はじまりに向かって

1

 その日は朝から気分が良かった。
 末次は恋人の倉沢と会うのが楽しみだったが、最近は少し倉沢の仕事が忙しくて会えなかった。二週間以上も連絡を取ることもできないほどに忙しかったらしく、やっと昨日連絡が入ってきた。
 その忙しさから、やっと一週間の休日を貰ったと倉沢が言い出したので、それに合わせて末次も慌てて有休を取った。幸い、有休を取れとさんざん言われていたのと、仕事がやっと落ち着いた期間に入ったことで、翌日からの一週間の有休が取れた。
 だから仕事が終わる時間が待ち遠しくて、溜まっていた仕事を一気に片付けて、仕事の終了時間にはみんなにお茶を入れてあげる時間までできたほどだ。
 会社を飛び出ると、すぐに駅に向かい電車に飛び乗って自宅に戻った。
 それから旅行バッグを取り出して一週間分の荷物を詰め込んだ。
 とはいえ、持っていくのは洋服などで、日用品のほとんどは恋人の家にある。
 それくらいに入り浸っていたのに、二週間もお預けにされて、末次の心も体もすっかり倉沢を求めるようになっていた。
 その間に倉沢から送られてきた動画でアナニーをして待っているように言われ、自分で動画を見ながら慰める羽目になった。
 それよりも倉沢が末次とのセックス動画を撮っているとは知らず一瞬は驚いたが、倉沢が正直に打ち明けてきた性癖に、別れを告げるほどではないと思ったのだ。
 倉沢はセックスの動画を撮るのが趣味で、恋人との動画を撮るのが好きだった。反芻する目的で使用しており、出張の時はそれを使って抜いていると言われた。
 倉沢はそれまでの恋人とは、このことで揉めて喧嘩別れをしており、末次とは別れたくないと言ってくれた。
 身長が高くて百八十を超える大男で、顔は誰もが見惚れるほどの美形と言われる整った顔をしている倉沢がどうして恋人と上手くいかないのか、はっきりとした理由が分かった。
 そのことが分かってむしろ末次はほっとした。
 こういうきっかけを出して、きっと末次との距離を考えたのだろう。別れても仕方ないけれど、この先へ進むには末次の合意がないと駄目というわけだ。そこまで倉沢が踏み込んでくれたのだと思って末次はむしろ嬉しいと答えた。
「早く会いたいな……週末まで待てないよ」
 寂しそうに言う倉沢の声に、末次はすぐに有休を取ったのだ。こういうときこそ一緒にいなければいけないと思ったのだ。
 それには倉沢も賛成してくれて、待っていると言った。
 休みが取れたことは既に伝えた。返事は。
「良かった楽しみに待っている。ご飯とか買い込んでおくから一週間引きこもろうね」
 と返ってきた。
 だから末次は準備をしてから部屋を簡単に片付けた。
 ご飯はいらないので電源から切り、ガスなどの元栓をしっかりと閉めてから部屋を出た。
 すぐに電車に乗って倉沢の家まで辿り着く。
 倉沢は大手販売営業の部長になったばかりであったが、実家が裕福であったので、高級マンションに住んでいる。そのマンションも自分名義の持ち物で、親から貰った物だという。
 五階まではテナントやいろんな企業が入っているが、六階から七階がエントランスになり、八階から五十階までが一般の住宅マンションで、五十一階がエントランスになり、五十二階から五十八階までが倉沢の持ち物になっている。地下は二階建てで駐車場になっている。
 そんな働かなくても生きていける身分であるらしい倉沢を狙ってくる人は多いらしいのだが、それ以上に倉沢の変態気質な部分に音を上げる人が多いという。
 まずセックスが異常であった。
 絶倫であるのは普通と考えても、青姦が大好きであることや自宅であるとSMに近い拘束や、おもちゃを使った行為が多い。倉沢が中に入ってくるよりもおもちゃが入った数の方が圧倒的に多いほどである。
 どうやら、自分で満足させるよりも自分以外の手で乱れる恋人を見るのが好きらしいのだ。だから青姦も道具を使ってあらゆることをされて散歩させられ、旅行に行ってもおもちゃは当然付けたままで、耐えられなくなったら、やっと普通にセックスをしてくれるというパターンが多い。
