綻びる花の如く

1

 江間奏(えま かなで)が大学から実家に戻ってきた時、実家は大変なことが起きていた。
 まず玄関には張り紙がしてあった。それも「金を払え」など、明らかに借金取りが貼り付けたであろう汚い文句がたくさん張られていた。
「え?」
 親が借金をして大変だなんて、奏は今まで知りもしなかった。
 確かに町工場のような経営者であったが、大学を辞めるように言われなかったし、生活費も今月もちゃんと振り込まれている。
 なのに実家はこんな状態だなんて、にわかには信じられない様相だ。
 玄関を開けると鍵はかかっていなかった。
 玄関先は土足で人が上がり込んだような靴跡がたくさんついていて、それが廊下の奥まで続いている。
 奏は玄関で靴を脱ぎ、スリッパと取り出して家に入った。
 まず居間やキッチンのある部屋に入ると、汚れきった部屋、片付けられてもいない食事の後などが目に入った。
 そのキッチンに母親が座り込んでいる。
「母さん、どうしたのこれ、何なの?」
 奏はやっと事情が聞けそうな母親にすがった。
「……奏……」
 母親は呆然としながらも奏を見て、それから盛大にため息を吐いて言った。
「吉住おじさんを知ってるわね?」
「あ、うん、母さんのお兄さんだよね。昔よく遊んでくれて……」
「その吉住おじさんが、借金をしていたの。それで返済ができなくなって夜逃げ。それはいいのよ。だけど、父さんがね、連帯保証人になってたの」
「……え?」
「母さんは知らなかったのよ……そんなの駄目に決まっているのに、父さん、かわいそうだからってサインして。それで、一昨日から借金取りがやってきて、金返せって。二億よ二億……無理に決まってるじゃない……」
「……それで父さんは?」
「父さんなら、金策に走ってるけど、無理だわ。工場を売ったって一億になんてならないし……貯金だって利子にしかならないわ。だから破産宣告するしかないって……父さん、弁護士のところに行っているの。もう、終わりようちは」
 そう言われて、奏もやっと現状を飲み込めた。
 幸いなのは奏の授業料は既に払い終わっていることと、母親はすぐに危機を察した時に、奏の預金に自分たちの持っている貯金を全額振り込み、借金取りから逃れたということか。
「私たちはこれで終わるけど、あなたはどうにかなるでしょ……だから、ことが終わるまではここには近寄らない方がいいわ。早く東京に帰りなさい」
 母親がそう言うと、奏の背中を押し、玄関に連れて行く。
「で、でも……」
「あんたは何も心配しなくていいのよ……破産すればいろいろ大変だけど」
 そう母親が言ったのだが、玄関に行くと玄関先には借金取りが立っていた。
 黒服で、ちょっと乱れた背広姿に、いかにも闇金のような取り立て屋だ。母親が大丈夫だと言ったのはこのためなのだろう。闇金だった場合、弁護士を入れれば多少のことは法律でどうにかなるのだ。
「おい、ちょうどいいのがいるじゃないか」
 しかし取り立て屋は、奏を見ると目の色を変えた。
 そして奏の写真を撮り、携帯で何処かに連絡を取っている。
「息子がいるなら、そう最初から言えばいいんだ。これで借金全額チャラになるって言うのによ」
 その言葉に奏は驚いてしまったが、母親が反応した。
「どういうこと……ですか?」
「あーちょっと待て、確認を取ってるから。お、きた。オッケー。その息子を寄越しな。何、殺したり漁船乗せたりしねーから。ちょっと来てもらえばいいだけ。それで終わるから大丈夫」
 そう借金取りが言うと、奏の腕を引っ張り強引に外の車に連れ込もうとする。
「や、何するんだ、母さん!」
 そう母親に助けを求めたのだが、母親は表情のない顔をして奏の腕から手を離した。
「……か、母さん……?」
「はは、聞き分けがいいな。了解が取れているから、この借用書は、ほらくれてやるよ。これで借金はチャラだ」
 母親の変貌に驚いている奏を男たちが車に乗せてしまうと、母親は借金取りから、借用書を受け取っている。これで払ったという形ができたのだ。
 息子一人で二億が完済されると、母親は無表情で玄関から家に入っていった。
