ちゃんとしあわせ

 この季節がやってきた。
 ざわりと風が吹くと木々が揺らめき、その木から少し黄色いものがもやのように沸き上がる。それは木々の花粉。二月下旬から四月頃まで毎日のように風がそれらをあらゆる場所に運んでくる。
 それはある種の人間の免疫力を刺激し、過剰反応を起こしてくしゃみ鼻水、目のかゆみを引き起こす。それらは一度発症すると、対策によっては症状は弱まることはあるが、基本的に治るということはないらしい。
 現代において、この時期は杉の花粉による花粉症が社会現象になっている。
 橋野は二十歳まで、そんな症状は一切なかった。
 花粉症の知り合いは毎日病院で貰ったクスリや目薬を使い、症状を和らげるために症状に効くという食べ物を食して症状が悪化しないように務めているほどで、酷い人は花粉が肌に付くだけで肌が炎症を起こし、花粉症による皮膚炎が悪化すると、アトピーまで発症するそうだ。
 聞くだけで恐ろしいものであるが、大半の人間はそもそも発症しないで一生を終える。
 橋野もそうだと思って、自分に関わりが無いと信じていた。
 しかし大学に入って環境が変わったせいか、その花粉症が発症してしまった。
 風邪だと思い病院に行って検査をしたら、杉花粉症を発症しているだけだと言われた。クスリと目薬によって症状が緩和し事なきを得たが、それでも寝起きに鼻水が詰まり、起きた時はかなりの地獄で色んな方法で対処をした。
 マスクは常備、寧ろ汚れた時のために十パック入りを常に鞄に入れておく。鼻水が出た時用に箱ティッシュも常備。大学の私物入れには安売りで買ったティッシュ箱を常備するほどだった。
 何とか病院で貰ったクスリで対処をしていたが、ある日それがちゃんと効いている日に限って、橋野の身体に異変が起こってしまうようになった。
 一種の副作用的なもので、気分がものすごく淫らな気分になるのだ。
 それが二、三回続いたところで、副作用ではないかと気付いて、すぐに市販の薬に変えた。するとその副作用はでなくなったが、クスリの効きは落ちて花粉症の症状で苦しんだ。
 だから仕方なく病院で貰ったクスリを飲むのだが、そしたら身体が常に発情した状態になってしまって、橋野は誰にも会うことができなくなった。
 幸いと言っていいのか分からないが、クスリを飲んでいる期間は春休みに突入した時期で、二月下旬から四月上旬までほぼ誰にも会わなくていいというラッキーな長期休みだ。
 友人の誘いを花粉症が酷くて外に出たくないと言うと、大抵理解して貰える。
 昨今は花粉症も広く認知されている。発症する人が多くなっているからだ。テレビの特番などでは花粉症に効く料理やらデザートなど、本当か?というようなものが紹介されている。
 それを見ながらも橋野は自分の身体の淫らな気分のせいで、オナニーをして抜くということを繰り返していた。
 三回ほど勃起を繰り返し、オナニーで抜くと何とか淫らな気分が消える。
 その後は普通に花粉のクスリとして効いて、日常は楽になるが、外の世界が黄色に見えるので怖くて外に出られない。
 そんな橋野を可哀想だと思ったのか、後輩の角松がわざわざ毎日橋野のマンションに寄ってくれた。
 というのも、橋野のマンションの目の前に建っているかなり高級なマンションにその角松が住んでいるのだ。
 親が買ったマンションだったが、転勤でハワイに行ってしまってあちらで永住するので空いたマンションを角松が貰って自分の所有にしたのだとか。更に角松の家はお金持ちであるから、生活に困っていることもなかった。
 そんな角松が橋野なんかに懐いている理由は、ただ後輩というだけだ。
 一度、大学のサークル勧誘で困るほどの勧誘を受けていた角松を助けたことがある。あまりに酷かったので実情を大学の相談部にあげて問題化するぞと脅して、角松を助けたのだ。それでピタリと勧誘が止まったとかで、角松は橋野を先輩と呼び懐いてくるようになった。
 食堂にくればすぐに見つけて隣に座って様々な話を持ちかけてくる。その話題は豊富で、大学中の噂のことから社会情勢まで何でもござれだった。ごった煮で話す形になってしまうが興味があることを口にすると角松は何でも話を合わせてくれるので、橋野は凄く心地がよかったので角松といるのは好きだった。
 そんな橋野が花粉症になったのを知った角松は毎日橋野の食事を買ってきたり、必要な日用品まで代わりに買いに行ってくれるようになってしまった。
 橋野は自分で買いに行けると言ったのだが、一度そのクスリの副作用で欲情してしまい、あまりのことで倒れ込んでいたところを角松に助けられてからは、この辺の信用が一切なくなった。
