R18novel短編

キラースマイル-2

 深夜の時間帯だった。ガタンゴトンと音がして、隣の部屋が騒がしい。
 その音で目を覚ました竹崎が携帯で時計を見ると午前四時。騒がしいと思って訝しんでいると、声が聞こえてきた。
『早く運べ、時間がないぞ』
『あの男が戻ってくる前に、引っ越すんだぞ』
『荷物は入れたか?』
『家具はいらないんだろ? 押し入れに入っている段ボールだけで良かったんだよな?』
『あとはこれだけだ。よし、荷台に積んだらいくぞ』
 ガヤガヤと数人が出入りしている音が暫く続いて、一時間ほど経つと、人の気配が消え、外から数台の車が去っていく音が聞こえてきた。
「……夜逃げ?」
 思わずその言葉が浮かんだ。
 隣の住人がそこにいたのかは分からないが、荷物を運んで引っ越しと言っているのだから、確実に夜逃げの部類か。
「あの男から逃げる?」
 そう言っていた。
 だが、それ以上は眠気が勝って、竹崎はそのままベッドに潜り直して寝た。隣の住人がどうなろうが、正直知ったことではなかったが、もうこれで隣が騒がしくなることはないのだろうと思った。
 そして竹崎の奇行もここで終わるかもしれない。
 何となく、残念な気もしたが、それではそれで仕方ないことだった。
 
 次に竹崎が目を覚ましたのは、玄関を激しく叩く音だった。
 チャイムがあるのにドアをドンドンと何度も叩く音。
 それに気付いて起きだした竹崎は、寝ぼけたままで玄関を開けてしまった。すると、そこにはあの隣の住人の彼氏が立っていた。
 少し焦ったような顔つきの美丈夫が言った。汚い上着の下はスーツであることを今初めて知ったが、頭も撫で付けて、いつものざっくばらんな格好ではなかった。もしかしたら、竹崎が見た格好が、珍しいくらいの格好だったのかもしれない。男がスーツを着慣れていたからだ。
「隣のヤツ、どこに行ったか知らないか?」
 そう言われて、眠い頭がやっと動き出した。
 竹崎は深夜の騒動を思い出して、それを告げた。
「何か、夜中に引っ越していたみたいですよ。人がたくさん出入りしてましたし」
 そう告げると、男はその場にズルズルとしゃがみ込んでしまった。
「え? だ、大丈夫ですか?」
 急に目の前の男が具合が悪そうに座り込んだら、さすがの寝起きでもびっくりして目が完全に覚める。
 座り込んだ男は、呻くように言った。
「またか……っ」
「また?」
 何の話なのか分からないが、そう問いかけると、男が言った。
「いつもだ。いつもいきなり恋人がひっそりと消えているっ。あれだけ尽くしても、要求通りにしても、いつもこうやって消えていく、何故だっ」
 男がそう言い出して、竹崎は答えようがなかった。
「セックスか? それが駄目なのか? あんなにいいって言っていたのにっ」
 言及することがそこで、少しだけ竹崎は納得した。泣くまでやめないセックスに嫌気が差して逃げたのはあり得る。
 思い付くのはほぼそれだけで、他のことで二人が喧嘩をしているのを聞いたことがない。そもそもそのセックスが合ってなかったというのも、少々おかしなことである。
 隣の住人はそこまで嫌がっていた様子ではなかった。そのことで喧嘩をしているところをなど聞いたことはなかったが、それだけからこそ、駄目だったのかもしれないと思い至る。
 すると納得したような竹崎の態度に、原因が分かったのかと男が食い付いてきた。
「やっぱりセックスなのかっ! 何でだ!?」
「いや、その、何というか。その、怖くなったんじゃないかあって」
「怖い?」
「セックスに溺れてしまう自分が怖くて、それで逃げたのかな〜って」
 何となくであるが、こんな感じだ。
 セックスには満足どころか溢れるほど与えられた快楽に、人は時々であるが、これでいいのかと自問自答をすることがある。