「か、母さん!!」
「二億じゃなあ、さすがにこうなるよな。何せ、闇金じゃねーし俺等」
 どうやら闇金のような取り立てをしているが、取り立てている人がそのように見えただけで、借金自体は真面な金融会社で借りていたらしい。だから弁護士を入れて破産するのだが、それでも工場や会社をなくせば暮らしが今までのようにはいかない。
 母親はそれに息子一人を差し出すことで、乗り越えてしまったのだ。
 さっきまでは助けてくれると言っていたのに、二億を即完済と聞いて手のひらを返したのだ。
 車は家からとんどん遠ざかり、家はあっという間に見えなくなった。
 奏はあまりのショックに、身動きが取れず、おとなしく車に乗っていた。
 やがて、車は港に着き、奏は男たちに無理矢理箱に押し込められて船に乗せられた。抵抗しようにも男たちが五人以上で奏を拘束してきたために、逃げることは不可能だった。
「何で……どうして……」
 ショックなことがどんどん増えていく中で、奏は船の中に運び込まれ、しばらくするとその箱が開いた。
 まぶしい光の中に放り出された奏は、最初は何なのか分からなかった。
 自分がスポットライトを浴びているのだと気付いたのは、眩しく照らすものが幾つもあることでスポットライトだと気付いた。幾つものスポットライトを浴びせられていたが、やがて周りが見えてきた。
 周りには明らかに外国人と分かる人たちがたくさん座っていて、さらにはそれが奏がいるステージのようなところを見下ろすようになっていた。
 その会場らしき場所はかなり広く、見渡す限り人で溢れていた。
 その外国人が何か言っている。
「cute」
 そう言ってはいるが、目つきは全く違う。何かを期待しているかのように、奏を見ているのだ。
 すると誰かが近づいてきた。
 ステージの後ろから男が三人出てきて、箱から転がり出た奏を押さえつけた。
「や……なんで……なに……」
 男たちは奏の腕に素早く鎖をつけると、斜めの板のようなものに奏を固定していく。
 ジャラリ鎖が音を立て、奏を拘束していく。
 あっという間に奏は板に貼り付けられたようになり、尻を高く上げられた状態で仰向けに寝かされた。板は斜めになり、奏の頭を下になり、尻の方が上になっている。
 会場からは呻くような声が響いて聞こえる。
 どうやら、会場の中にいる人は、皆イヤホンをしており、そこから何かの情報を得ているらしい。耳に手を当ててよく音を聞きながら、手元の機械を操作している。それはモニターであり、奏の体がよく見えるように映し出されている。
 奏の周りにいた男たちが、道具を持ち出し、透明の液体が入った入れ物を取り出し、それを奏の体にかけてきた。
「ひ、やっああっ……やめ……」
 少し冷たいと感じる液体は粘っていて、それが太ももや尻、さらにはペニスや乳首にまでもかけられていく。
 すると男たちがまず奏の乳首に手を伸ばし、双方から奏の乳首を指でこね始めたのだ。
「やっやめっあっ……やめてっ……ああっ」
 クニクニと指で捏ね、さらには掴んで引っ張る。すると滑った乳首はピュッと指から勢いよく離れ、それが気持ちいいと奏は一瞬で感じた。
「あっ……だめ……あっ……ああんっあっ」
 男たちは奏の乳首をマッサージするかのように、何度も何度も撫で回し、乳でも出るかのような動きで奏の乳首を完全に性感帯に変えてしまった。
「はふっ……は、ぁん……っ、や、だ……っ、なんで……っ」
 奏はどうして自分が気持ちがいいと感じているのか分からない。嫌なことをされているのに、どうしても乳首が感じてしまってどうしようもなかった。
 奏の乳首は完全に勃起してしまい、ヒクヒクとアナルまでもが蠢いている。
 会場からは歓声があがり、男たちが奏の乳首に顔を寄せて、今度は舌で奏の乳首を撫で回してくる。ザラついた舌の感覚が、初めて奏の乳首に当たり、奏は首を仰け反らせて快楽に耐えた。
「ゃ……っ、はぁっ、はぁ……っ、だめ、……だめぇ……はんっ! ぁ、やあぁ……っ、やめ、いやあぁ……っ」
 口では嫌だと言っているが、とてもいやがっている反応ではなかった。