「いいですか! 一人で外に出ないでください! 出かけたい時は俺を呼んで!」
 倒れ込んだ理由が理由なので、訳は言えなかったせいで、相当酷い症状なのだと勘違いされてしまったのだ。
 それが一年前で、今年も花粉症の季節になり、橋野はクスリの副作用で欲情してしまっていた。
 それは去年より酷かった。クスリの効果がある限り欲情してしまい、身体を触れるたびにどうしようもないほど気持ちがいいのだ。身体を擦りあげるだけで絶頂できるほどになってしまい、橋野は常に欲情している状態になった。
 橋野は角松が訪ねてくると、玄関を通してからすぐに布団に潜り込み、絶対に身体に触れさせなくなった。
 角松はそれを不審に思っているようだが、橋野はそれを無視しした。
 食べ物を貰ってお金を払い、日用品も買ってきて貰っても同じだ。
「あの、先輩何か、困っていることないですか?」
 角松がそう聞いてくるが、それに橋野は苛ついて答える。
「ない。もう寝るから帰ってくれるか?」
「……はい」
 酷い対処になってしまうが、まさか欲情しているとは言えず、バレたくないという思いが強くてまた素っ気ない態度になってしまった。
 常にマスクをして、花粉症のための眼鏡をして、普段とは明らかに違う態度の先輩を不審に思うようになるのは仕方の無いことだった。
 やがて、その態度に嫌気が差したのか、理不尽だと思ったのか、角松が二日ほど来なかった。
 それで食べ物がなくなってしまったので橋野は仕方なく重装備をして外に出た。
 世界が黄色い、いつから黄色いのだと不満をブツブツ言いながら、歩いているだけでも身体が欲情していて服が擦れるだけで堪らないほど感じている。
 それを必死に我慢して、買い物を素早く済ませて店を出て家に向かった。
 吹き抜ける風が花粉を運んできて、不快で仕方が無い。体中が痒くなる気分に陥って、ゾクゾクとした感覚が巡ってきてしまい、橋野は早足で自宅マンションに戻った。
 すると自宅の玄関先に角松が立っている。
「先輩、外にでて大丈夫なんですか?」
「大丈夫だから、退いて」
 鍵を開けて中に入ると、角松も入ってきた。
「すみません、俺が二日も無断で来なかったから……」
「……別に用事があるならそれでいい。というか、風邪か何かだと思ったからな。これからも無理してくることはない。俺は自分で何とかできる」
 最後に小さく多分と言ってしまったが、橋野の冷たい言葉に角松は傷ついたようだった。
「本当は、あんまり先輩が冷たいから迷惑だと思って……来なかったんです。俺がいなきゃ外にも出られないだろうから困るだろうって。でも先輩、自分で出ちゃったし、意味なかったですね」
 意外な理由に橋野は驚いたが、そこまで角松を追い詰めていることになっているとは思ってもみなかった。
 なので、ふっと息を吐いてから言った。
「しんどいから人に構ってやれるほどの余裕はない。甘えたいなら他の人にしてくれ。優しくしてやる余裕なんて一ミリもないんだ俺には」
 体中がゾクゾクしてどうしようもなく、早くオナニーをして抜かないと身体が暴れ出しそうだった。
 だから角松には早く帰って欲しかったし、相手をしてやれるほどの余裕も一切無かった。
 突き放すような言い方であるが、元々角松がここまで橋野の世話をすることはないのだ。だから呆れて去ってくれればいいとさえ、橋野は思った。
「そんな、先輩……」
 角松は橋野に突き放されてショックを受けた。
 自分で仕掛けてみたら、橋野はその手すらもう必要ないと言い出してしまった。
 角松は橋野が泣きついてくると想像して意地悪として二日来なかったのだが、それが橋野の心を変えてしまい、もう角松には甘えないとはっきりこれからの援助を拒否された。
「お前には感謝してる。今までありがとう。悪いけどもう来なくていい。そもそもお前に頼る方がどうかしてたんだ。自分のことは自分でするから、お前はもうここには来るな」
 そう言うと橋野は玄関を開けて角松を追い返しにかかった。
「やだ、先輩、ごめんなさい! 意地悪してごめんなさい! 文句も言わないから、お願い、ここに来るなって言わないで!」
 そう角松が取り乱した。焦って縋り付くようにして橋野の肩を掴んで揺すってきたが、それが橋野の身体に触れたせいで、橋野はあり得ないほどの快楽が襲ってきてしまい、橋野は声にならない悲鳴を上げて倒れ込んだ。
「ぃ――――――っ!」
 肩を掴んだせいで、橋野が急に倒れ込み、それを角松が何とか支えた。
「先輩……!? どうしたんですか!?」
「……あ……あ……ああ」
 橋野はまだ触れられている部分が熱くて、そのまま絶頂をした。
「ぁっ、あっあっ、んっ、あんっ」