 竹崎も、このままの自分でいいのか悩んでいるところがあるから、少しだけ理解ができた。
「普通に戻れないんじゃないかって……そんな怖さから、逃げてるのかも」
「……それじゃ……追ったりなんてしたら、更に苦しめる結果に……」
「……そーかも……しれません。ここまで悩んでの結果だとしたらですが……」
「そうか……じゃあ追うのはやめておく……」
 男は嫌にあっさりと納得したようだった。
「そうですか、じゃ、俺。学校があるので」
 失礼しますとドアを閉めようとしたのだが、そのドアの前から男が退かない。
「あの、すみません。退いてくれませんか?」
 そう竹崎が言うと、男はいきなり竹崎に名刺を出してきた。
「名刺? 倉知(くらち)さん?」
 名前には倉知と書いてある。肩書きを見ると、有名な会社の取締役と書いてあった。
とはいえ、竹崎には関係はない。
「あの? これが何か? よく分かりませんが、頂いても困りますので」
 そう言って名刺を男に返した。持っていたところで、正直ゴミ以外のものになり得るとは思えない。
 すると俯いていた男が顔を上げた。
 すっかり憔悴しきっていると思っていた男の顔が、にこやかな笑顔に変わっている。
「合格だ。お前は、私の運命の人だ」
 急に倉知がそう言いだし、竹崎の躰を抱きしめると、家の中に入り込んできた。
「ちょっ! 何をしてんですかっ! 警察を呼びますよっ!」
 倉知の行動が怖くなって、そう叫ぶと倉知は玄関を入ってすぐの台所に置いてあるディルドを見付けて手に取った。
 乾かしていたディルドを片付けるのを忘れていたのだ。
「そっ、ちょっ! まって!」
 さすがにディルドが見つかったのが恥ずかしくて、竹崎がディルドを取り上げようとするも、そのディルドを倉知が舌で舐めたのだ。
「っ!」
「道理で、騒音に近いのに、隣から一切の注意がないと思っていたが、こういうことか。毎日、これを使って自分を慰めていたわけだ。隣の住人の嬌声を聞きながら」
 倉知がニヤリとして微笑み、納得している。
「あの……その」
 さすがに決まりが悪い竹崎であったが、それでも男には出て言って貰わないといけない。
「そんなことどうでもいいでしょ! 出て行って下さい! 警察を呼びます!」
 竹崎はそう言いながら携帯に手を伸ばしたのだが、その瞬間、倉知に突き飛ばされた。
 床に倒れて、痛みでびっくりしてい間に、倉知は竹崎のパジャマのズボンを一気に下着ごと履き取った。
「やっぱり、昨日もここ、使ってたよな?」
 そう倉知は言うと、持っていたディルドにベッドサイドにあったローションを付けて、一気に竹崎のアナルに突っ込んだ。
「あ――――……っ!」 
ディルドはあっさりと竹崎の中に入り込んできた。
「ぅあ! あ、や、やめ、やめろっ……!」
 倉知はアナルにディルドを突っ込むと、それをリズム良く奥まで突っ込んでは引き抜いてを繰り返した。
 自分でやるのと違い、他人のリズムでアナルの中を掻き回され、普段は苦しい体勢でやっていた行為が、自然な体勢でされることへの違和感は、あっという間に、快感に変わり始めた。
「ぅああっ! ぁひ……っ、ひ、ぅ……っ! ゃ、あ、あぁん……っ、あんっ! ぁ、ゃ、らめぇ……っ」
 パンパンパンと叩きつけるようにディルドを動かされ、竹崎は、我慢を仕切れずに射精をして絶頂を迎えた。
「あ゛あっあんっやっいくっいくっ……! あっあっひあああっ」
 ディルドを奥まで突っ込まれて、竹崎は射精をし、更には失禁までした。ぐったりとした竹崎の腰を倉知が掴み、高く上げる。
「一ヶ月もずっとこんなことをしていたのか。可哀想に、ほら待ち望んだ、俺のペニスだ。狂ってしまえ――――――淫乱っ!」
 ディルドを一気に抜き取ると、そこに倉知の巨根を宛がい、一気に竹崎のアナルへと入り込む。今までの少し冷たい感覚とは裏腹の、熱い肉棒であるペニスが入り込んできて、更にディルドよりも奥まで届いたペニスに、竹崎は嬌声を上げた。
