R18novel短編

Butterfly-3

 大羽はすぐ裏の森の中に走っていったが、余りにも暗い森の中で、すぐに足が止まってしまった。
 内部の人間に泣いているのを見られるのがいやだったので外へ逃げたが、夜の暗さを嘗めていた。明るいところから暗いところに出て、走れるのは明かりがあるところだけである。家の周辺にある街灯以外、ここには明かりと呼べるものは存在しない。
 昼間に通った道も、遠くの街灯があるだけで、道がそこにあるのかさえ定かではない。
 月明かりでも限界の暗さに、逃げる道を失った大羽だが、そこへ乙藤がやってきた。
「……大羽……」
「……なんですか?」
 大羽は逃げるに逃げられなくなり、乙藤と向き合う形になった。涙がまだ溢れていて、腕を上げてTシャツの袖で拭いた。
 それでも涙が溢れてくる大羽を見ながら、乙藤は何故かときめいた。
 エッチなことをされて、その後を要求する人間にしかあったことがなかった。まさか、手淫で達したことで泣かれるなんて、初めてだったのだ。それが新鮮で、そして泣く大羽は可愛かった。
 身長が百八十はある男に言う言葉ではなかったが、大羽にちょっかいを掛けていた理由が少し思い当たったのだ。
 乙藤は、大羽のことが気になっていた。噂を聞いても、決して手を出してくるわけでもなく、エッチな言葉を口にもせず、ただ乙藤を先輩だと慕ってくれて、態度は一切変わらずにいる後輩が、それまでの人とは違いすぎて、衝撃だったのだ。
「なんで……泣くんだ?」
「悔しいからですっ」
 理由を聞くと、悔しいと言われた。
 乙藤は更に尋ねた。
「何が悔しくて泣くんだ?」
「屈辱的で恥ずかしい。でもこんなことされても、あなたのことが……好きだからです……っ」
 まっすぐに乙藤を見つめて、大羽は乙藤に告白をした。
 それはとても純粋に乙藤を思っていた、大羽の大事な言葉であった。
「……好き……?」
 耳から入ってきた言葉に、乙藤は戸惑った。
 久々だった。こういう風に真っ直ぐに好きだと言ってくれた人間は。
 最初の恋人だった人くらいだ。こういう真っ直ぐな感情を向けてくれたのは。その人はもういない。二度と乙藤を抱くことさえない。それが悲しくて行為に溺れた。
 そうすれば、全部忘れられた。
 そんな熱さが大羽にある。
 最初の恋人も大羽のような、真っ直ぐな人だったから、大羽に惹かれた理由も、この時思い当たる。
「俺はあなたが好きです。だから噂も信じなかった。けど、あなたは本当に噂通りで、どうしようもなかった……。悔しいです。俺にあなたを止める権利も義務も何もありはしないことが、悔しいです」 
 大羽はそう言って、顔を歪ませて泣いている。
 想像だにしなかった言葉で悔しいと言われ、てっきりあんなことをしたので失望されたのかと思っていただけに、乙藤は更にときめく。
 無理強いして止めることはしない大羽は、乙藤を止めるのに自分は相応しい立場や資格はないと自覚している。
 確かに、大羽は乙藤の行動を制限するように止めていたとすれば、乙藤はここまで大羽に興味は抱かなかった。
 大羽が、自分の立場を理解した上で、乙藤の行動に不満はあれど、制限する行動にでないのは、乙藤が好きでしていることだからと認めているからだ。
 乙藤が望んではいない行動を、大羽が取るわけにはいかなかったのだ。
 だから、乙藤が大羽に手を出したことには戸惑ってはいても、乙藤を好きな大羽からすれば、願ったり叶ったりな状況で、拒否する必要はなかったことなのだ。
 けれど心が付いてこなかった。
 大羽は、乙藤にそこらにいる男の肉棒と同じ扱いをされたことにショックを受け、これ以上、乙藤に近づくのはやめようとしていた。
 乙藤に望むことは、恋人になりたいであり、そうでなければ、大学の良き先輩でいてほしかった。
 その二つが既に絶たれてしまったわけだ。
「こんなこと言いたくはないのですが……俺を恋人にしてくれないなら、もう俺にちょっかいを出すのをやめてください。俺はあなたほど強くはないし、割り切って生きていくこともできません。お願いします」
 大羽がそう言い切った。
 その言葉に、乙藤は息を呑んだ。
 真面目で、とても誠実な告白であるその言葉は、乙藤の一切を拒否する宣言でもあった。
断るなら二度と良き先輩としても、大羽とは付き合えない。