 橋野が甘い声を上げて絶頂して倒れ込むと、角松はそれが普通ではないことだとすぐに察した。
 玄関のドアを閉めて橋野を抱えて部屋に戻ったが、橋野がすぐに言った。
「ごめん、ちょっと風呂に」
「え、風呂ですか……?」
「悪い……ちゃんと説明するから」
「わ、分かりました……」
 何とか風呂場の前で下ろして貰い、橋野だけ風呂に入った。
 角松は訳が分からないままだったが、橋野の股間が濡れていたことを見ていたので、どうみてもあれは橋野が漏らしたか、射精をしたかのどちらかだと思った。
 でも橋野は落ち着いていたし、絶頂をしたにしては冷静に対処していた。
 これが初めてではないというか、ここ最近の橋野のおかしい部分は全てそこにあるのではないかと角松も思った。
 橋野は五分ほど風呂に入ってから出てきた。
 少し頬を赤くしているが、普段はこの時期はずっとマスクだったので、橋野の顔が見られるのは久々でそれが角松には嬉しいことだった。
 橋野は飲み物を持ってやってきて、角松とは反対側にあるベッドに座った。
「……そうだな……何から話そうか」
 橋野がいい、近くの棚から花粉症の薬を出してきた。
「これは、クスリですよね?」
「ああ、これは花粉症の薬。病院で貰ってるやつな」
 橋野はそう言ってから、説明を始めた。
「去年からなんだが、花粉症になってこの薬を飲み始めた。効き目はよくてこれを飲んだらよほど花粉を浴びない限りは一日楽に暮らせる。いいクスリだと思った」
 そう橋野が言った。
「それがどういうわけか、これを飲むと、その、身体が熱くなって異様に、性的な欲情をするようになった……」
「え?」
 さすがに橋野の言葉に驚いて角松が驚いた顔で橋野を見る。
「副作用にはそんなものはないんだが、どういうわけか俺だけそうなる。他の市販の薬も試したけど、そうした効き目はない。けれど、花粉症の薬としても効き目がない。だから去年はあらゆるクスリを試したけど、結局このクスリじゃないと花粉症の症状を抑えられないことだけ分かった」
 橋野の話はまだ続きがあった。
「今年になって、同じ薬を貰ってきた。すると、その欲情の仕方が普通じゃないほど出始めて、クスリの効果が出ている間じゅう、どうしても身体が疼くんだ」
 そう言うと橋野は自分の身体をギュッと掴むのだが、その顔がまた快楽を感じているようになったのか、手を離してからふっと息を吐いた。
「……悪いな。男が欲情して、常に発情しているかのような態度で目の前にいたら、普通に気持ちが悪いだろ? だから、お前にはあんまり見せたくなくて、つい言い方がきつくなった。お前には感謝してるし、ありがたいといつも思ってた。でももういいよ、さすがに気持ちが悪いだろうし、いくら懐いてくれていてもそういうことじゃないからな」
 橋野は寂しそうな顔をして角松にいい、それでもどうしようもなく押さえられない性欲の波に苦痛の顔を浮かべている。
 それは角松にも分かった。
 橋野は角松のためにわざわざ話したくもないことを話して、離れやすいようにしてくれているのだ。
 どこまで優しい橋野は、絶対に角松が罪悪感を抱かないように、橋野は自分が全て悪いのだと言わんばかりの行動で離れることを許してくれたのだ。



「……そんなことないです……先輩は気持ち悪くないです」
 角松はそう言うと、ずいっと橋野に近づいた。
「角松?」
「先輩は俺をいい人に見過ぎてます。何の下心もなくて先輩の世話を買って出ません」
「え?」
 角松はそこで本当の気持ちを告白した。
「俺は先輩が好きです。ずっと好きでした。今も好きです。先輩が欲情してどうしようもないなら、俺がどうにかしてあげたいです……!」
「……か、角松、落ち着け」
 あまりに真剣に言うので、橋野は予想外の反応に戸惑った。
 よもや告白されるとは思わなかったし、持てあましている身体をどうにかしたいと願い出られるとは思わなかった。
「先輩に触ったら、先輩は欲情しておかしくなってくれますか? さっきみたいに絶頂をしてくれますか?」
「は? ちょっと待て、さ、触るなよ……」
 さすがに身の危険を察知して橋野がベッドの端に逃げると、身を乗り出した角松が逃げられないように壁に手を突いてその中に橋野を閉じ込めた。
 逃げるには角松に触れないと逃げられない。
「……か、角松……あのな……」
「先輩はさっき風呂で抜いたんでしょ? 見たかったなあ、それ」
 ふっと耳に角松の息がかかり、橋野は自分の身体がそれに反応したのを感じた。
「……あっ……んっなに……いって……んっ」
 触れてはいないが、触れそうな距離に角松がいて、橋野はその気配だけでもう感じてしまっていた。
