はじまりの合図


 その夜は、合コンに出かけた帰りだった。
 不発に終わった合コンで、双方不満という結果になったのは、女性たちがキャリアウーマンだったからだ。自分より立場の下の男とは話が合わないと言われ、喧嘩別れしたところだった。
「くっそ、いけ好かないとは思ってたけど、最悪だな」
「マジ最悪、こんなことなら、早く家に帰っておけばよかった」
「本当、そうすりゃ野球を見ながら美味しい酒が飲めたのにな」
 そう言いながら、高橋と岸田は電車を降りた。帰り道は途中まで一緒で近くの公園で別れる。
「じゃ俺、こっちだから」
「ああ、気をつけてな」
 岸田は公園を抜けた先にあるマンションの住人だ。一方、高橋はそのまま公園に入らずに道沿いに十分ほど進んだところにあるマンションに住んでいる。
 公園の側は街灯があるにしても暗く、不気味な雰囲気が漂っているので、高橋は急いで道を歩いた。個人的にあまりこの道を一人で歩くのは好きではなかった。
 高橋が岸田と別れ、自宅マンションに近くまで戻っていた。すると高橋の携帯が鳴った。
 懐から携帯を出してみると、着信はさっき別れたばかりの岸田からだった。
 一体どうしたというのかと慌てて電話に出た。
「どうした? 忘れ物か?」
 そう出るとすぐに返事が返ってきた。
「お前の忘れ物、取りに来て、公園の中央で待ってる」
 そう言うと電話は切れた。
「あ、ちょっと……何を忘れたのか言えよ。今必要かそうでないかで違うのに」
 忘れ物と言われてバッグの中を確認してみるが、財布や大事なものは全て持っている。そもそも一旦家から出た時に、財布など軽いものしか入れてこなかったのだ。
 忘れるような物はないし、何を忘れたのか本当に心当たりがなかった。
 とにかく公園まで戻り、公園の中に入った。
 薄気味が悪い街灯が照らしている明かりの中を選んで中に進み、反対側の方まで歩いて行く。
「たく、何処にいるんだよ」
 パッと見ただけでも岸田が戻ってきている様子はない。これは公園を抜けたところで待っているということだったのだろうかと、高橋は考えて少し足早に歩いた。
 相変わらず人通りはなかった。通勤時間はとっくに過ぎていたし、飲んだ人間が戻ってくるであろう最終電車はまだ先の時間という中途半端な時間だ。人通りが本当に消えるまでの一瞬の時間かもしれないが、公園には人が歩いている姿すら見ない。
 大きな公園なので歩いて二分ほどでやっと公園の中央に辿り着いた。
 もし岸田が気を利かせてくれたなら半分あたりで出会えるかもしれない。高橋は公園の池の側で岸田が待っている可能性を期待したが、岸田がいる気配はしなかった。
「……何か腹立つ」
 高橋はそう呟いて、すぐに携帯電話を取り出した。
 岸田に何処にいるのか聞こうとしたのだが、その着信音がどういうわけか公園の中に茂みから聞こえるのだ。
「……え?」
 怖くなり高橋は一旦携帯を切った。すると公園内に響いていた着信音がピタリと止まる。
「え?……何で?」
 高橋はまさかと思い、再度岸田にかけた。するとまた茂みの中から着信音が聞こえてくる。その着信音は古いが有名ゲームの中で使われている電話の着信音で、岸田が気に入って十年以上使っているものである。だからこんな偶然がそうそうあるわけがない。
 高橋は慌てて茂みの中を探った。茂みの中には道があり、どうやらちょっとした迷路的なものになっているらしい。人一人が通れるくらいの道で、その道を音を頼りにして歩くと、ちょうど清掃用の用具入れがある場所に着いた。
 携帯はその入り口に放置されていて、そこで煌々とライトを点滅させて光っている。
 更に近づいて見ると、その携帯はやはり岸田のものだった。着信を知らせる画面には高橋からの着信であることを知らせるメッセージが点灯していたからだ。
「……何で……」
 その携帯を拾うと高橋は着信を切った。
 岸田は近くにいない。しかしその清掃用の施設には明かりが点いていた。
