眠れぬ羊

1

「要、マジ気持ちいいんだけど……」
「あ゛ひっ、おっ、そこっ、そこっだめなとこ、ごりごりされてっ…あ゛ーっ…あ
゛ああーっ」
「お前、マジですげーわ」
「あああぁっ! らめっ、いくっ、いっちゃっ……あっああぁんっ」
「んっ、ん……」
 久高要は、大学のゼミの人達とキャンプに来ていた。
 キャンプ中に薪を集める役割で山に入ったのだが、一緒だった先輩にセックスに誘われて、行為に溺れた。
 相変わらず要はセックスは好きだったが、特定の人は作らなかった。それはいろんなペニスに犯されるのが好きだから、恋人を作るとそれができなくなるというのが理由という、ビッチな部分があった。
 他人には到底理解されない、理想のペニスがどの人でもなかったというのが理由で、ガッチリしっかり奥まで犯してくれる人でなければ妥協はできなかった。
 それでもセックスは気持ちがよかったし、性欲のはけ口になったので、誰とでも寝ていた。
 そのうちのセックスフレンドがこの先輩で、キャンプにきているほぼ全員と要は寝たことがあるほどだった。だから要と二人っきりになりたがるヤツは、要とセックスがしたいと言っているのと同等で、薪を拾うという名目ももちろん果たされるものではなかった。それは全員が分かっていることだった。
 青姦になってしまうのだが、それも開放感があって要はいつもより燃えた。
「はあ……気持ち良かった」
 しゃがみ込んで先輩が出した精液を出しながら、要が言うと、先輩が笑う。
「お前なあ、情緒もないのかよ」
「青姦しておいて情緒もないとか」
要がそう言うと先輩はそういうことではないのにと溜息を吐く。
「だって仕方ないじゃん、そういう風にできてるんだし、俺、狂ってるんだよきっと」
 要が自分を鑑みてそう言うと、先輩は慰めにかかった。
「なあ、お前そろそろ落ち着かないか?」
「え?」
「えっとな、その、俺と……」
 そう先輩が言い出した時だった。その先輩の後ろにいつの間にいたのか分からないが、大きなオオカミがいるのだ。
 人の身長よりも大きく、立っているだけで二メートル、立ち上がったらきっと五メートルはあるのではないだろうか。そんな大きなオオカミが大きな口を開けている。
 要は声を発することができず、目を見開いて先輩を見て、ガクリとその場に崩れ落ちるように足の力が抜けた。
「か……」
 気付いていない先輩が要を心配したままの顔で、そのオオカミに頭から食われた。
「ひいぃい……!」
 あり得ない展開に要は下半身が裸のままで、その場に座り込んだ。恐怖で膝が立たなくなり、逃げるに逃げられない。
 オオカミは先輩をかみ砕くと、食べたりはせずにその辺りに放り投げた。
 殺されるんだと、要が思って震えていると、オオカミの顔が近づいてきた。食われるのだと思い目を瞑ったところ、顔に何か液体が付いてザラリとした感触が顔中を舐めている。
「……え?」
 なんだ一思いに殺さないのかと目を開けてみると、オオカミは要の躰に鼻を押しつけて匂いを嗅いでいる。フンフンと匂いを嗅いだあと、切なげに鳴いて頬を擦りつけてくるではないか。
「……なに? なんだ?」
 オオカミが襲ってくるわけではないのは、この時点で分かってしまった。
 どうやらオオカミがそうなる原因は要の匂いに関係しているらしい。だが要は何も持っていなかったので、何の匂いに反応しているのかは分からなかった。
 しかし、この大きさの生き物がオオカミだとはっきりは言えない。そもそもオオカミはここまで大きくはない。
 そう思っていると、オオカミの躰が少しだけ縮むように小さくなった。
「……え?」
 サイズを変更するなんて絶対、現実の生き物ではない。こんなことをする生き物はいない。だから要は混乱するのだが、オオカミは大きさを変更した後、要にのし掛かるように躰を押しつけてくる。
「わっ……お前なんなんだ? 何したいんだ?」
 先輩は食われて殺されたのに、どうして自分は懐かれているのか、要には分からない。逃げようにも、このオオカミから逃げられるような足の速さは持っていないし、逃げる方向によってはキャンプにいる人達を巻き込む形になってしまう。
 だから要は何処にも行きようがなかった。
「わ、わ、なんだよ……」
 要がそういいながら押し倒されて、起き上がるために四つん這いになったところ、オオカミがそこにのし掛かるように覆い被さってきた。
「重い……どけって」
 そう言ってどけようとすると、オオカミが要の首に噛みついてきた。
「ひあっ……ああ」
 首に牙がプツリと刺さり、暖かいものがツーッと胸元に流れた。
 遂にかみ殺されるのかと思ったが、それ以上はオオカミも噛みついてはこなかった。しかし、オオカミは四つん這いの要にのし掛かり続けた。
 そしてその行為が何なのか要もやっと気付いた。オオカミが要のアナルに何か押しつけている。それはオオカミのペニスだった。
「……まさか……そんな……やだっやぁぁああっんんんっ!」