 奏自らが胸を男たちに突き出し、吸ってくれと懇願しているかのような態度で、男たちは奏の望み通りに乳首を唇で加えて、派手な音を立てて吸ってくる。
 チュバチュバとジュルジュルと涎がたくさん流れながらも、男たちはわざとそうしているように、ただひたすらに奏の乳首を攻め立てた。
「ふぁっ、あふんっ、ふ、んんぅっ……ぅあんっ、あっあっ、だ、め……ぁ……っだめ、だめ……っ!」
 駄目だと言って辞めてくるような環境ではない。さらには奏の嬌声すら周りの観客が楽しんでいるのが分かる。
 陵辱されていく奏を周りの観客は楽しみにして見ているのだ。
 すると会場の大きなバックスクリーンには百万の文字が表示された。おおっと会場の人間が声を出している中、その数値はどんどん上がっていく。
「ぁっ! あぁっ! あぁ、やぁっ! や、イ……っ、だめ、あぁっ……!」
 その瞬間、奏は乳首をなめられるだけで勃起したペニスから射精をしてしまった。
吹き出された精液は斜めになっているせいで、奏の自らの顔に降りかかるようにかかってしまった。ビシャリと暖かい液体が顔にかかり、奏はそれが自分の精液であることには気付いてなかった。
 もうそれどころではなかったのだ。
「やめて……っ、ぁ、あひぃ……っ! いっ、ぃんっ……! んはぁ……っ!」
 もう一人の男が乳首を攻めている男たちとは違い、台に上がり、上から奏のアナルに手を這わせてきたのだ。
「はぁっ、はぁあんっ! 、ぁ、は、あっあっやっ、だめ……っ、も、あ、ああっ……っあぁああーっ!!」
 アナルに指を入れられる感覚は奏は知っていた。
 自分で興味があり、いじったことがあるからだ。しかし他人にされたことはなかったし、させたこともなかった。そこを他人の指があっさりとアナルをこじ開けて入ってくるのだ。
「んああぁっ、やっ、だめ……ああっ……!」
 抉じ開けられて無理矢理入ってくる指が、中に入ると内壁を擦りあげるようにして、しばらく中で蠢いている。
「ひ……っ、くふ……うっ、あ、あうぅ……」
 最初こそ違和感と圧迫感でいっぱいであるが、その気をそらすように乳首を舐められた上に、更に噛みつかれて吸われてしまい、気が削がれた間にアナルの中で指がどんどん自由自在に動き回り、アナルを広げていく。
 その動きは酷く機械的であるのに、嫌らしく蠢き、奏を追い立ててくる。
 それが気持ちよいという感覚であることを悟ってしまうと、あとは駄目になる一方だった。
「ああっ、あっ、あっ、あっ、んあぁああっやぁ、あああ……っ、そんな、したらぁ……っ、ああっ」
 乳首を両方から吸われて弄られ、アナルに入った指が二本に増え、アナルを広げるように両手の指を入れ、入り口を指で引っ張られて広げられる。
「やぁっ、あっ、あっ、ああっ、ひぃいんっ……」
 必至に耐えても快楽で体を開かれる。そうなると快楽を優先したがる脳内が、抵抗を拒否するようになってしまった。
 奏はすっかり男たちの手によって体を開かれ、壇上で嬌声を上げるだけになってしまった。
「んはぁっ、あああ、あふ、んんっ」
アナルの指が三本になり、完全にアナルが開いた状態で広げられてしまうと、二本指で内壁をどんどんを擦られ、とうとう前立腺を攻めあげられてしまい、奏はまた達してしまった。
「ああ……っ、あう……あうううう……あぁあっ、いく、いく、いくうっ……!はぁあああ――――っ!」
 脳天を突き抜けるような快楽に、奏は思わず笑顔になってしまうほどだった。
 それは観客を喜ばせ、モニターの金額が更に跳ね上がり一千万を超えた。
 まだ前戯にしか過ぎない段階で、一千万円を超えることはほぼない会場は更に盛り上がっている。
「ふぁあっ! あは、はっあ、ぁ……っ、そこ……すご……っ、きもち、ぃ、い……っ!」
 アナルの指がまだ中にいて前立腺を更に攻め上げてくる。腰がガタガタと揺れ、首輪を填められ、さらにはそこから伸びた鎖の先にクリップがついたニップルクリップを乳首に取り付けられた。そのニップルクリップには激しい振動がするローターがぶら下がっていた。