 そんな変態気質な部分が多いのは、富豪の家に育ったが故と言えた。普通のセックスは小学校時代にメイドとやり尽くしてしまい、中学の頃には屋敷中のあらゆる人ともセックスをしたという。高校になり、普通では満足できずに変態行為に及び、大学時代はヤリサーと言われるテニス部で乱交を覚えたほどである。
 こんな遍歴を持つ人の恋人が通常の恋人であるわけもなく、エスカレートしていく行為に誰も付いてはこなかったそうだ。
 そこで紹介されて出会ったのが、末次だった。
 倉沢はとても爽やかな青年に見えた。
 けれど出会った日にしたセックスは、倉沢の希望で青姦だった。
 高架下に車を止めて誰も来ないのをいいことに一晩中盛ったのだ。
「あ゛あああぁんっ! あひっイっあ゛っあ゛っああああっ! ひあ……あーっあーっ」
「さすがだ……紹介されるだけのことはある、末次……いいよっ」
 何度も何度もイカされ、絶頂するたびに動きは止めてくれたが、それでも痙攣が終わらないうちにまた激しく突かれて、絶頂へと追い上げられた。
「ひあ゛あっうあっあんあんあんあんあんあんあんっ!」
 人がくるかもしれないという恐怖は、見られるかもしれないというスリルに変わり、末次を興奮させた。
「君は本当に、いいよっすごく、付き合おう」
「ひっあ゛ああーっ……いぐっ、中でっ……! ふあぁっあ゛っあああんっ!」
 そのセックスで虜になって、末次も倉沢と付き合うことにした。
 毎回青姦で、公園やビルの裏、ビルの屋上どころか、末次の会社の屋上ですらしたのである。
「ああぁんっ……会社でっ、犯されてるっ……! 会社でせっくすしてるっ……あぁっあ゛っあーっ……」
「誰かが見に来るかもしれないね……こんなところ見られたら、身の破滅か、それとも口止めに犯される?」
「いやっんっあひぃっ、あ゛っうっんっ、あんっあんっあんっあんっ」
「いやという割には腰が動いてるし、おま○こ最高に締め付けてくるんだけど? 会社で気持ちよくなって絶頂するんでしょ? 変態っ」
「あ゛あーっ……あひっ、んっあ゛っああっいいっ、おちんぽきもちいっ……会社でおちんぽされていくっうぁっんっあっあぅっ」
 会社では十回以上はドライオーガズムの絶頂をさせられた。
 会社の会議室に忍び込んで、セックスをしたこともある。
 さすがにセックスをしているところは見られなかったが、行為に及んでいる社員がいるという噂が立って、さすがに自重したくらいだ。
 その代わりに倉沢の自宅に行った時は、腕を拘束されて一晩中おもちゃでイカされ続けた。
「あひっ、おもちゃにっ、犯されてるっ……! 偽物おちんぽでごりごりされて、あぁっんっあ゛っ、ああんっいいっきもちいっ、ああぁっ、だめっあっあっ……!」
「末次はこんなもので、感じるんだね。いいよ、私の理想通りだ……ああ、美しいよ……」
「ああぁんっ、いっちゃう、おま○こでっ、にせものおちんぽで、おま○こ……イかされちゃうっ……! ひああっいぐっあ゛っあ゛ひっうああんっ」
 一つのディルドで絶頂をしても、行為は終わらない。
「これで、終わりじゃないよ……まだ次のがあるんだよ。こっちは人外のシリーズ。さあ、どう感じてくれるかな?」
 そう言うと倉沢はあらゆるディルドを末次の中に突き入れた。
「あーっぁああ! ぁん! あ! あ! いいっぃいっ……っこれ、これぇっ凄いよぉおっ!」
 明らかに人間のペニスの形ではないものをアナルに突き入れられて動かされるのだ。何度も絶頂をさせられながら。
 倉沢の自宅のベッドルームは鏡張りの部屋にされていて、そこで自分が犯されるのを見ながらイカされ続ければ、大抵の人は音を上げる。
 困った性癖を持っているが故に、結婚してもこれをやめるつもりがないと言い切る倉沢に恋人はみんな逃げたのだと言った。
 末次はそれだけでは逃げなかった。
 告白された時に、末次は仕方ない人だなと思った程度だった。
 というのも、それまでの末次の恋人は暴力を振るう恋人がいて、腕を折ったり、入院したりと酷いのに付き纏われて裁判沙汰になったほどだった。