「あ゛んっらめっ、中、おち○ぽっらめぇっ、あっあひっあ゛っあんっ」
 待ち望んでいた倉知のペニスは、ディルドなんかとは比べものにならないほど熱く、そして乱暴だった。
「やあ……っ、あああっ!だめ、だめ……!」
 簡単に快楽に堕ちた竹崎を、倉知は乱暴に突いている。
「いいと言え。これがいいとっ!」
床に押しつけられるようにして後ろから犯されている。完全にレイプなのだが、一ヶ月間、ずっと聞いていた嬌声の元になった、倉知とのセックスが、完全なレイプとは言えなかった。
「いいっすごく、いい……からっ、あぁ! おち○ぽっ、すご……いいぃ……っ!」
 隣の住人のように、ずっと言いたかった言葉を、竹崎は口にして叫んでいた。
 ペニスをおち○ぽと呼ぶのは、隣の住人の癖だが、それを倉知が喜んでいることは知っていた。卑猥な言葉を口走れば、それだけ倉知とのセックスが獣のようになることも知っている。
 その全てを待っていたとばかりに望んだのだ。それが竹崎にも分かった。
「もっと動いて、もっとおち○ぽっでっ突いて……っ!掻きまわしてえぇ……!あぁっ、もっ、おかしくなるぅ……!」
 内壁を掻き回して入っては出ていく倉知のペニスは、ごつごつとした形になっていた。それは真珠を入れているせいであるが、それはさすがに竹崎も知らなかった。だがそれが気持ち良く前立腺やアナルを抉っていくのが、酷く気持ちが良かったのだ。
「いい、いい……!気持ちいいっ……!」
 竹崎は倉知のペニスに堕ちたと言ってよかった。
 倉知のことなんて一ミリも知らない。名前だってさっき知った。顔だって見たのは二度目。そんな関係の相手の何がいいと言われたら、セックスだと答えられるくらいだ。
 隣の住人が泣いて抵抗するほど、夜逃げし、姿をくらますほど、溺れてしまうセックスの怖さを竹崎は知りたかった。
「きもちいい……あぁぁっ……いい、おち○ぽっいいっきもちいいからぁ……!」
 全身で声を出し、倉知のペニスを要求した。
 倉知はそれに満足したように、挿入を緩めながらも内壁をあちこち突く形で根元とまで突き入れてきた。
「あぅ!あっ、うんっ、んっ……いいっいいっあああっ!」
 さっそく竹崎が絶頂をして、精液を吐き出した。
 しかし倉知は止まらない。ビューッと出ている精液を気にせずに、竹崎を犯した。
「いいアナルだ。お前、俺のモノになれ。お前がいい。もっと欲しがれ、このペニスを虜になって、狂ってしまえ」
「あぁぁ……もっと、もっとっおち○ぽっ……いいっああっんぁっ」
 ただアナルを突かれているだけなのに、どうしようもなく気持ちが良かった。
 倉知はベッドサイドにあったニップルクリップを竹崎の乳首に付け、それをわざと揺らすようにして、挿入を繰り返した。
「お前、想像以上の淫乱だな。こんなものまで付けて、アナニーしていたとは。俺は来る部屋を間違えていたわけだ」
倉知は満足したようにそう言い、更にゆっくりと奥まで入れては抜いてと中を味わっていた。
 ローションですっかり挿入がしやすくなっているアナルに、更に倉知はローションを足した。クポックポッと挿入が繰り返されるたびにアナルが音を立てる。
 竹崎は息を整えて、倉知のペニスを味わった。人間のペニスがこんなにも熱くて、硬くて、凄いものだとは竹崎も知らなかった。
 これを怖いと思っていたなんて、何て勿体ないことをしていたのだと、本当に心から思った。
 そして、もっと欲しいと思った。
 隣の住人が逃げてくれて、本当に良かった。
 このペニスを独り占めできるなんて、相当な奇跡がないとあり得なかったはずだ。そう感じたのだ。
「やぁ……っ、もっと、もっと激しく、おち○ぽっぐりぐりして……っ」