「やっ、あっあっ、ぁん、んっ……きもちぃ、から……っ」
 前立腺だけで気持ちがいいと喘いでいる状態で、ローターに電源が入る。


2

「あっ、はぁんっ、あああっ! あぁっ……ああんっ! ゃ、ああ……っ」
 それで気持ちよくなっている感覚のまま、乳首を弄っていた男たちが、新しいおもちゃを持ってきた。
 それはディルドであったが、どうみても人のペニスの形をしていない。
 観客が盛り上がり、歓声を上げる。
 そのディルドは、オオカミのペニスの形をしていた。わざわざこの形を作ってあるのだろう。
 男がそれを持って台に上がり、アナルを広げていた男が台を降りていく。
あれをアナルに入れられるのだと奏は気付いて、嫌だと暴れた。
「ゃああっ!? なっなに!? いやっ、そ、それ嫌ぁあっ!」
 人の形ではないものにおもちゃであれ、犯されるのだと気付いたら、恐怖に震えた。しかし、男たちは様々な形のディルドを用意し観客に見せている。
 オオカミの大きさがマシだと思えるような、馬のペニスまで作られている。その大きさは人の腕に近いほど大きく、凶器にしか見えなかった。
 まずはとオオカミのペニスを挿入された。
「やあああっ! ひぅ、や、やめて……っ、やめてぇえっ……うっ……あああっんっあんっ!」
 内壁を押し開いて入ってくるオオカミペニスのディルドに奏は恐れ怯えたが、内壁を押し入ってくる感覚に快楽を引き摺り出される。
「ぁふっ……ぁ、あ、ああっ! そっそこっ! そこだめっ……嫌ぁあっ!」
 駄目だと言うのに、どんどん挿入を繰り返され、オオカミのペニスで犯されてる感覚にされる。
「ひぁああ! やっあぁっああ――っ!!」
 たとえディルドとはいえ、禁忌を犯している気にさせるためか、奏はひたすら怯えた。しかし、そのオオカミのペニスで絶頂まで導かれ、とうとう瘤の部分までもが楓のアナルに入ってしまった。
「ぁはっ! はっ! ぁあんっ! ま、っひ、ひゃああんっ!」
 ガンガンと獣に犯されいるように、乱暴に扱われ、楓はそのディルドで達した。
「ひぁあっ、ああああああんっ!」
 ガクガクッと体を暴れるほどの快楽で達して、奏がぐったりとすると、観客は更に盛り上がり、どんどんスクリーンの金額も上がった。
 呆然としている奏を余所に、奏のアナルは広げられ、とうとう馬ペニスのディルドまで入れられた。
「いやぁあああ! やだっ、やだっ! 入ってる……っいやっ、あああっん!」
 ずるずると入り込んでくるペニスに、あり得ない場所まで届いているのを感じた。
「ぃぁああっ! あぁっやっ壊れっあっ……ああっ!!」
 圧迫感だけで感じる訳も無い大きさのはずなのに、奏はそれらを挿入され続けていると、だんだんと感じるようになっていった。
 そんな奏を観客が笑いながら見ている。
「いっ! 嫌っ……! や、やめ、だめ、やだ、見てる……っ、見られてるっ……!」
 観客の視線がしっかりと奏に向けられている。動物の作り物のペニスで喜んでいる奏に、観客が興奮しているのが分かる。
「やああああっ! いっいぁっあっ、み、見るなぁっ……! ぁっ、ぁ、ぁ、ぁっ!」
 気持ちよくなってきてしまい、続々と震えていく奏。馬のペニスすら飲み込めるようになってしまった奏は、ただひたすらに嬌声を上げている。
 スクリーンの金額は既に一億を超えた。それでもまだ金額があがり続けている。
「いっいやっ……! ぁっんっ、んっ、みな、見ないでっ……ぁっぁっ、お、ねがっ……ひあああっんっああっ!」
 グルグルと視界が回り、だんだんと奏はこれが現実なわけがないと思えてきた。
 そうだ。現実ではない。酷い夢を見ているのだと奏は思った。
そう思った瞬間、それまでに我慢していた気持ちが一気に吹き出した。
「ひああっんっあっぃひ……っぁあ、あ、あ、あ! ふぁああ……んっいい、ぃいいいっ!」
急激に変わった奏の様子に、観客は一気に盛り上がった。
 とうとう、獲物が堕ちたのだ。しかも馬のペニスの形をしたディルドによってだ。
「ああぁん……んふぅっあんっあんあん! 馬ペニスっ……いいっあ! ぃぃっああんっいいっ!!」