 倉沢のセックスや性癖はちょっと変わっているが、暴力だけは一切振るわない。行為をする時はいきなりはしないで、こうしたいとお願いされてするパターンだったので、まだ絶対にマシな方だった。
 道端で人が見ているのに、やめてくれというのに道路の真ん中で犯され、それでも恋人のペニスで快楽を得ていた。入院中にベッドで恋人に犯されて、周りから見られているのに、酷い嫌だと言いながら絶頂するような末次だったからこそ、マシだと言えたのだ。
 そんな末次に倉沢を紹介した友人は、末次の悲惨な状態を知っていたので、倉沢くらいなら耐えられると思ったらしい。実際末次は余裕で恋人を続けていた。
 けれど倉沢が見せていた部分は、まだ一部分だけだったのだ。
 倉沢が求めるがままにほぼ受け入れる末次に倉沢は執着を見せ始め、徐々に正体を現していくようになった。
 末次を試すように、倉沢は酷いことを突然するようになったのだ。
一度注意が入った会社に突然来て、残業をしている末次の普段から仕事をしている課の床で一晩犯し続けたのだ。
「あああんっ!! あっ、ひぁっ、だめっ人が戻ってくるっんぁっはぁんっ!!」
 防音設備がしっかりしているとはいえ、いつ誰が戻ってくるか分からない。そんな場所で明らかに強姦レベルの犯され方をされてしまう。
「ああああーっ! やらぁっ、らめっ、はっふぅっ……あっ、ああぁっ」
「駄目っていいながら、腰振ってる……ここにみんないればいいのにね……会社中の人に見られて絶頂をするところ、みたいな……」
「それはぁっ……やら、だめっおちんぽぉっ……あっ、あぁんっ!」
 ジャブジャブと音が鳴るほどローションを付けられて、ペニスが中を犯してくるのを感じながらもみんなに見られている気になって、末次は絶頂をしてしまう。
「ひぃっああああぁー! やっあぁっ、あんっ、ふぁっ、ん……はあんっ!」
 突き上げられて末次はドライオーガズムで絶頂する。
「イッたよね。見られてると思って……イッたよね。変態っさすが淫乱」
「ひあああっ、らめっえっ……んぁっ、ああっ、やあああぁっ!」
「ここで、射精してイッて、会社の人がみんな見てるよ……隣の席とか座ってるやつなんか、きっとペニス扱いて射精するときは、末次に掛けてくれるよ」
「やああああぁ! れちゃうっ、またれちゃうのぉっひぃあっ、あんっ、ぁんっ、あぁっあああああっ!!」
 夜明け近くまで犯され続けたが、人はこなかった。
 見回りの警備員は寝入っていて見回りを忘れていたと、朝になって慌てたらしいが、幸い末次は片付けまで何とかして会社から逃げ帰ったほどだ。
 もちろんバレてはいなかったが、休日明けに出勤したら妙に恥ずかしかったのを覚えている。
 さすがに会社はやめてくれと言ったらやめてくれたが、その代わりだと言われ倉沢のマンション内にある直通エレベーターの中で昼間にセックスをされた。
 ガラス張りのエレベーターなので、外から見ようと思えば見える。そこに手を突いて後ろから一時間以上もセックスをした。
 だらだらと精液を撒き散らかして、末次は何度も絶頂をさせられた。
「やぁあん……っまだっんっあんあん! まだせいえき出るぅっ……おちんぽすごっぁいいいん! ふぁああ……っおま○こ壊れうっ壊れるよぉっ!」
「壊れても直してまたしてあげるよ……はあ……イキなさいっ」
「ひぃいいいいぁんっ!! あっあっ! んああっ止まんな……止まんないよぉっ、あっあっあっ! いっイクぅうう! あっあっあっ凄いぃいっ!」
 絶頂をして精液を垂らした後には、尿まで漏らしたほど良かった。
 さらには隣のビルからは確実に見える位置までエレベータが下がり、そこではガラスに躰を押しつけられて後ろから突き上げられ続けた。
「ああぁんっ……見られるっ、犯されてるのっ見られるっ……! せっくすしてるのっ見られちゃう……あぁっあ゛っあーっ……」
「見られるかもしれないどころか、確実に誰か見てるよ。末次のいやらしいペニスが射精して、おま○こをおちんぽに犯されているの見て、おちんぽ扱いてるヤツがどこかにいるよ」
 そう言われて末次は更に興奮している自分がいることに気付いた。