「あ……やっ何で身体が……あっんっふっんふっ」
 身体が熱くなってきて思わず身体を抱きしめてしまったがそれでも感じてしまった。
「あっんああっ……はあっんっ」
「先輩、かわいい……エロいし……」
「お前……もっ……んっ」
 橋野は悔しくて角松を睨んだが、角松はそれを見ても興奮していくだけだった。
「睨んでも駄目です、今の先輩はエロいだけで、どんどん俺も煽られて、もうとまりません」
「……ああんっなに……んっすりつけて……もっやぁっ」
 角松は自分のペニスが既に勃起しているのをわざと橋野の足に擦りつけて腰を振っている。
「やっああっ……やらっ……んふっああんっ」
「先輩可愛い……喘ぎ声がエロくて、もう腰が止まりません」
「ああんっ……やら……ああんっんふっああんっああっ」
 股間を擦りつけられるたびに擦られた場所が熱くなってそこから快楽を得てしまう。自分でやっているわけではないから、快楽が突然襲ってくる感覚に振り回される。
「はぁっ、ん、んっ、あん……ああんっ」
「先輩……先輩の足だ……ああ、気持ちがいい……
「んっ、やらぁ、んあっペニス、すりつけんなっあはぁ、んあんんんっ」
 快楽で完全に身動きが取れない橋野をいいことに、角松はペニスをズボンから取り出して生で橋野の手に握らせた。その手を握ってペニスを扱かせる。
「んああっ、やだこれ……ああんっ大きい……のっああんっあぁっ」
「はぁっ、先輩、手が熱い……んっ、先輩の手でっ、ん……ああっきもちがいい……」
「やらっ……もっあんっあんっあああっんっ」
 手で無理矢理角松のペニスを握らされているだけなのに、橋野はあり得ないほど感じた。ガチガチに勃起した角松のペニスを扱いていると、やがて角松が呻いた。
「で、でるっ先輩……顔に……」
「ああんっやらやらっんっ……ああああんっ」
 追い上げられて角松が達すると橋野の顔に射精をした。
 その精液を叩きつけられて、橋野は絶頂した。
 身体が飛んでいきそうなほど跳ね上がり、顔に射精されて垂れた角松の精液が何故か気持ちがよかった。
 絶頂をしたので射精をしてしまった橋野のズボンはもうシミができるほど濡れていて、お漏らしをしたかのようだ。
 そのズボンを角松が脱がし、橋野の下半身を裸にした。
「辛いでしょ……股間が。ああ、もう漏らしたみたいに精液が出てるね」
 射精をしたはずの橋野のペニスはまだ勃起していて、先走りが出ている。とても収まった状態ではなく、橋野が話した通り、橋野はクスリの副作用でおかしくなっている。
 その橋野を見て、角松の我慢していた思いが爆発した。
「ああん……やらっんさわらないで……ああんっあんっひああんっ」
「先輩の口でさせて……」
「あっ……んっんんふっんん――――――っ!」
 角松は橋野の頭を掴むと、喘いでいる口にペニスを突き入れた。
「んぶっ……ん゛っん゛っ……んんっ」
 ペニスを口の中に入れられて橋野は、それだでも感じてどうしてもない自分を持てあました。
「ああ、先輩の口、気持ちがいい……」
「ん゛んーっ……んっん゛ぶっ、んむっふっんんっ」
 ペニスを勃起させて男のペニスを咥えて、それでも感じている自分が浅ましい人間に見えたけれど、それでも快楽を追うようにしっかりと角松のペニスを咥えた。
「んんっ……! んふっ、んっむっ……ん゛ん゛ーっ!」
「はあ、たまんない。先輩がペニスを扱いてくれてる……ああ、口の中トロトロしててすごい……」
 そう言いながら角松は腰を振ってくるので、喉まで押し入れられて橋野は口を犯された。
「んんっ……ん゛ぶっ、んっんっん」
「先輩……ああ、先輩の口最高……」
「ん゛ん゛っ……んぶっ、んむっぐっんっん゛ん゛っ」
「で、でるよっ口に出してあげるっ」
「ん゛んーっ……んっんぶっ……んんっ!!」
 角松はペニスを橋野の喉の奥まで突っ込みながら射精をした。ドクドクと脈打つペニスが精液を吐き出し、それを橋野は飲み込んでいく。
 飲みたいわけじゃないけれど、喉に入ってしまったから飲むしかなかったのだ。
「あひっ……あ゛っあ゛っ……あへっ、う、あっ、はーっ……」
 橋野はぐったりしながらベッドに倒れたが、橋野のペニスはさっきのイラマチオで射精をしていた。
 口腔を犯されて感じて射精をしたのだが、それでやっと性欲が消えそうだと思っていると、角松が橋野にキスをしてきた。
「んん~っ……んっんっ、んむっ……」
 無理矢理口をこじ開けられて、角松の
舌が入ってくる。その角松の口から知っている味がした。
「んんっ……! んぶっ、んむっ、ん゛っん゛っ」
 それはあの花粉症の薬の味だ。