疑似の獣姦であるが、それでも本物ではないからなのか、奏はすっかり嬌声を上げながら淫語を口にし出した。
「ぁんっあんあん! ひぁあぁあっ……すご、凄いぃいいっ! ぐちゅぐちゅっ奥までっおま○こいいっ……んぁんっいい! いいよぉっ……もっとぉっあん!」
 自分のアナルをおま○こと呼び、もっとと強請り、腰を振る。
「ふぁああん あ! あ! うまペニスぃいい……あっ! おま○こイクっ……馬ペニスでっイクぅううう――っ!!」
 とうとうその馬のペニスの形をしたディルドで達した。
 派手に全身で絶頂を感じると、会場からは拍手が起きる。様々な言葉で声が聞こえてきて、奏は板から下ろされて、今度は中央のポールに鎖を通されて、そこにステージ上で横にされて、四つん這いにされた。
 尻を突き出すように腕を床に固定され、後ろ足も固定されていく。
 まだ終わらないのかと、気が遠くなるほど快楽を得ていたのだが、観客が更に盛り上がっている。
 すると、奏の腰に急に大きな者が覆い被さってきた。
「……え?」
 そう驚くのは無理もなかった。
 奏の体に覆い被さっているのは、大きな本物のオオカミだったからだ。
「ひ、いっ!」
 オオカミは興奮している。奏にかけられたローションはオオカミの雌の匂いをつけていた。それが全身から匂う奏はオオカミにとっては雌でしかなかった。
「いやだっそれはいやだっやめっやだぁ!」
 暴れようにもどうしようない。腕は縫い付けられたように鎖で押さえられているから、動きはしないし、後ろで動いているオオカミがフーフーッとうなり声に似た声を上げてくる。
「いいか、抵抗するな。噛み殺されるぞ」
 オオカミの手綱を持っている男が、奏にそう忠告をした。
 オオカミは既に興奮して手が付けられないほどであり、男たちは満足させるまで、オオカミを好きにさせるらしい。これがショーのラストだったようだ。
「お前は、さっきまで感じてたように、感じて喘いでいればいい。オオカミが満足したらそれでショーは終わりだ。お前も解放される」
 男の言葉で奏は思い出した。
 これはショーであり、奏は商品ではなくショーに出演しているにすぎない。スクリーンに映し出されているのは、このショーへの寄附金のようなもので、それは奏の家に降ってわいた借金の返済に充てられるのだ。
 既に金額は一億と五千万。二億を超えるのはあと少しなのだ。
 オオカミとセックスすれば、奏はそれに嬌声を上げていれば、すぐに終わることだった。
 奏はそこで覚悟を決めた。
 到底返しきれない、金額の借金だ。
 見ている狂人どもがその支払いをしてくれる。
 奏は体の力を抜いて、オオカミを受け入れるように体制を作った。
「それでいい」
 男がそう言うのと同時に、オオカミのペニスがアナルに挿入された。
「――――っ、う……っはぁ、ああっ……!」
さっきまでの冷たいディルドとは比べものにならないほど熱い塊が、一気に挿入された。痛みはなかった。馬ペニスの形のものを受け入れていたくらいに広がっているので、多少ディルドより大きくても、オオカミのペニスなら受け入れられたのだ。
「んはぁっ、あああ、あふ、んんっ」
 オオカミは一気にペニスを突き入れると、遠慮なしに腰を振ってきた。
「ああっ、あっ、あっ、あっ、んあぁああっ」
その遠慮のないピストンに奏は声を上げた。
 どうしよう、耐えられないと思っていたのに、オオカミのペニスがいいところを擦りあげてきて気持ちがいいのだ。
獣姦という禁忌のはずなのに、ディルドよりもオオカミの方がいい。
「あ゛っひっらめぇっ……あっあんあんあんあんあんっ!」
 奏が嬌声を上げ始めると、観客たちは息を飲んだ。
 オオカミは三十回ほど腰を振ると、一旦離れるも、更に興奮したように奏にのしかかり、またペニスをアナルに挿入した。挿入時は男たちが手伝って入れている。
 そしてまた激しく腰を打ち付けてくる。
「あんっあんっあんっ! あ゛ひっんっあぁああーっ」
 今度は長かった。訓練されているオオカミだったからか、十分異常も腰を振り続けてくるのだ。それもずっと激しくえぐるようにだ。
