が決まった。
 
 それからルシアンは四年三ヶ月、イジドアの元で売春を続け、五年後にはイギリス都市部から遠く離れた避暑地に暮らすことになる。
 小さな農場を作り、そこで自給自足をする生活という、一家離散する前の生活と同じような暮らしになったが、ルシアンには不満はなかった。
 穏やかな日常が流れるようになり、それなりに幸せだった。
 だがそこには時々、新しい売春男子に飽きたイジドアがルシアンの元に訪れ、二日ほどルシアンを抱き尽くしては去って行くことを繰り返していた。
 やがてイジドアの会社が倒産し、資金繰りが伴わなくなると、すべてを失ったイジドアはルシアンと共に何処かへ消えていった。
 その後の二人の消息は誰もしらない。