「誰かいますか?」
 不安になって人に助けを求めたのだが、その次の瞬間には高橋はあり得ない痛みに襲われて床に倒れ込んだ。
「……!」
 痛みは首筋にあったのだが、身体の力が一気に抜けた。それに驚く暇も無く、倒れた拍子に打ち付けた体中が痛かった。
 何がと頭で考えるより先に、誰かが高橋の視線の先に入った。
 それが細身な男であることは分かったのだが、自分に攻撃をした男だと理解するのにはまだ時間がかかった。そもそもどうしてこんなことになっているのか理解できなかったし、問題の岸田もどうしたんだと一気に頭の中に沢山の情報が舞っている。
 いきなり現れた男はすぐさま何かを腰から取り出すと、それを使って高橋の腕を縛り上げた。
 高橋の腕はあっという間にロープで結ばれ、気付いたら木に固定されるように結ばれている。腕を上げた状態で固定されると逃げようとしても逃げられるわけもない。
 やっとさっきの衝撃から身体が動くようになったのだが、暴れても固定された腕は解放されなかったし、どんどん手首が逆に縛り付けられる。
 ロープのようなもので縛られたのだと気付いた時には、高橋は完全に大きな木に腕を上げた状態で吊されるように拘束された状態にされていた。
「なにっすっあっ……やめっ」
 とにかく大きな声を出せば誰かが助けてくれるかもしれない。そう高橋が期待をしたのだが、男は高橋の服をナイフで器用に引き裂きながら言った。
「大きな声を出してもいいけど、裸で男に犯されているところを見られるだけだよ? その同僚だっけ? あんたが好きな男に」
 ハッとして見ると、さっき公園前で別れたはずの岸田がそこに倒れている。
「……きし……何で?」
 屈強な男で、大学まで空手をしていた岸田が、こんな男にやれられるとは思えなかったが、男は笑って言う。
「優しいというのも時には問題でね。ちょっと捜し物をしていると声をかけたら、一緒に探してくれたから殴ってこの通り。どんなに強くても不意打ちには弱いもんだよ」
「ひ、卑怯な……ああっ」
 叫ぼうとすると男が乱暴に高橋のペニスを扱いた。
「やめっ……いたい……やめろっ……ああっ」
 痛い乱暴な手つきなのに、痛みを感じながらも高橋は奇妙な感覚に捕らわれた。
「見て貰おうか? 岸田ってヤツに。アナルこじ開けられて、知らない男のペニスを銜え込んであんあん喘いでいる淫乱なあんたのことを?」
 そう言われて一気にズボンや下着まで剥ぎ取られた。
 ワイシャツはナイフで引き裂かれ、下着も切り取られる。
 助けを誰かに求めようにも、今日に限って人通りがない。さっき自分でも気味が悪いと思っているように、公園を使う人はあまりいないのだろう。
 この公園はホームレスや危ない人間がたまにたむろしていることがあり、いちゃもんをつけられて強盗まがいなことも起こっているような場所だ。
 やっと最近は管理会社も様々な手を使ってその辺の人間は排除されてはきたが、まだまだ怪しいヤツは多い。
 そこで高橋は気付いた。さっき電話をかけてきたのは、岸田じゃなく、この男だったのではないかということだ。電話の声でしかも酔っているような態度だった。かかってきた名前がそのまま岸田と表示されたのでそう返したが、本当は違ったのだろう。
「さっきの電話、あんたかよっ……!」
「あたり、そっちの男には興味が無いんでね」
 男はそう言うと、高橋のアナルに細い浣腸のような物を突っ込むと、その浣腸の中身を一気に中へと入れた。
「ひいっな、なにいれたっやめっ」
 必死に暴れるも、結わえられた縄が解けることはなく、手首がどんどんしまっていくだけだ。倒れそうな躰をやっと木の幹に縋り付くことで押さえられるも、それは腰を男に突き出した状態でいることになった。
「良いケツしてるとずっと思ったよ。ずっと見てたんだ……あんたのこと」
 男が高橋の尻を何度も手で撫で回してくる。
「……え……」
 男は高橋の尻を広げ、アナルがしっかりと見えるようにすると言った。