 大羽は宣言した通りに乙藤を無視して生きていくのだろう。そして乙藤を忘れ、自分を大切にしてくれる恋人と結婚をする。
 乙藤はここで大羽に対して、頷かなければならなかった。しかし、乙藤は動揺して言っていた。
「やだっ」
 むすっとした顔をしている乙藤。
「……へ?」
「俺はお前にちょっかいをかけるし、そのおちんぽを俺の中に入れるまで諦めないからなっ!」
 乙藤はそう言うと、大羽の腕を引っ張って、森の奥へと入っていく。
「……な、何言ってるんですかっ! てかっ何してるんですか!」
 外で大きく騒いでいるが、部屋の中からは大きな音楽の音がドスドスと重低音を響かせていて、中にいる人間には、二人の喧嘩は聞こえていなかった。
 大羽は、乙藤を振り払うことはできずに、そのまま森の奥へと連れて行かれる。
 すると、暗かった森の中に月の光が届いた場所がある。ちょうど雲が晴れたのか、顔の表情が分かるくらいの明るさになった。
 乙藤はそこまでくると、いきなり服を脱ぎ始める。
「な、何をやってるんですかっ! 乙藤さんっ!」
 止めようとしても、既に脱いだ服を乙藤はその辺に投げてしまう。投げ捨てた。
「何って、見て。ほら、美味しそうな乳首でしょ?」
「……っ!」
 ビクリと大羽の動きが止まる。
「こうやって、指で摘まんで……ああっん。両手で、捏ねてっんっあっほら見て……もう勃起しちゃった……んふっ」
 乙藤は自分で乳首オナニーを始めて、そのオナニーでペニスを勃起させて見せた。ユラユラと揺れる勃起したペニス。踊るように腰をくねらせている躰付きに、大羽は眩暈がしそうなほどだった。
 それを見ているだけで、大羽のペニスはズボンの中で勃起している。
 乙藤は、大羽のズボンを無理矢理に脱がし、ペニスを取り出してしまう。
「だ、駄目ですっ乙藤さんっ!」
 大羽は乙藤に対して強く拒否できないことを、乙藤はいいように利用した。決して突き飛ばしたり、乱暴に拒否ができない。そうした時に乙藤が怪我をするかもしれないと気を遣っているからだ。
「う……、ぅ……っ」
 乙藤は、取り出した大羽のペニスをすぐに扱き始める。
「ぅ、っ……!」
「大きくて……美味しそうな……んふっんふうっ」
 乙藤は待ちきれないとばかりに、大羽のペニスを咥えた。
そそり起ったペニスをしっかりと勃起させ、夢中で扱いた。
「ああっ凶悪な……おちんぽ……ああっん……ふっんふっんんんっ」
 しつこいほど舐めて濡らし、大羽が我慢できずに乙藤の頭を手で掴んだ。
 しかしそれは拒むものではなく、押しつけるそれで、腰を使って乙藤の口にペニスの挿入を繰り返した。
「んぐぅ……っん、んっ、んぁ…くっん、ぶちゅ……っくち、むちゅっ」
 激しい水音が周りに響いている。グチョグチョと鳴っている音は闇夜に響いているが、それを聞いているモノはいない。
「――っ!」
「ん! ……っぶ、んぶ……んぐっ!」
 とうとう大羽が達した。精液が乙藤の口内に射精され、それを乙藤はゴクゴクと喉を鳴らして飲み込んでいる。
 そして少し萎えていくペニスを、しっかりと起たせるようにまた口淫をする。
 また勃起してガチガチになった大羽のペニスから口を離すと、乙藤は側になった木に手を当て、腰を大羽に突きだしてから言った。
「その凶悪なおちんぽぉっを……俺の、ケツま○こにいれてぇっ奥までいっぱい突いて……っおちんぽで、俺を虜にして……そしたら、恋人になれるかも……しれな……」
 その台詞を乙藤が言い終える前に、大羽が動いていた。
 さっきまでの消極的な態度とは違い、目の色を変えて乙藤の腰を掴むと、乙藤のアナルにペニスの先端を宛がった。
「このペニスで、乙藤さんを夢中にさせたら、恋人になってくれるって本当に約束してくれますか?」
「しなかったら?」
「やめます」
 そう言ってはいるが、入れたくて仕方がないように、大羽のペニスはしっかりと乙藤のアナルに押しつけている。
「……約束はするけど、やってみて駄目だったら、なしにするかもしれない」
 乙藤はちょっと怖くなってそう言っていた。
 大羽のさっきまでの態度と違い、飢えた熊のようにゼーゼーッと荒い息をして尋ねてくる様子が、何か言ってはいけないことを言ったのではないかという気にさせたのだ。
 その予感は、当たっていた。