 慌てて袋を見ると、花粉症のクスリが袋から出ていて、粉薬が二袋空いたのが転がっている。
「んんっ……んむっ、んっんっん゛~っ!」
 角松は橋野が二回射精をしたことで、クスリの効果が落ちてきたのを悟って、まだ橋野を抱きたいのでクスリを足したのだ。
 しかも二回分、効果も二倍だ。
「はぁっ……あっん、なんてこと……、あっ、んっ……」
「先輩にクスリを使うのは駄目なんだろうけど、俺は先輩を抱きたいので使ってでもするよ……俺に夢中になるまでクスリを使って何度でも先輩を犯すことに決めたんだ……大丈夫、先輩が壊れても俺が面倒見るから……先輩、このペニスで狂ってね」
 キスから離れたとたん、角松にそう宣言をされた。
 角松の目は真剣そのもので狂気の目をしている。後輩の角松はそこには存在せず、男の欲望を持ってギラギラした目をした正真正銘の男が目の前にいた。
「あんっあ゛っ……ひあっあうっんっああっ」
 クスリがすぐに効いてて、橋野の身体が敏感になる。触れられている部分から熱くなり、それは火傷でもしているかのようにジリジリとしていた。
「あ゛あっ……ひっあっああぁんっ!」
 ガクガクと身体が痙攣して言うことを利かない。だから逃げようとしてもベッドの上で悶えているだけになり、逃げられない。
 それを見た角松は全裸になり、更に橋野の服のボタンを肩から外して手首にまとめ、下着をはぐった。
「先輩の乳首、可愛いね……」
「あんっあっ、ちくびっ、あっ、ぁん」
 指で捏ね回されて乳首が勃起すると、角松は橋野の乳首に口を寄せて、その乳首を吸った。
「あぁっ、あっあっ、んっ、ひいぃ、あんっ」
 逃げたいのに橋野は胸を角松に突き出すようにして、もっと舐めて欲しいと強請っているような格好になった。
「ああ、ああっちくびっきもちい、ふぁあん」
「先輩の乳首、美味しい……ああ、先輩の味だ……」
 チュウチュウと音を立てて角松は橋野の乳首を夢中で吸った。舌が巧みに乳首を舐ってきて、それが気持ちよくて橋野は嬌声を上げ続けた。
「ひぁっあっあ゛っらめっ……あぁんっあっまた、いっちゃう、らめっ、あっあんっ」
 乳首だけで絶頂をしそうになって、ペニスが爆発しそうなほどになっている。
「乳首でイク先輩を見せて……はあっん」
「あぁんっ! ひあっあ゛っいくっいくっあんあんあんっ!」
 橋野は乳首を角松に吸い上げられて絶頂をした。精液を射精してベッドを汚すのだが、それさえもうどうでもよかった。
 角松は橋野の乳首どころか足や足先まで舐めあげて何度も橋野を絶頂をさせた。
「あぁあん……はぁっ、ぁ、ん……ん……、ふぅ、んっ」
「先輩、どこもかしこも先輩は美味しいです……先輩……ああここもきっと美味しいに違いない……」
 そう言うと角松は橋野のアナルを広げた。「んんっ、ふぁっ、あん、ん……」
「先輩のおま○こだ……」
 角松はさっきまで体中を舐め回していた舌で、橋野のアナルを舌で嬲った。 
「あぁっ……あ゛っらめぇっ……あっあんっ」
「ジュルジュル……先輩のおま○こ……んっ美味しい……」
「あっぁあっ、んっひゃぁっ……あ゛っひっ、あぁっ、そんなっ、あんっ」
 ジュルジュルと音を立ててアナルを舌でこじ開けられて舌がアナルに挿入り込む。
「ひあっあっあ゛うっあひっおっあ゛っあぁっ」
 壮絶な快楽が押し寄せてきて、橋野は悶えた。嬌声は悲鳴のような状態であるが、それでも気持ちがいいことには変わりなかった。
「あひっおっお゛あっらめっおま○こっなんて……あっああぁんっ!」
「おま○こだよ、ここに俺のおち○ぽが入るんだから……」
「ひああぁっ……あ゛うっあひっあっあんっあんっあんっあんっ」
 指でもアナルを弄られ、それが突き入れられて挿入を繰り返される。アナルは角松の涎でドロドロになり、さらには腸内の液が溢れて内部はドロドロになっている。
「ああぁんっ! あひっあ゛っらめっ……あんっはっあっおま○こ……あっいいっ」
 指で奥を突かれていると、橋野はそれまでの快楽で一番心地が良いものを感じた。
 それは今橋野が欲しい快楽で、それで絶頂したらきっと天国にいけるんだと思えた。
「あ゛ひぃいっもっらめっおかしくなっちゃうっ……あひっあ゛っあ゛っあ゛ぁんっ!」
「おかしくなって、ほらここがいいでしょ? 沢山犯してあげるからね」
「あひっあ゛っあんっあっあっあっあんっあ゛あああ~~っ!」
 橋野が絶頂するも、まだまだ快楽はさってはくれてない。
 寧ろ、性欲が増している気がする。二倍も使われたせいだろうが、もう何が起こってもおかしくはない状態だった。
「ひああぁっ……んっあっあっあひっ……いっああぁっ……」