「このアナルで、毎日ディルド使ってオナニーしているのも知ってる……大きいのが好きだったよな? 良かったな俺も大きいって自慢できるペニスを持っているんだ」
 男がそう言いながら、高橋の尻の割れ目に大きな男のペニスを挟み込んできた。
「あ……ああっそんな……」
 男の大きなペニスが尻に挟まっている。高橋はそれを感じてドキリと胸が鳴った。
 欲しかった大きな男のペニスがそこにある。今なら、レイプされたという理由でそれが挿入されるかもしれないのだ。
 しかし一瞬だけの期待で、心は更にパニックになった。
 これがいいわけない。ただでさえ、自分以外にも岸田がいる。
「やめ……やめろっ……いやだ……」
 高橋は嫌だと口に出した。
 こんなところで知らないやつにされるのはさすがに喜んではいられない。更に今は気絶しているが、目を覚ました岸田がこの光景を目の当たりにしてパニックを起こすかもしれない。
 かといって助けるためには男に満足して貰わないといけない状況だ。 
 全く抵抗できないことから、せめて殺されないようにしなければならない。男の機嫌一つで自分だけではなく、好きな岸田の命さえも危険にさらすことになる。
 いや、むしろ岸田だけは生き残って欲しいと高橋は思った。
 高橋は嫌だと少しの抵抗をしたのだが、それだけで逃れられるわけもない。それは男を更に興奮させる材料になり、男のペニスは完全に勃起していた。
「やめっ……んあっ……やだっ……」
 尻の割れ目で勃起した男のペニスが擦りつけられ、アナルには先に入れられたジェル状の液体がグジュグジュと音を立ててアナルから徐々に出てきている。
 吊り上げられた状態のまま、後ろから男に犯される。それが高橋の現実だ。
 男はだんだんと興奮して、荒く息を吐き、口から涎を出して最高潮になっている。その男の腰の動きは、ディルドやバイブでは絶対に味わうことはできない動きだ。
 その動きに段々と高橋も酔ってきていた。
「んふっ……ん……やっあっ……ん……ああっ……やだ……んん」
「嘘は駄目だ、ほら欲しがってアナルも待ちわびているじゃないか……」
 そう言うと、男は一気に高橋の中にペニスを突き入れた。
「――――――っ!!」
 それは自分の意志で入れるディルドとは違い、熱い熱を持つ別の生き物だった。ドクドクと脈を打ち、高橋の中で蠢いている。
「……はっあっ……あっ……ああっ……」
 明らかにディルドよりも長く、そして大きいペニスだったが、それは熱が違った。無機質な物と人であるものの違い。
 それが明確に分かるくらいに、高橋は感じていた。
 突き入れられた瞬間に高橋は軽く達してしまい、いつの間にか勃起していた高橋のペニスから精液がピュッと吐き出された。
「ああっ……んあっ……ふっあんっ……んふっあん……」
「はあ……中は凄く、気持ちがいい……やっと俺を受け入れてくれたな……嫌らしく蠢いて、俺のペニスを締め付けてくる……嫌らしいアナルだと思ってたけど、想像以上だ。この淫乱」
「ひっあっ……やめっああんっ!」
 ぐりっと奥まで突き入れられた状態で腰を押しつけられ、少しだけ更に奥までペニスが入ってくると高橋の抵抗は口だけの物となってしまった。
「やだっ……ああんっ……だめ、奥までだめ……んああんっはあっ」
 高橋はそう言いながらも自ら腰を押しつけて、男がまだ腰を動かしていないのに自ら腰を使い、ペニスの挿入を段々と深めていく。
「うごいちゃ、だめっやら……んあっはあんっああっ……んあっ……」
 抵抗する素振りは口だけで自ら腰を振り続ける高橋を男は面白そうに眺めている。
 そうなることは最初から分かっていたように、高橋が望むままにさせている。高橋はそれに気付いておらず、嫌だと口にしながら腰は振った。
「んふ……んあ……んふ」
 寂しそうな高橋の口に、男がキスをした。
 高橋は自分から口を開きそれを受け入れ、男の舌を自らの口の中に招いた。絡まり合う舌を激しく絡め、男が高橋の口の中を舌で陵辱してくると、高橋は喜んで腰を振った。