「あひぃっ、あ゛っうっんっ、あんっあんっあんっあんっあ゛あーっ……あひっ、んっあ゛っああっおちんぽいいっ、おま○こきもちいっ……あぁっんっあっあぅっ」
「見られて興奮するなんて、変態度上がってきたじゃないか? さすがに声は聞こえてないから、言ってごらん。おちんぽ大好き、セックス好きって」
「ふあぁっあ゛っあんっおちんぽっすきっセっクスっすきっすきっ……! ああっい゛いっ……きもちいっ、んっあ゛っああっ」
「そうじゃあ、見られながらイッて」
「ひあ゛っああっいいっはげしすぎっあ゛っひっあんっあんっあんっ……あぁっあ゛っうあああっああぁっ、ああうううぅ――っ!」
全身を痙攣させて絶頂し、射精をすると視界に入った窓から人がこっちを見ているのに気付いた。目が合ったのだ。
「あぁあっ、見られたっ、見てるっこっち見てるっいく、いくうっ……!はぁあああ――――っ!」
 絶頂をしてからの更にドライオーガズムで、末次は白目を剥くほどの絶頂を味わって床に倒れ込んだ。
 窓ガラスには精液が張り付いて、それが垂れながら落ちてくるのが見えた。
 その時は終わったと思ったが、特に誰かがここにくることはできやしないことを思い出した。五十階以上直通であり、動かせるのは倉沢しかいないのだ。
 けれどどこで誰に見られたかは分からない。
 それでも末次は倉沢とは別れなかった。


2

 倉沢のマンションに着くと、チャイムを鳴らして迎えに来て貰う。
 鍵は貰っていないので、自分で入ることはできないのだが、末次はそれでいいと言った。もしマンションに入るためのカードキーをなくしたりした方が怖いからと、平然と鍵を貰えない、つまり信用されていないことについては仕方ないと言うのだ。
 だからその代わりに末次は自分の家の鍵は倉沢には渡さなかったし、自宅にも倉沢を呼んだことはない。それは倉沢がどこでもセックスをしたがる癖があるので、自宅でセックスをされたら近所迷惑になってマンションから追い出されるという理由からだ。
 もちろん倉沢はそれを否定しなかったので、やる気はあったらしい。ちゃんとした理由で拒否されれば、倉沢も信用はしてくれる。
 エレベーターが下りてくると、それに乗り込む。
 すると倉沢が乗っていた。
「あ、倉沢、久しぶり……って、どうした?」
 エレベーターのドアが自動で閉まると、倉沢が部屋の階へのボタンを押した。
 しかし、その階数はいつもの五十七階ではなく、五十八階だった。
 それを押した後は、倉沢は末次を壁に押しつけて強引に唇にキスをしてきた。
「ん……んん……んっふん」
 無理矢理でもキスは優しく、倉沢が飢えているのが分かって、末次はそれを嬉しがって受けた。舌を絡め合い、深いキスを繰り返した。
 その間にエレベーターは五十八階まで辿り着き、ドアが開いた。
「おいで」
 倉沢が言って末次を連れ出す。
 降りた先は大きなホールのような場所で、周りには飾り物が置いてあるがガランとした空間のようになっている。
「レストランを作る予定だったんだが、私が下の階を使うから邪魔になって取りやめになったままだ。見晴らしのいい景色が売りにしようとしたが、それもあのマンションが建って打ち壊しになったのもあって、たまに景色を眺めに来る程度だ」
 そう言われて見ると、ガラス窓のあちこちにソファなどがあり、くつろぐために置いてあるらしい。その空間の中央に、ダブルベッドより大きいベッドが置いてある。
「ふーん、ここで寝るの?」
 そう言って末次が近づくと、それは大人四人くらいが余裕で寝られそうな大きさであった。キングベッドを二つくっつけたような大きさであろう。
 近づくと倉沢に座るように言われた。
「これとこれ。付けて」
 そう言って渡されたのは、手首の鎖を付ける拘束具と衣装だ。
 衣装とはいえ、ハンドタオル一枚を縦にして首や腰辺りに後ろで紐を付けて固定しただけのようなものだった。
 その布もシースルーで透けていて、完全に見えている状態である。正直付ける意味があるのかと疑ってしまうのだが、付けてと言われたら仕方ないと思って着替えてしまった。