 オオカミのペニスなのに、犬系のそれではなく、ペニスの形をした触手のように、五十センチほど長く生えてきて、それがうねりながら、要のアナル目がけて一気に入り込んできた。
「あんっ……やらぁっ……おしり、んんっ、らめぇっ……あっふぅっ」
 まるで生きているようにうねりながらアナルに入り込んできて、奥を目指してくねって入っていく。当然人間のペニスとは長さが圧倒的に違い、大きさも自由自在なのか、太くなったり細めになったりしている。
「あっあっ……やらぁ……ぬいて、はぁ、ぬい……んぁあっ」
 四つん這いのままオオカミに犯されている。その事実に要はおかしくなりそうだった。それでもオオカミのペニスは要の中に入り続け、内壁を押し開いて未知の空間まで辿り付いてしまった。
「ああっ、だめ……っ、そんな大きいの、むりっ……はぁっ、あっ、あぁっん!」
 脳天を突き抜ける快楽が襲ってきて、要は腰を上げたままで地面に倒れた。
「フッフッフッ」
 オオカミが興奮しているのか荒い息を吐いて、要の首に噛みついたままで、腰を動かし始めた。
「あぁっあっあっあんっ、らめぇっ……ごりごりしちゃっ……んぁっ……きもちぃ……あっ、あぁんっ! あーっ、はぁっあんっ」
 まるで蛇のように抜けては入り込んでと、太いものがアナルを出入りしている。その挿入行為自体が初体験で、人間相手では到底味わうことができない代物だった。
「ひゃああっ! らめぇっ……あっあんっ、あんっそこっ……んっあっ、いいっ……ひあっあっあんっやらぁっんっ」
 要はすぐにオオカミのペニスを好きになった。
 セックスをしたばかりで、アナルは既に準備ができていたからなのか、オオカミのペニスも難なく飲み込み、オオカミはうなり声を上げながら、腰をガクガクと動かしている。それは人間の動きではなく、獣の動き。乱暴で愛など存在しないただの生殖行為なのだが、それに要は快感を得た。
「ああぁんっ! んゃあぁっ、あっやあっ、あんっ、あぁっ」
 激しい動きは人間の比ではない。遠慮なく突きつけてくるペニスの動きに、要は嬌声を上げた。
 これこそ、求めていたペニスだった。
「ひあああぁっ! おま○こにっ、獣のおち○ぽ、はいってるのぉっ、獣のおち○ぽが、俺のおま○こ犯してるっああぁんっ獣にメスにされるっあああっんっ」
 オオカミに襲われている。いやオオカミではなく、獣だ。何か分からない見たことも聞いたことも獣に犯されている。
 どうして自分がメスに選ばれたのかは分からないが、それでも要は理想のペニスに巡り会えて嬉しかった。
「あひっ、あんっあんっあんっあぁんっ…あ゛ーっあっ、あああっもっと強くていいよっもっとちょうだいっ」
 要が強請ると、オオカミは一吠えして、ペニスを大きくさせた。
「あ゛ああっ……ひっ、お゛っ、らめっ……あ゛っうぁあっ、おおきすぎっ…あっああっ……」
「ウオオオッウオッ!」
 オオカミが吠えながら、腰使いを激しくしてくる。それに内臓が引き出されそうな感覚になりながらも要は気持ちがいいと感じた。そしてとうとうオオカミに絶頂へ導かれた。
「あ゛ひっ、お゛ッらめっらめっイってるからあっあッおっあ゛んっあんっあああああんっ」
 絶頂して精液を吐き出している間も、オオカミの腰使いは止まらない。オオカミのペニスから粘った液体が出ているのか、アナルはジュルジュルパチュパチュと水音を激しく立てている。
「あっあっあっあんっあんっあぁあっやっあああっあっああぁっまたいくっ、出るっ、出ちゃうっやっあっあああーっ!!」
 ビューッと精液が出ると、内壁がオオカミのペニスを締め付けるので、オオカミがうめき声を上げる。
「ウオオオオォォォ!!」
「あ゛うっ、んっ、あっあっあーっ…あん゛っ、そこっ、ひぁあっあぁああっ……ふぁっ、おっ…んっ、あ゛ーっ…うごいてるっおま○こでっ、あ゛っ、おっ……おち○ぽすごいっああっ」
「ウウ”ッ!!」
「ああぁっ! あっあぁっ、んひぃっまたいっちゃうっ……あっあんっあんっ!」
 あり得ないくらいの絶頂が押し寄せてきて、オーガズムを迎える。
 ビクンビクンと絶頂し、それでもまだオオカミのペニスが出入りしているが、とうとうオオカミも絶頂を迎える。
「はぁああぁんっ!! おま○こににぃ、おま○こに、せいえきいっぱい出てるよぉっあぁっ!!」
 オオカミの射精は長い。この獣は、二十分以上も要の中に精液を出し続け、要は放心状態のまま、それを受け続けた。
 そしてやっと獣のペニスが治まり、出ていくとアナルからは獣が出した精液が弧を描いて吹き出していく。
「は……あん……すごい……の……あはは」
 射精を終えたオオカミは、更に小さくなり、成犬の柴犬くらいの大きさに変わっていた。そして要に甘えてくる。顔をペロペロと舐め、キューキューと鳴いている。
「うん、大丈夫だよ。お前、俺と来る?」
 要がそう言うと、オオカミはワンと犬のように吠えた。