「んふっ……んうっんんっんっん゛っん゛っんっ」
 高橋は男の腰使いに夢中になった。
 気持ちがいい。ただそれだけで男に堕ちた。



 岸田が目を覚ますと、目の前が暗かった。
 視線を上げると、誰かがそこにいて、何かをしている。
 そう認識ができるようになって、岸田は自分に何が起きたのか思い出した。
 公園内で男に眼鏡を探して欲しいと言われて、草むらを探していたら急に首筋に痛みを感じた。そこから記憶が無い。
 あれは何だったのかと思ったが、視線を上げて伝わる音や見える範囲でぼやけた状況でも、そこでセックスが行われているのだと分かった。
 だがそれは異常な状況である。
 まず岸田は土の上にいることが分かった。あと草が匂い、ここがまだ公園内であることは理解できた。
 男が誰かを襲い、そこに岸田が通りかかったせいで岸田は男に警戒されて命を奪われかけたのかもしれない。
 ならば、岸田は起き上がることができない。
 気付かれたらアウト。
 幸い男はどういうわけか、襲った相手なのか分からないが、誰かとセックスに興じているのは分かる。相手はそこまで嫌がってはいない。
 だんだんと視界がクリアになっていくと、状況が判断できるようになってきた。
 まず腕を吊り上げられ、逃げることができない男が一人、後ろから男に犯されている。岸田を襲った男だということは分かる。その男が抵抗できない男を凶悪な腰使いで犯している。
 犯されている男は、ただ甘い吐息を吐き、嬌声を上げている。
 口では嫌だという言葉が一応でているのだが、腰使いや勃起したペニスから随時吐き出されている精液をみれば、彼が感じて達しているのが見て取れた。
 知らない男のペニスでアナルを犯されて感じて達している。そんないやらしく淫らな男が被害者なら、きっと心の傷は浅いのだろうなと思えた。
「んあっああっ……ひあっいやっ……だめっんんっああんっああぁぁっ!」
 薄らと目を開けて状況を見なければならないから、岸田は見続けていたが、セックスはなかなか終わらない。
「ひあっ……やっおま○こ……やらっ……んああっふかいっああっあ゛あ゛っ!」
 男は様々な体位で男を襲っていた。
「んふっ……あ゛あっ!! んあっんあっんああっあ゛あ゛っあぁっ!!」
 襲われている男の嬌声は周りに響いていたのだろうが、まさか襲われているとは誰も思わないだろうし、セックスに興じているカップルがいる程度にしか認識はできないだろう。近くで見て聞いている岸田がそう思うのだから、見えない人には嬌声で判断すれば、レイプだなんて想像もしないだろう。
「おま○こが気持ちよくて堪らないだろう! ほらっおち○ぽ欲しいっていいなっ!」
「ああっいいっ……おま○こいい……おち○ぽ奥まできてぅっひああっん! いいっああんっおち○ぽいいっあんあんあんああんっ!」
 男はとうとうレイプしている男に卑猥なことを言わせるのに成功した。これでは誰が聞いてもレイプには思えないだろう。
 明らかな合意で、これはその合図だったのだろう。
 男がそう言いながらペニスをスポンとアナルから抜いた。
「ひうっ……あっ……え……え?」
 いきなり絶頂から引きずり落とされた襲われていた男が驚いた顔でこっちを向いた。
 視線はちゃんと男に向かっていたが、その時月明かりがその襲われていた男の顔を照らした。
 親友の高橋だった。
 これまで赤の他人だと思っていたレイプされている男が高橋。それが信じられなくて、岸田はしっかりと確認したが、煌々と照らしてくる月明かりはその高橋の姿をしっかりと映し出してきた。
 服は切り裂かれ、ワイシャツを着ているだけの姿。しかも縛られているとくれば、岸田にもやっと事態が飲み込めた。
 高橋がレイプされているのは、岸田のせいだ。
 呼び出されたか、後を追ってきたのか、高橋が岸田が巻き込まれた事件に巻き込まれ、岸田を人質にされて男に犯されるしかないのだ。