 久々にあった恋人がして欲しい格好なのだから、嫌がる理由もないので素直に裸になって着替えた。
 ペニスにはコックリングを填められ、それにバイブ機能が付いている。
 手枷は自分ではできないので腕を出すと、倉沢が填めてくれる。
 ベッドに上がるように言われて寝転がると、そのまま腕をベッドの頭の上、中央にあるポールに鎖で繋がれた。長さを調節され、寝転がったままで腕を完全に上げた状態で固定されてしまった。
 そうすると目隠しまでされた。外れないようにしっかりとベルトで固定された。
 音楽が鳴り始め、いい匂いまでしてきた。いつもとは様子が違う。
 さすがに本格的にSMに近いことをされて、少しだけ末次は不安になって言った。
「た、叩くのはなしだよ。ろうそくもやだって言ったよね?」
「しないよ。縛って見えないようにしただけ」
「な、ならいいか……」
 末次がそうホッとしたところで、倉沢がキスをしてきた。
 それを受けながら、末次は肩の力を抜いた。
 興奮しているのか、息の荒い倉沢が末次の躰中にキスをしながら、シースルーの上から乳首を舐めてくる。
 布越しのザラついた感覚と、布が涎で濡れて張り付いているのを吸われる感覚がいつもと違っていて、末次は躰を震わせた。
「ひぁあんっ……ちくびぃ……らめぇっ……ぁんっ、あぁあああん……」
 倉沢の乳首への執拗な舐め方や、いじり方がいつもより強く強引だった。
「ひぃあぁっ! やっ、ちくびぃっ、ぁんっあぁんっ」
 乳首を吸い上げ舌で嬲り、
「もうやぁっやらぁっ! ちくびらめぇっ……あっああぁっあんっあんっ! いっちゃうからぁっ吸わないれぇっあひいぃっ!」
ジュルジュルと吸い上げられて、とうとう末次は乳首だけで絶頂をした。
 ドライオーガズムで精液はでない。この程度でも末次はオーガズムを得られるようになっていたし、射精を伴わない絶頂の方が長く絶頂を楽しめることを知った。
 さんざん倉沢に開発されて、ドライで絶頂する方が多くなったほどだ。
 この絶頂を知ってしまったら、もう後には戻れない。
「あーっ……はっあぁっ、あっああぁっ」
ビクビクと躰を震わせて快楽を味わっている間に、コックリングのバイブが動き出した。
「あぁぅっ! やっ、あんっあんっあぁんっ」
 腰が跳ね上がってしまうのだが、それを倉沢が押さえつけてきて、末次の脚を大きく広げ、アナルが見えるような体勢にすると、倉沢が末次のアナルに舌を這わせてきた。
「やぁあっ、あっふぅっ、あっあっ……ああーっ!」、
 アナルの皺を広げ、入り口を舌で何度も舐め解し、指をアナルに突き入れて掻き回しながら、入り口を舌で嬲ってくる。
「んんーっ、やっらぁっ! あっはぁっ……んぁっ……はぁっん……!」
いつもよりも執拗にアナルを舐め上げられて、あまりの気持ちよさに末次は指で書き回れるだけでまた絶頂に導かれた。
「ああっ、いくっ、指マンでっ、いっちゃう、はぁっ、おま○こいっちゃうっ! ああんっ」
 奥まで突き入れられて達するのだが、それでも倉沢は指を止めてはくれなかった。
「あっあっあっ、やぁっ、指、はげしっ、はぁっ、あうっ、ひぃぁっおま○こ……だめっそれじゃ足りないのっおおっんっああっ」
「何が足りないんだ?」
 少し離れたところから倉沢の声が聞こえた。
 末次は少しだけ疑問を覚えたが、それでもして欲しいことを言った。
「お、おちんぽで、おま○こガンガン突いてほしいっ……もう、おま○こ疼いて辛いからっ、おちんぽハメハメされないと、だめなのっおかしくなるっ、ずっと待ってたの、一人でディルドでやってて寂しかったのっおねがいっ倉沢のおちんぽちょうだいっ……んっああぁっ!!」
 そうはっきりと言って尻を振ると、いきなり大きなペニスが末次の中に突き入れられた。
「あ゛あああ~っ……! あ゛ひっ、い゛っ、あっあああぁっ」
 久々に味わう倉沢のペニス。それが大きくていつもと違う気がしたが、それでも二週間も間を開けて倉沢を受け入れたことはなかったので、きっとアナルの方の拡張が足りなかったのだと末次は思った。