要が先輩が殺されたことは秘密にし、遺体はオオカミが深く穴を掘って埋めた。掘り返されたら終わりだが、かなり深く埋められたので、たぶん大丈夫だ。
 要が犬を連れて戻ると、周りは先輩がいないことを不審がったが、要は山ではぐれたと言うと、すぐに山狩りが始まった。
 しかし、要が先輩といた場所は私有地だったらしく、捜索隊はそこに入ることを持ち主から咎められ、入ることができなかった。
 何やら施設があるようで、そこへの立ち入りを嫌がっているらしいのだ。
 噂では動物実験をしていた実験場で、現在は個人の持ち物らしい。今でも実験棟が稼働しているらしいが、何に使っているのかは分かっていない。
 要はこの獣はそこから生まれたものかもしれないと思うようになった。
 結局先輩は見つからず、山で遭難したことになってしまった。この山では山菜採りに入った村人などが行方不明になることが多くあり、迷うと出てこられないと言われているようで、捜索はすぐに打ち切られた。
 要は、犬を連れて東京に戻ったが、大学を卒業したと同時に奥多摩に引っ越していった。
 犬のために自然と暮らすというのが要の希望だった。
 周りの人は先輩の遭難からずっと誰ともセックスをしなくなった要のトラウマを気にしていたが、犬と暮らし始めてから真面目になった要を怪しいとは思わなかったらしい。

 やがて、山で暮らし始めた要は、ほぼ山奥で暮らし、冬は一軒家に下りてくるという生活をし始めた。
 そこでは犬こと、オオカミも大きさを気にせずに要と暮らし、要を伴侶として求められるがままに要とセックスをした。
 要は犬が大きさを自由に変えられることや、どこからともなく食べ物や衣服、生活の必需品を持ってくるのを不思議には思っていたが、途中から気にしないことにした。
 もしかしたら、オオカミは人間にも化けれるのかもしれない。
 しかし、それすらもう考えることはなくなった。
 要が惚れたのは獣のペニスであり、それさえあれば相手が何であろうと要には関係のない、些細な問題だったのだ。
そのまま要とオオカミは、山の中で誰の目も気にしないで幸せに暮らした。

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