 喜んでいるのは、せめてものこと。
 いや、知っていると岸田は思う。
 高橋はゲイであることは、大学時代から噂で知っていた。けれど、それを本人から言われたことはなかったので、確かなことだとは思っていなかった。
 カミングアウトをするような間柄ではないのかと悩んだこともあったが、その噂自体は消えたことから、事実はきっと違ったのだと思っていた。
 だが、この高橋の慣れた様子からそうではなかったのだと気付いた。
 高橋は、吊り上げられた腕を下ろして貰い、逃げられるような状況になった。
 男は高橋の前に立ち、仁王立ちして言った。
「さあ、欲しい時はどうするんだ?」
 そう男が言うと、高橋はすぐにその場に仰向けに寝転がり、膝を抱えるようにあげた。男にアナルを見えるように広げた。そこからは男が何度も出したのであろう精液がドロドロを溢れ出て、様々な液体に混ざって音を立てて溢れ出た。
「んふ……ああっ……んああっ」
 高橋はそんな液体をひねり出すようにして出してしまうと、自ら尻を手で広げ、男に向かってアナルを開いて見せた。
「ここに……あなたの凶悪で大きなおち○ぽを挿れてください……ああ……おち○ぽで犯して、いっぱい精液を奥にちょうだい……んあっん」
 高橋は恥ずかしげもなくそう言い切った。
 想像を絶するほどのイヤらしい言葉であるが、それに岸田は興奮した。
 高橋が岸田のためにレイプされるに至っているのに、岸田はそんな状態でも興奮して腰を振って男を求める高橋が最高に淫らに見えて綺麗に思えたのだ。
 知らない男のペニスで絶頂や快楽を与えられて、戸惑いながらも達して満足した顔をしている高橋が、今の岸田を最高に興奮させているのだ。
 普段、高橋は噂がでていることとは正反対なほどにストイックな部分が多かったから、そのギャップに岸田は参っているのだ。
 完全に岸田は勃起していた。前の二人はこっちに気付いてなかったし、他に誰も見ていないことが分かっているから、地面に擦りつけてオナニーをしていた。
 高橋は男のペニスを待ちわび、アナルを広げている。男はそれに興奮したように、何度も射精をしているはずなのに、まだ勃起している絶倫のペニスを扱き上げた。
「ひあぁぁああ――――――!!」
 男に腰を打ち付けられ、高橋のアナルには男のペニスが深々と刺さっている。それが内壁を押し開いて入り込み、熱い塊が暴れ狂う様が岸田にはよく見えた。
「や……あっ……いいっんあっああっ!」
 高橋は嬉しいと叫ぶ。火が付いた躰が暴れている。男の大きなペニスが出入りするたびに高橋の内壁が喜んで男のペニスを締め付けている。
 もうレイプではない。
 高橋は自ら腰を振り、知らない男のペニスを受け入れやすいように足を広げて持ち、嬌声を出しながら、男の荒々しい腰使いに夢中になっている。
 こういうのを待っていたと言わんばかりだ。乱暴に好き勝手にされるのがよほど良いのか、高橋はよがり狂っている。
 絶倫な男に野外で襲われて、自ら腰を振るのは、岸田のためだという理由はそこに存在はしていなかった。
 それでも岸田はそんな自由な高橋が綺麗だと思った。
「んあっ……あん……ああっああっいいっおち○ぽいい……っああんっおま○こきもちいい……ああんっあ゛あ゛っんっんん!」
 淫らに狂っている高橋のこんな姿を最初こそ何度も想像したのだ。だからなのか。最初から自分はこんな風になっている高橋が理想だったのかもしれないと岸田は思った。
 ずっと岸田は自分の知らない男と高橋のセックスを想像し、抜いたことだってあったのだ。今でこそ親友の立場であるが、最初こそ近づいたのは下心ありだったのを思い出した。 それでも高橋はいい人だったから、そのまま関係は崩れることなく親友のまま社会人になれた。けれどそれでも高橋がこうだったらという気持ちがまだ心の底にあったのだ。
「ああっだめっ壊れるっ……おま○ここわれちゃう……ああんっおち○ぽすごいっああんっああっんあぁ!」