「ひあぁ~っ……うあっ、い゛っおあっ、あひっお゛っうあっあはぁんっ」
 突き入れられた後、少しだけ間を置いてくれて、末次が息を整えると強引に倉沢がペニスを抜いてまた突き入れてきた。
「あ゛ああああっ! あひっらめっああっあっあっあっあっあぁあっ……ぁっ、おっきいっおちんぽがぁっ……おれのなか、ごりごり擦ってっはあぁっ……んっあぅっ、きもちっ、いいっ……!」
 末次が嬌声を上げるとピストン運動が速くなっていく。
「やああぁっ! あっあぁんっ……らめっ、あっあっあっ……あひっ……あっあんっあっ……はっ、はぁ……あぁあっ……」
 獣のような腰つきで末次を押しつぶすようにして挿入を繰り返してくる倉沢に、倉沢も飢えているのだと気付いて、末次は嬉しくなった。
「ひああぁっ……あぅっ、あっあっあんっあぁんっ! やああっ、はひぃっ、あっあっ、あーっ」
 脳天を突き抜ける快楽は、倉沢とセックスする前から好きだった。暴力を振るう男となかなか別れられなかったのは、あの乱暴なセックスが好きだったからだ。
 殴られるのは嫌だったけれど、セックスは好きだった。
 例え、人に見られてしまって恥ずかしい絶頂をしたとしてしてもだ。
「あぁーっ……ふあっ、んっんっ、やぁっあっはぁあっあっあっ……もう、あぁあっ……いっちゃ、いっちゃうっ……あっあぁっああっ!!」
 ペニスを入れられてからすぐさま末次は追い上げられた。
 全身で感じて絶頂をすると、躰が痙攣して打ち上げられた魚のように跳ねた。
「あっあぁっ……んんっ、らめぇっあっあんっ」
 絶頂が少し過ぎると、また倉沢が動き出した。
「あぁああーっ……! あひっ……あ゛っあぁあっ……はぁっあぁっ……ああっ……」
 いつもとは違う追い詰められ方をして、末次はだんだんと不安になった。
 こんな乱暴なやり方は確かに倉沢であるが、中にあるペニスが絶対に違うと思った。こんなに短くはなかったと思ったのだ。
「あぁあっ……はぁっはぁっ……だれっ……だれなの……あっぁんっ……」
いやだと躰を捻るも俯せにされて後ろから激しく突かれた。
 こうなったら突き方が違うのが一目瞭然だった。
「あああぁっ……やだっだれっいやあっ、おちんぽっちがうっ……あっあ゛ひっあぁあんっ」
 逃げようとしても逃げられず、腰を捕まれた身動きも取れない。そのまま強引に犯され続け、誰だか分からない人にひたすら犯された。
「あああーっ!やらっ いくっ、いっちゃうぅっ! はぁあんっ、あっあんっああぁー!」
 追い上げられていると途中で、倉沢が言った。
「知らない人のおちんぽ精液をおま○こにたくさん貰いなさい」
「あっああぁっ……おま○こは、らめぇ……んっ、おま○こに中出ししちゃぁっ……らめなのっあっあっいぃっ、んっ、あんっ」
 誰だか分からない末次を犯している誰かが呻き、射精をした。
「あ゛ああぁんっ! あぁっ、あっあんっあんっやらっやらぁっ! はぁっあんっあぁああんっ……やらっおま○こにせいえきでてるっ……ああっん!!」
 精液がアナルの奥で吐き出され、末次は痙攣しながらそれを受け止めた。
「どうだった? 末次。久々の他人のおちんぽ精液だよ。美味しく頂いたね。さあどうしたい? どうして欲しい?」
「あぁんっ……あぁっもっとしてぇっ、ハメハメしてよぉっ、ああっん」
 末次は腰を振りながら、必死で次のペニスを求めた。
「あひぃっ……おち○ぽぐりぐりして、せいえき出すのぉっ」
「いいよ、次のペニスだよ……ほら」
「あぁっ! あっあっあひぃっ……すごっあんっはぁっあぁんっ」
 明らかに別の誰かのペニスが入ってきた。それはさっきとは大きさも長さも違う。さらには所々に瘤がありそれがアナルを広げてくる。
「あ゛ああっいいっいい、おま○こきもちいいっ……あんっあんっあんっ、おちんぽっいいっあああっんいいっあああっ!」
 末次が嬌声を上げている一方で、ペニスを突っ込んでくる男たちは一切声を出しはしなかった。せいぜい聞こえるのは呻いている声や、力んでいる声くらいで、それ以外に私語は一切ないのだ。