「あーエロい……奥までハメて突きまくって中にたくさん種付けするね」
「やっ、そんなこと、あひっ、んっあっああっ」
「指マンで後ろ慣らしたから、おち○ぽでおま○こぐりぐりするね、先輩……ああっ」
「おま○こ、ああっ~~っ、だめっ……ああぁっ」
 角松はもう橋野の言葉は嬌声しか聞こえていないような、完全に狂った状態で橋野のアナルにペニスを突き入れた。





「ひあっ……まっ……あ゛っあ゛ああぁ~~っ」
 脳天を突き抜けるほどの快楽が橋野を襲ってきて、橋野はもう抵抗はできなかった。
「先輩のエロま○こ、ぎゅうぎゅう絡みついてくる」
「あ゛っ、動かさないで……ひあっあ゛っあんっあああっ」
「ああ、腰が止まんない……先輩、おま○こでおち○ぽ擦らせてね……」
「ひああっあんっらめっ、あっあ゛っひぁっいいっ!!」
 ガンガンと乱暴に突き上げられて、橋野は二度も空イキをした。ガクガクと絶頂している身体を無理矢理こじ開けて、角松は腰を振っている。
「あ゛ひぃいっ……もっやっ、らめぇっ、あ゛うっんっあ゛っい゛いっ……もっあっああぁっ」
「先輩……ああ、先輩のおま○こ凄い……気持ちよすぎる……トロトロしてて、締め付けてきて……ああたまらないっ」
「あ゛あああっ! あ゛ひっお゛っあっあんっあんっあああっ」
 腰つきはどんどん激しくなり、角松は橋野の腰を掴んで身体を引き寄せて深くペニスで奥を突いてきた。
「ああぁっはげしすぎっ……い゛っあっいぐっ、いっちゃうっ、ひっあっあ゛ひっんっああーっ……」
 また空イキをしているが、角松はお構いなしに腰を振り続ける。
「あーすげえイイっ……先輩のおま○こ最高っ」
「あひっ、いっあっあんっあんっらめっ……あああっ」
 絶頂は何度もくる、けれどどれも空イキで射精をしないので、ペニスは勃起していて先走りだけが尿のように溢れてペニスから垂れている。
 その量も多く、まるで漏らしているかのようであるが、これでも射精をしているわけでもないのだ。
「先輩、おま○こ気持ちがいい? もうトロトロだから、相当気持ちが良いよね? ここ好きだよね、突くとおま○こがしまってきて最高にいいんだけど、好きだよねこれ」
「ああんっ……すきっ、もっとおま○こにおちんぽハメハメしてっ、あぁっ、いっぱいおちんぽでおま○こを突いてほしいっあっあぁんっ」
 とうとう橋野は陥落した。
 認めた方が素直に快楽を追えると思ったのか、理性の部分を吹き飛ばすほどの絶頂で狂ったのだ。
「ああぁっ……あんっああっ、また、おま○こでいっちゃっ……」
「はあっ……イッて先輩、沢山イッて……」
「んっあぁっあぅっ、おち○ぽでおま○こゴリゴリされるの気持ちいいっ……あっあひっあ゛んっあっああっんっ!」
 嬌声を上げながら絶頂すると、角松も中で射精をした。けれどその角松の勃起は収まらずまた挿入もやめない。
 ビシャビシャとアナルから出したばかりの角松の精液がペニスによって掻き出されてベッドに溢れている。
「ひっあっ、あんっいいっ、あぁっおま○こっ、おちんぽハメハメされてっあんっきもちいいっひああっんっ!」
「先輩、また出るっ……んっ!」
 また角松が達したのだが、やはり勃起は収まらず、挿入を止めることもせずに動き続ける。
 まるで角松もクスリの効果を受けているような狂った部分を見せて、射精を何度も橋野のアナルでしては、それを掻き出しながら挿入を繰り返した。
「あんっ!ぁあっ、あっ、あひぃっひあぁっあひっ、あ゛っ、おちんぽらめぇっ……おま○こ壊れるっあぁっあっ」
「大丈夫、そんな簡単には壊れないよ……おま○こ凄く良い感じだから」
「あんっ、あぁっ、はっいいっ、おちんぽいいよぉっあっひあああぁんっ!」
「おち○ぽ好きだよね、先輩……はあ、締め付けで何度でも射精ができる……」
「あ゛ああっいいっいい、おま○こきもちいいっ……あんっあんっあんっ、いくっあああっ!」
 角松はまた射精をしている。ビュービューッと溢れて出る精液の量がもうおかしい。
 それにやっと橋野は気付いた。角松はもしかして橋野と同じように花粉症の薬の副作用でおかしくなっているのではないだろうかと思った。
「あぁんっ……あぁっもっとしてぇっ、おちんぽハメハメいいよぉっ、ああっ」
 それでも快楽が止まらないから、橋野は自分で腰を振った。
 とにかく射精をしきってしまい、冷静にならないといけない。
「はああぁ……おち○ぽ、おっきぃおちんぽほしい、硬くて、おっきいエロおち○ぽ……おれのおま○こにハメハメしてっ……めちゃくちゃにおちんぽでおま○こを犯してっあっひっあ゛ああーっ」
 とにかく角松を射精させて絞りきらないと性欲は収まらないだろう。だから橋野は角松を煽って挿入による射精を何度もさせた。