 男に押しつぶされるようにアナルを犯されているのが見えて、岸田の興奮も最高潮になった。
 ああ、高橋がレイプで感じて嬌声を上げている。何て素晴らしい。
 心の底から本当にそう思ったのだ。
 そうしていると、周りの草むらに二人のセックスを覗きにきた人間が何人かいた。その人たちは全員が男性で、二人のセックスの激しさに覗きながらもペニスを出しそれを扱いている。
「んああっはっあんっ……ああっいいっおち○ぽっいいっきもちいいっああんっあああっあはんっああっ……んあっあ゛あ゛っ!」
「もっとたくさんのおち○ぽが欲しいか? 周りに沢山、お前のこの淫乱の姿を見て集まってきた奴らがいるぞ……咥えるおち○ぽも欲しいだろう? どうせ誰のおち○ぽでもいいんだから、な?」
 男がそう言い出すと、それを聞いていた男たちが草むらからどんどん現れた。
 岸田に見えていたのは二人くらいだったのだが、出てきたのは五人ほどだ。
「……あ……おち○ぽ……いっぱい……」
 高橋の頭の中は既にそれしかないほど、壊れていた。
 本当の高橋はこういう人ではないのかもしれないが、明らかに男のレイプによって高橋は狂ってしまった。
 まるで本物のペニスの味を知ってしまったがために狂ったかのようだった。
 高橋は男たちのペニスを次々に口に咥え、扱き、射精をさされば精液を飲み込んだ。男たちは次々に高橋の口を犯しにかかった。
「んふっ……んんっ……んふふっは……んふ」
「ああ、可愛い子だね……ああいいよ……」
「ぶっかけてもいいかい?」
「ああ、好きにすればいい。それでも喜ぶやつだから」
 男がそう言うと、高橋の手で扱いて貰っていた男がまず高橋の顔に射精をした。
「ああんっ……んふっん」
 精液を浴びて高橋が身体を震わせると男たちは次々に高橋に群がった。
 さすがにレイプの仲間にはなりたくないのか、暗黙の了解なのか。高橋のアナルに突っ込みたいという度胸のある人間はいなかった。
 それでもされるがままになっている高橋の体中に精液をぶっかけ、満足した人間から去って行った。
「あん……んふっあんっいいっ……精液……おしいっんふっああん」
 それは五人去れば更に五人が追加され、十五人ほどのペニスを口で堪能した高橋は男たちの精液でドロドロになっていた。レイプしている男は時々休みながらも高橋の中から抜かずに何度も絶頂を味わっていた。
「あんっああっん……おち○ぽ……きもちいいっああんっ……美味しいの……もっともっとちょうだい……ああん……んふんっんんっんふっ」
 高橋は次々に男たちのペニスを咥え、精液を身体にかけさせた。
 その声はかなりの人数に聞こえていたのだろう。二十人を超えた辺りでやっと男たちが途絶えた。終電は終わっていて、十二時を回っていた。
 時間にして一時間くらいだったろうか。男がやっとペニスを抜くと、中から男の精液がドロリと高橋のアナルから溢れ出て、その感覚で高橋はまた達していた。
 精液まみれの高橋の姿を見て男は少しだけ顔を顰めた後、道具室からホースを持ってきて水道の水を高橋にかけて精液を落とした。
 夏も近くてもさすがに水道水は寒い。
 高橋はそれに震えながらも、このままでは帰れないと急に冷静になったのか、自分で起き上がって身体を洗っていた。口の中も何度もうがいをして洗い、高橋のアナルには男がホースを入れ、何度も高橋は踏ん張って水と精液を吐き出していた。
 男はすべてのことをやり終えた後で、もう一度名残惜しそうに高橋を犯した。
 今度は高橋を腰の上に座らせて自分で男のペニスを入れさせた。
「好きに動けばいい」
「ああ……うっんっあああっおち○ぽ……おま○この奥まで届いてる……ああっんっいいんっあああっんっきもちいいっすきっおち○ぽすきっ」
 周りにパンパンと規則正しい肌がぶつかり合って鳴る音が響き、静かな公園に高橋の嬌声が響く。普段いる覗きの連中はさっき全員満足したのか、誰もその時はこなかった。