 どういうつもりで倉沢がこんなことをしているのか理解はできなかったが、乱暴なセックスに慣れている末次にはまだ優しいやり方であった。
「ああぁっすごいぃっ……ぁんっらめぇ、あっあんあんあんあんあんっやあああぁっ! ぁっあっいくっ、いくっ……! んっあっあっあっせいえきでてるっいあぁあんっ!」
 二人目が絶頂をして中出しをしていくと、三人目四人目と次々に人が末次に伸し掛かり犯してくる。
「あぁんっ、おれ、おち○ぽで、おま○こぐりぐりされてっああっいいっきもちいいっあんっあんっおちんぽっいいっ」
 とうとう十人目になっても末次はドライオーガズムはしても、精液を射精するような絶頂には達しなかった。
「あ゛あああっ! いくっいくいっちゃうっ……あっあんっあひっあああーっ」
 ガクガクとドライオーガズムで達して痙攣している躰から人が離れていった。
 あまりの快楽に絶頂したままで快楽を味わっていると、やっと誰もいなくなったらしい。
 誰もいなくなってから遠くで物音がして、誰かが歩いてくる音が聞こえ、それがベッドに上がってきた。
 すぐにそれが倉沢だと気付いて、末次が言った。
「……これ、全部取って……」
「分かった」
 拘束されている部分を取ってもらい、目隠しも外して貰った。
 やっと視界がクリアになって周りを見回すと、やはり誰もいない。さっきまでの棒要員たちは早々に立ち去ったらしい。
 末次はベッドを抜け出して立ち上がると、アナルから今までに中で出された十人分の精液がボタボタと溢れて流れ出た。
「あああんっ、い゛いっあっああっ……」
 そんな大量の精液なんて入れられたことはないので、それだけで末次は快楽を得てしまった。
「はぁあっあっ、こんなことして、……何がしたかったの?」
 末次に飽きたのか、それとも邪魔になったのか。別れたくてこんなことをしているのか。いろいろ考えても分からない。そもそも最近の倉沢は訳が分からないことばかりしていると思う。
「……分からない。お前をどうしたいのか分からない。ここまで付き合ってくれたヤツがいないから……」
 倉沢がそう言い出して、末次は眉を顰めた。
 倉沢自体が自分でも何をしたいのか分かってないのだというから驚きだ。
「何をしても、お前は私を受け入れてくれる……どうしてだ? ここまでしてもまだ、お前は怒って帰ったりしない、なぜだ?」
「怒って別れるって言って欲しいって意味? それとも俺がここまで耐えてまでして、お前と付き合う意味ってこと? まあ、後者だろうけど……そうだな」
 そう言うと末次は言った。
「そうだな、多分お前がセックス以外のことで物理的な暴力を振るわないからだと思う。俺は前の男に病院送りにされてお前でも引くようなことをされてきたからな」
 末次はそう言い、苦笑した。
 倉沢はそれは初耳だという顔をして、末次の話を聞いた。
 殴られ道のど真ん中でセックスをされたり、入院中のベッドで強姦されて彼氏が警察送りでやっと自由になったと話したら、さすがの倉沢も引いていた。
「まあ、今日のはちょっとキツイかな。怒鳴って帰るほどではないけど、多分付き合いは考えるかな。結構相性がいい感じできたと思ってたけど、俺の勘違いかな」
 そう末次がそう言うと、倉沢が慌てた。
「もうしない」
「そう? うーん、お前はさ、前はちゃんとやっていいことか駄目なことか聞いてくれたよね? それで俺がいいと言ったことしかしなかっただろ? 俺はそれでよかった」
「それでいいのか? それだけで?」
「うん、それでいい」
 末次があまりにも簡単な方法で付き合ってくれると言うので、倉沢は呆気に取られている。
 どうやら今まで恋人が定着しなかったせいで、ここまで我慢強い恋人に対して不安になっての行動のようだった。境界線が分からなくて、それを確かめようとしたのだろう。
「本気で嫌なら、そもそもお前を殴って別れてるし……」
 さすがに会社でセックスをしたまずい状況はあれだったが、それでもそれ以降やめてくれたのでよしとしたのだ。
「そうか……すまない……」
「二度目はないからな。謝ってくれたし、それでいいよ。で、風呂はどこ? さすがに気持ち悪い」