「あ゛あああ……っい゛いっひっ、あっああっ……やっうごいてぇ……っおま○こっおちんぽでごりごりして……っあああっ」
 それでも橋野も快楽に引き摺られて、自ら腰を振った。
 精液はベッドにどんどん溢れ、もう布団は使い物にならないほど精液でべったりと濡れていた。
「あああぁっ! あああぁっ、あんっあんっ、い゛いっあぁっ、いいっ気持ちいっ……ぁあ、はぁんっいいよぉっあんっあんっあんっ」
「先輩、ああ、腰止まらない……射精も止まらない……ああっ」
 角松は突きながら射精をしては、更に勃起して挿入が止まらない。
「あ゛あああっ! いくっいくいっちゃうっ……あっあんっあひっあああーっ……ああぁっすごいぃっ……ぁんっあっあんあんあんあんあんっ」
「先輩、気持ちがいいっ……ああ先輩のおま○こ気持ちよすぎる……」
「あんっ! あっあんっあんっ、おち○ぽっいい、よすぎるっ……あぁんっすごいっ……あっあんっおま○こにハメて、ずぼずぼしてほしい、あぁんっ」
「うん、ずっと犯してあげるからね……このおま○こをこのおち○ぽで」
「あっあっあっ、いいっ、あんっひああぁんっ! あっあんっあんっらめぇっあっああっ……あっああっ……やっあっあっあんっんっああぁっあああっ! あひっあっあっあ゛っあ゛ああっ」
「先輩エロいから、いくらでも射精できるよ……おま○こから精液溢れすぎてるね……でももっと射精しないと先輩を孕ませられないよね……」
 そう言いながら角松は射精をしてくる。もちろんそれも溢れ出てしまい、また角松の挿入で掻き出されている。
「ひああっあっあっあんっあぁあんっ、もっだめっあぁんっ……あっあ゛ああっ……ひああぁっ! あっあんっあんっあんああんっあっらめっ……ひあっあっあっあっ」
 さすがに絶頂を繰り返し過ぎたので、橋野も限界がきていた。頭がもう完全に快楽に支配されていて、このままおかしくなるんじゃないかとさえ思った。
「あぁんっ、おれ、おちんぽで、おま○こぐりぐりされてっああっきもちいっあんっあんっいいっおま○こに、精液中出しして……あ゛あああっいくっああっ、いっちゃうっあぁああんっ!」
 二人で一緒に絶頂して精液を吐き出すと、やっと疲れたのか角松のペニスがアナルから抜けた。
「はあっあぁっ……あっ、うぁ、あん……」
「……はぁはぁ、すごい出した……」
 抜かずの十発とでも言おうか、それくらいは余裕で出していただろう。
 橋野のアナルからは精液がゴボゴボと溢れて出てきて、それは明らかに量がおかしかった。橋野も射精をしまくったので、布団はもう精液を吸ってしまっていて、ベッタリとしている。
 こうなってやっと角松のペニスが萎えたかと思ったが、また勃起してにゅっと反り返り始めた。興奮がまだ続いているようだったが、さすがに橋野もアナルは疲れたので、口で角松のペニスを咥えて扱いて射精をさせた。
「んんっ……、ん、ふ、ぅんんっ、ふぅ、ん、んっ……んっんっ」
「ああ、先輩、たまらない……口もいい……」
「んっ……はぁっ、ん、んんぅんん~っ……、んっ、ふっん、んんっ」
 しっかりとペニスを咥えて扱きながら、舌で絡めていくと喉で射精をされた。それが気持ちよくて橋野はまた口で角松のペニスを咥えて射精を促した。
「ん~っ……! んっんっ……ふっん、んんんーっ……! んっふぁっ、んっんんっ」
「先輩……あっ、でるっ」
「んんん――――――っ!」
 何とか射精をさせたのだが、口から出してみるとまだ勃起は収まってない。
「先輩……おま○こ使わせて、もう一回出したら収まると思う……」
 そう角松が言い出したので、橋野は頷き角松の言う通りにアナルを開いて角松のペニスを受け入れた。
「先輩、好きです大好きです……おま○こ最高ですっ!」
「あぁっ角松のおち○ぽいいっ……おま○こぐりぐりっいいっ……あっああっおま○こっやっ、おま○こぐりぐりっあはんっいいっ、あひっあんあんあんあんっ!」
「先輩っおま○こ気持ちがいいです……ああっいいっ」
「あぁあっ! あんっいくっあっあっいっちゃっ……ああぁーっ……!」
「先輩、もうちょっとだから、おま○こ使わせてね……ああっ最高っ出る出るっ」
「らめっ……イったばっかりなのにっ……あぁっあっんっあぁっあっひっあぁんっんっあっいいっ、あぁん……あぁっ あぁんっあっひっそこっ精液、中出しっあっああんっ」
 二人はやっと最後の射精をして、性欲が消えたのを感じた。


「たくっ、お前までクスリでおかしくなってどうすんだ」
 布団を片付け、捨てる準備をしてゴミ収集がちょうどある日だったので、汚れた布団はそのままゴミ収集に持って行って貰った。