「ああんっ、気持ちいいからっ、オオカミおちんぽでおま○こグリグリされてきもちよくなっちゃったから……、もっとおま○こしてほしいっ、あっあああんっ! あ゛ひっあ゛っらめっいってぅ、い゛ってるからあ゛っ」
 あまりの気持ちよさに奏が達すると、オオカミは一旦離れる。
 精液を吐き出しながら達した奏を男たちがまた支えて、オオカミのペニスをアナルに入れてくる。
「ああっ! いやっあっあんっあんあんっあ゛んっらめっ、おちんぽっらめぇっ、あっあひっあ゛っあんっ」
 またオオカミが五分以上も腰を振り続け、奏はそれに翻弄された。
乱暴で配慮すらないやり方であるが、それが奏の快楽を呼ぶことになっていた。
「あんっあんあんっあ゛っあひぃっ! ああぁんっ! おちんぽいいっいいっあああんっ!」
 オオカミも興奮してどんどん押し込もうと腰を振る速度が上がる。
「きもちいい……あぁぁっ……いい、オオカミおちんぽっいいっきもちいいからぁ……!」
観客は既に立ち上がり、奏とオオカミのセックスを見て盛り上がっている。
「ぁあんっあんっあんっ雌犬、なのぉ! ふぅう……っ淫乱なっおま○こになるのっもっとぉっおちんぽしてっ!」
 奏がそう言っていると、スクリーンの金額が二億になった。
 そこからまた別の項目が現れ、奏とセックスをする権利が売られた。
 ショー会場上でのセックスに限り認められる商品とセックスをする権利で、時間は一人三十分に指定され、人数は十名。入札上位者による権利に我も先にと入札が行われている。
 百万はあっという間に超え、一人五百万辺りで決着が付いた。
 そうした中、奏とオオカミのセックスも終わりを迎えた。
 オオカミが奏の中に根元の瘤を突き入れ、精液を吐き出し始めた。
 犬などの射精は長いと言われている。五分から十分と言われているが、長いと三十分も結合し続けるらしい。
「ぃぁあ……っまだぁんっあ! まだ出るぅっ……すごっぁいいいん! ふぁああ……っ壊れう、俺っ壊れるよぉっ!」
 幸い十分でオオカミの射精が終わり、オオカミが離れていった。
 すると奏のアナルからオオカミの精液が吐き出されていった。
 観客からは歓声があがり、拍手まで起こっている。
 ここは狂っていると奏は思った。
 奏を買ったセックスをする権利を持った人たちが壇上に上がってくる。奏はそんな人たちともセックスをした。
 もう禁忌を犯したのだから、どうなっても同じだと思えたし、セックスで苦痛は味わっていないことを思い出した。
 人とのセックスは経験はないが、それでもオオカミなんかよりはマシだろう。
「お゛っあ゛あああ~~っ! あ゛おま○こっ、らめっ、あ゛ああっ、だめっしんじゃうっ、そこばっかゴリゴリしないれぇっ……! あ゛ーんっあああぁっ……!」
 しかし観客の男たちは絶倫だった。一人三十分という限られた時間を使って、ありとあらゆることを奏の体に仕込んでいく。
「ほら、大きいのが気持ちいいだろう?」
「おま○こ、いい……っ、いいいっ……!あぁっ……おちんぽっ気持ちよすぎて、おちんぽでっおま○こ気持ちよすぎて、いっちゃううぅっ……!!」
 男たちの手管で奏は快楽の絶頂を何度も味わい、ディルドともオオカミとも違う、人の手によって翻弄された。
 それは気持ちがいいという快楽ばかりで、痛いことは何一つなかった。
「あぁん! うぁあうっなか、おちんぽでっもっとおま○こ掻き混ぜ……あんあんっぁあああーっ!」
「淫乱な子だね。君ほどの逸材は最近はとんと見なかったのだけど、興奮させてもらっているよ」
「この子の獣との交わりは本当に興奮しましたね」
 そう悠長な会話をしながらも、彼らは奏の体を蹂躙し続け、一人が奏の中で射精をしてしまうと、次から次へと男たちが奏にのしかかっている。
「あ゛あぁーっ、あ゛っあ゛っあ゛っあ゛っ、んっあひっあんっうああぁっお゛っあああぁっ……!? あ゛ーっ……だめっ、今はぁだめ、あ゛っあ゛っうああぁっ……!」
 一人の持ち時間が三十分ともなると、奏はオオカミとセックスをしてから五時間も男たちにいいようにされ続けた。