 末次がそう言うと、倉沢はすぐに風呂に案内してくれた。
 ただその風呂も当然、外を眺めるようにできていて、辛うじて覗きができないように、プールを作って間をあけてくれているが、見ようと思えば見えただろう。
 そこで末次の体中を倉沢が洗い、さんざん出されたアナルまで洗ってくれたのだが、そこからまた末次に火が付いた。
「ひああっらめっ、そこっあひっ……おかしくなるっあっい゛っあっあっあんっあんっあんっあぁんっ!」
 指で抉られて中を掻き回され、敏感になっている躰がすぐさま反応する。
「あ゛あああっいくっああっ、いっちゃうっあぁああんっ!」
 末次が倉沢の指で絶頂をしてしまうと、倉沢も興奮したように服を脱いでシャワーの中でキスをしてきた。
「んふ……んっふんっ」
 仲直りのキスだとばかりにさんざんした後は、倉沢が末次をプールに連れて行った。
 温水にしてあるプールは、せいぜい市民プールの子供用くらいの広さで、深さもそこまでない。
 そこに入ったとたん、風呂の縁に躰を乗せられ、背後から倉沢に犯された。
「ひあああっ! あ゛うっお゛っあっあああっ」
「くっ……締め付けすぎだ。おま〇この中におちんぽをたくさん挿れてあげるからな」
「あああっ! あ゛っあ゛っおちんぽっうっひぃっあっあんっあああっ……!」
「気持ちいいよ……さすがあんなにしても、まだ中が締め付けてくる。淫乱だ」
 そう言うと倉沢は今までの分まで末次を犯しにかかった。
「あ゛ひぃいっもっらめっおかしくなっちゃうっ……あひっあ゛っあ゛っあ゛ぁんっ!」
「こんな淫乱で誘惑する子になって。今、おま○こに出すから孕ませてあげるよ」
「ああっおま○こに出ししたらっ孕んじゃうっ、あっあっあんっあんあんあんあんっ!」
「何が駄目なんだ? おちんぽが気持ちいいんだろ……っ」
「んっあっい゛いっ、おちんぽが、よすぎてっおま○こだめになっちゃうっ……あっひっおっああっ」
「こんなに締め付けて、おま○この中私のおちんぽの形に戻っちゃうね。汚いおちんぽに犯されたこと、なかったことになるね。ん……気持ちよさそうにして、イクんだろ? イッて?」
「あひっああっいくっやぁっ……あ゛っひっああぁんっ!」
「だめ、精液出す方でイッて。おま○こに精液出してあげるから」
「あぁあんっイって、イってっおちんぽ好きっ……俺のおま○こで、イってっ……精液中出ししてっあっあんっあんっああぁんっ」
 眼下に街を見下ろしながら、全身で感じて最高に気持ちがいいまま、末次は絶頂に導かれた。
「ああぁっい゛っあっいぐっ、いっちゃうっ、あっあっあ゛あっんっああーっ……」
 全身を震わせて絶頂をし、ペニスから精液を吐き出すと、末次のアナルの中にも倉沢が精液を吐き出した。
 背後から倉沢に抱きしめられて、求められるまま末次は倉沢とキスをした。
「うんっ、うあぁっ、あひっ、もっと、ガンガン突いて、おま○こにっ種付けして、もっとおちんぽ精液出してっ……あーっ、ああーっ……」
 こんなものでは足りないと、末次が腰を振りながら誘う。それに煽られて倉沢のペニスがまた勃起をしている。
「そんなに私の精液がほしいのか? いいよ、全部奥に注いで、受精させるから」
「あ゛あああっ! うれしいっあ゛ひっお゛っあっあんっあんっあああっ」
 合意を得たところで、倉沢は末次を乱暴に犯した。それは今までのセックスで末次がいいと言った強引さであり、乱暴とはいえセックスの行為だけだ。
「あぁんっきもちいいっ……あっあっんああっ硬くて大きくて……あっあっこのおちんぽ好きぃっ」
「いくらでもくれてやるよ……末次……」
 今はまだセックスをするだけの恋人関係ではあるが、今日の出来事で少しは倉沢の気持ちも変化した。
 末次もまた自分は成長したなと思えるほど、倉沢に対して寛容になれていた。それは好意を抱いているのだと思えた。 
 その気持ちをどう表すのか分からないが、きっと世間一般では恋と言うのだろう。
 二人の恋はようやく始まりの場所に辿り着いたのだった。

© 2019 2407 All rights reserved. ☘