 岸田はそれを真剣に眺めた。
 月夜の下でずぶ濡れでありながらも、淫らに腰を蠢かせ、ペニスをアナルで銜え込んで乱れる高橋は本当に美しかったのだ。
 高橋はその腰の動きで男を自らレイプしているかのように攻め立てた。
 やがて男が達し、精液を高橋の中に吐き出した。
 そして言ったのだ。
「岸田くん、もう気付いているよ。君が沢山の男を銜え込んで腰を振ってたこと。大学時代の噂は本当だったんだって」
 男はそう言った。
 岸田は自分の中の心まで男に読まれていて驚いた。それは誰にも言ったことはない本心で、高橋には知られてはならないものだった。
 その男の言葉に高橋はやっと我に返ったように岸田の方を振り返った。
 その顔はさっきまでの恍惚とした顔ではなく、恐怖に引きつった顔だ。
「や、やだ……見るな……岸田……あっんあああっ!」
 高橋は今日初めて男の事を完全に拒絶した。すると男は高橋の腰を掴み、ねじ伏せるようにして岸田の顔の真ん前に俯せにした。
「ほーら、岸田くんに絶頂してる顔、見せてあげて。さっきから遠くでちゃんと見られてないと思うから」
「ああっ……やだっああああっああんっ……ああっんっああっおち○ぽやだっああっ!」
「何言ってんの、さっきまで悦んでいたでしょ? 岸田くんも聞いていたよ。おち○ぽいいって好きっていっているのをね」
「ああっ……やだ……おち○ぽ……抜いてってああっやだっだめっいくっいっちゃっう……やだっ岸田……だめっああっんいくっいっちゃああ――――――!!」
 高橋が男に追い上げられて身体を震わせて達した。それは今日一番の絶頂と快楽で、高橋はドライオーガズムで達していた。
 ビクンビクンと体中を震わせ、押し寄せて引かない快楽の絶頂に高橋は更に達している。
「すっげ……連続で何度もイッてる。大好きな岸田くんに見られて、それだけで絶頂できるほどだったんだ……ふう」
 男はその快楽を楽しんでから高橋の中から出ていった。
 そして高橋はそのまま身体が崩れ、岸田の側に倒れた。
 男はすぐに岸田を拘束していた縄を解いてやり、岸田が高橋に気を取られている間にその場から綺麗に消えた。
「高橋……」
 岸田は高橋を抱き起こすと、高橋の身体をさすって言った。
「お前の本当はどっちなんだ? その答えによって俺の行動も変わってくる」
 そう岸田が言うと、高橋は岸田がどんな気持ちでそう言い出したのか察した。
 ゆっくりと縋るように岸田の腕の中に高橋は飛び込んでから言った。
「お前の家ならいいよな? 楽器用の防音があるマンションだったよね?」
 高橋がそう言うと、岸田は少しだけホッとしたように言った。
「そうだ。来るか? もちろん、来たら引き返せない」
 岸田の顔を高橋が見ると、その目が狂気に染まっていた。
 あの一連のレイプとは言えない状況が、高橋どころか岸田の常識さえも壊してしまった。友情を壊してでも、岸田は高橋を抱きたいと思ってしまった。
 それが出会った時から続いていた岸田の本心であることは、さっきの男の台詞に驚いていた岸田を見ていれば分かることだった。
 それでも岸田は選択肢を二つ用意してくれた。
 友情かセックスか。
 岸田はきっと気付いてない。高橋は岸田との友情よりセックスをずっと取りたかったなんて。
 岸田はこうなってしまったから、セックスをしたい気分になっているだけで、後できっと悔やむだろう。それでもその後悔をさせないだけのテクニックを高橋は持っていた。
 それならそれを使って岸田を違う意味で手に入ればいいことだ。
 そこで高橋は言った。
「いや、ここで俺を犯して……ここで」
 落ち着いたら後悔させてしまうかもしれない。それなら、こんなレイプがあった後にセックスを望んだ罪を背負わせればいい。そう高橋は考えた。
 さっきまで男を銜え込んでいたアナルを自ら開いて、そこから精液を垂れ流しながら、高橋は岸田を罪に誘った。
 それが、はじまりの合図だった。