「んぁああっ! イキ……った! ぁんっあんんーっ! あん! はぁああん……っあっあっあっ! 凄いぃいっ凄いのぉお! おちんぽぉっ……おちんぽ凄いぃいい……っ」
 疲れているはずなのに、セックスが気持ちよくて奏はすべての人に対して、同じように感じて絶頂して見せた。 
 それは端で見ている人にも好評だったようで、奏のショーは多少の人は減ったが、それでも観客は残っていた。
「あっ、あっ、ぁん! んふぅっぁひ! ひぁっ、あーっあーっ! あぁああんっ……もっと、もっとっん、はぁんっあっィぁああっ! そこ……っそこ凄いいいいっ! お゛っ、あ゛っ、ああぁっ……! あひっ、い゛っ、あっあ゛っ」
「そろそろ終わりだな……よく啼いてくれて、好い子だったな」
「あひぃっ、あ゛っうっんっ、あんっあんっあんっあんっ」
 最後の一人が奏を激しく突いて、最後の絶頂に追い詰めてきた。
「あ゛あーっ……あひっ、んっあ゛っああっいいっ、きもちいっ……うぁっんっあっあぅっふあぁっあ゛っあんっセっクスっすきっすきっ……! ああっい゛いっ……きもちいっ、んっあ゛っああっ」
「うん、好い子だ。君のショーにはまた参加したいものだっ」
「あ゛あああぁんっ! あひっイっあ゛っあ゛っああああっ! ひあ……あーっあーっ」
 男が奏を突き上げて、奏は最後の絶頂に達した。完全に空イキをして奏がぐったりと倒れると、ショーが終わった。
「ありがとうございました。本日のショーはここまででございます」
 そういうアナウンスが流れ、奏は出てきた男たちによって舞台袖に運ばれた。
 そこで奏の意識は途絶えた。

 奏が次に目を覚ました時は、既に船を降り、車で何処かに運ばれていた。
「……ここは?」
 そう奏が言うと、運転手が答えた。
「東京の江間様のご自宅前です。そろそろ付きますよ」
「……え?」
 奏が驚いて起き上がると、確かに車から見た窓の外は見知った景色だった。実家ではなく、大学に通うために住んでいるマンションの方だった。
 あのコンビニを曲がって入った先の突き当たりにあるマンションが奏の今の住まいだった。
 車はそこまでたどり着くと、奏を下ろした。
 そして運転手が奏に少し重い紙袋を渡してきた。
「何ですか……?」
「あの夜のことは他言無用という物です。あなたは借金を払い終えた。それでいいことです」
 運転手はそう言うと、奏を置いて車で走り去っていった。
 既に一日経っていることを奏は自分の携帯の日付で知る。
 携帯には母親からのメールが入っており、それにはごめんなさいという謝罪だけが一言入っていた。言い訳をしないだけマシなのだろうか。それとも謝れば何とかなるとでも思っているのか。
 とにかく疲れたので家に入り、もらった紙袋を開けて見ると、それはお金だった。
 百万の束がいくつも入っており、数えてみると五千万円は入っていた。
 これが黙っているために出された金額であり、奏の報酬らしい。
 奏は玄関先でそれを持って玄関に座り込んだ。
「……どうしよう……」
 酷く不安になった。
 自分はこちらの性癖に目覚めてしまったらしい。
 何一つも辛くなく、後悔すらない。
 あんな酷い目に遭ったのに、何一つも悔しくもない。罪悪感や羞恥心も誰かを憎む憎悪すらなかった。
 ただ、もうあんな出来事には出会わないであろうということなのだ。
 その札束がガザリと落ちた。すると、その中に小さな名刺のようなものが入っていた。

 それを拾い上げて見ると、名刺には普通に名前が書いてあった。
 有名な海運会社を経営しているという副社長の名前だ。
 そしてその裏には、メッセージが書いてあった。
『君がまだ足りないと言うのなら、連絡をしてくるといい。楽しい夢の続きがある』
 その文字に奏は自分の体が熱くなるのを感じた。
 まだ道は閉じていない。
 奏はすぐに名刺の番号に電話をかけていた。 
 もう二度と後戻りのできない道に、奏は進むことにした。

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