 竹崎はゆっくりと挿入をする倉知にお強請りをした。もっともっと欲しいと舌なめずりをして、自分でお尻を広げて、腰を高く上げた。
「ぃぁん! ぁあうっなか、おち○ぽでっ掻き混ぜ……あんあんっぁあああーっ!」
倉知はその言葉を待ってましたとばかりに、挿入を乱暴にした。
「いくっ、いく……! おち○ぽでっいくっひぁ、あ……ああぁっ」
 竹崎は三度目の絶頂を迎えた。それでも精液は止まることなく、ビュッっと出ては、突かれるたびに精液を吐き出している。
「あ――っ!やっ、あっ、あぁああんんっいってる……っ……ああっいってっあああっ!」
絶頂のまま突かれて、竹崎は強く倉知のペニスを締め上げたら、倉知が竹崎の中で初めて射精をした。
「いっ、ひぃっ……ひぁああ……あーでてるっせいえききてるっあついっ……あっいいっきもちっいいっ……」
 精液を叩きつけられているだけでも気持ちが良いなんて、オナニーだけでは分からないことだった。完全に種付けされるように奥まで擦りつけられるも、倉知のペニスは硬さを失わない。
「お尻、いい……っ、いいいっ……!あぁっ……おち○ぽっ気持ちよすぎて、おち○ぽでっ気持ちよくなって、何度もいっちゃううぅっ……ひゃあああっっ!!」
 すぐに絶頂を味あわされる。初めてのセックスで、竹崎は潮吹きをしてしまう。突かれるたびに透明の液体がペニスから吐き出されて、それが止まらない。
「ぁああーぅんっふぁっぁんっあんっそこぉっ! そこ……っあーっあー! 俺のおち○ぽ、こわれたっ精液とまらないっいいっあああっ!」
 潮吹きは知っていたけれど、ここまで酷いのは初めてだった。しかもレイプされて、自分でお尻を開いて、受け入れながら絶頂しての潮吹きである。
「んあっ……もっといいとこ、おち○ぽでっもっと突いてぇええ!」
 嬌声を上げながらも、何度もペニスを望んだ。もう元には戻れないことは分かっていた。このペニスの味を知ってしまったら、二度と普通に戻ろうなんて考えすら浮かばない。
 一生繋がっていたい、そう思ったのだ。
「ほら、一緒にいくぞっ」
「あ゛ああぁっ! いぐっいくっ、イっちゃうぅっ! あ゛へっ、おち○ぽっ、あ゛ーっあ゛ひっあんっあっああああぁっ!」
 潮を吹きながらも竹崎は絶頂の更に上まで達したように躰をのけぞらせた。その時、倉知は竹崎の乳首に付けていたニップルクリップを両方とも引っ張って取った。
痛みが快感に変わる、それが竹崎の知ったセックスだった。
 締め付けられた倉知は、そのまま中で射精をした。
「あ゛ああぁっ、中出しっ……! ひあっあ゛うっんっあ゛っお゛っあああ〜っ……!」
 今度は長い射精で、まるで犬のように長く倉知は精液を竹崎の中に注ぎ込んだ。まるでマーキングでもしているかのように。
「あ゛ーっ……あーっ……おっき、おち○ぽ、すきっいいっいぃっ……っ」
 竹崎はそのまま絶頂の快楽の中気絶した。

その日を境に、竹崎は倉知の家に住み込んだ。
 倉知が竹崎に逃げられないように、監禁するようにして自宅に連れ込んだのだが、竹崎は逃げる気は一切なかった。
 そんな竹崎は、倉知を見付けると、ペニスを強請ってフェラチオをしたし、精液も飲んだ。腰を振って、誘って、気絶するまでセックスを強請った。
 倉知は飽きることなく、竹崎を抱き、竹崎は大学を卒業した後は、倉知の愛人として、倉知と一緒に暮らした。
 竹崎は倉知を愛していたわけではない。
ただセックスが良かった。それだけで、それ以上のことは求めなかった。そんな竹崎のことを一番よく分かっているのが、倉知で、倉知は竹崎が求めるようにセックスを与えた。
 倉知にとっても、それが理想だったのか、竹崎のことを愛していると口にしては可愛がった。本心がどこにあるかは分からないが、それでも当面、二人にとってはこの状態が一番心地が良かったのだった。