 しかし、部屋の惨劇はまだ残っていて、カーペットも使い物にならず布団と一緒に捨てた。
 その汚れを角松が反省をしながら掃除をして、やっと橋野の部屋から精液の匂いが消えたのは午後九時を回っていた。
 朝の十時からセックスを始めて、夕方までがっつりと六時間ほどやっていたことになるのだが、不思議なことに疲れは一切無い。
 掃除が終わったところで、やっと食事をしたのだが、角松はあんまり反省はしてなかった。
「先輩と俺は付き合ってもイケると思います」
「うるさい、この強姦野郎が」
「いえ、先輩も合意してました、最初だけですよ、それお隣さんが認めてくれると思いますよ」
「……お前な、引っ越す羽目になったら許さないからな」
「大丈夫です、先輩の引っ越し先は俺の部屋だから」
「何が悲しくて、強姦した相手の部屋に住まわなきゃいけないんだ。馬鹿か」
 あくまで角松は合意といい、橋野はクスリのせいであり、後半は自分の意志ですらなかったという。クスリを使われておかしくなっているのを襲われたわけだから、橋野の正論なのだが、それを角松は言う。
「そのクスリでおかしくなるっていうのは、たぶん認められないと思いますよ、症例は先輩だけで実験経過を調べたりして初めて証拠になるんです。ですから、先輩はクスリを飲んでセックスしたくなる気分になったのを研究員に見て貰って、さらには犯して貰わないといけないんですよ。そんなの先輩が受けるわけないじゃないですか。あんな痴態を大勢に見られながら絶頂しまくるのを記録されるなんて屈辱をね」
「……うるさい」
 確かにその通りで、もし橋野が角松を訴えるなら、それを証明しなければならない。それはできることではないし、そうしたところで角松は橋野を犯したのは、その薬のせいだと証明するだろう。もちろん橋野を犯すことを条件にだ。
 そうすれば二人でセックスに狂っているところを国の研究所に記録されて、死んでも尚症例として一生残ることになるのだ。
 そんなの一族の恥どころの話ではない。
「……はあ、何でお前までこの薬でおかしくなってんかね……」
「俺は凄くよかったので、また使いたいです」
「馬鹿言ってんじゃない。こんな危険な薬、使うたびにあんなんじゃ、そのうちセックス中に死ぬぞ」
「ああ、腹上死ってやつですね。よくあるらしいですよ。テクノブレイクとかも」
「……冗談じゃない。とにかく、これは捨てる。ちょっと効かないけど、別のクスリを出して貰うから、もう絶対にないからな」
 橋野がそう言ってゴミ箱に一ヶ月分のクスリを捨てた。
 クスリの効果は切れたので、橋野はドラッグストアで買ってきたものを飲んでいる。あんまり効かないがないよりはマシだ。
 そう思っていたのだが、そのクスリも何だかおかしい。
「あ、先輩。明日ですけど……」
 そう角松が話を振ると、橋野が赤い顔をしている。
「先輩、気分でも悪いんですか……ああ、寒かったから風邪でも引いたかな?」
 そう言いながら角松が橋野の額に触れた時だった。
「ああっんっはああんっ」
 橋野が嬌声を上げた。
「……え? 先輩?」
 驚いた角松が橋野の肩を掴んで橋野の顔を覗き込んだ。すると橋野は身体を震わせながら言った。
「市販のでも駄目ってんっことんあっ」
 クスリが効き始めてきたら、効き目は弱めだが同じ事が起こった。
 すると角松はそのクスリを掴んで三つほどシートから外して自ら飲んだ。
「……なに、やって……んの……」
「いや、これで先輩とまたセックスするんですよ? ああよかった、市販の薬ならいつでも買えますよね? これでキメてセックスを楽しみましょうよ。あれよりは効きは弱いだろうから死にはしませんよ」
 平然と言う角松を振り払うも角松は本気で、橋野を掴んで抱き抱えた。
「こら……本気でヤバイってば……んああんっ」
「今度は俺のうちに行きましょう。ここはせっかく綺麗にしたばかりですしね」
「やらあっ……もっやらってば……んああっはあんっ」
「動くと絶頂しちゃいますから、人前でイキたくなかったら大人しくしててくださいね」
 そう言うと角松は橋野を連れて部屋を出た。橋野はさすがに暴れたが、段々とクスリの効果が出始めていて、動くだけで射精をしそうになる。だから大人しくしているしかなく、そのまま角松の自宅に連れ込まれた。
「さあ、好きなだけやりましょうね。大丈夫、防音が凄いから声は絶対に漏れないですよ」
「も、好きにしろ……くそがっ」
 開き直った角松には敵うわけもなく、橋野は早々に降参して諦めた。
 その夜、角松は橋野を朝まで抱き、朝になると逃げそうになる橋野に病院で貰って捨てたはずのクスリを食事に混ぜて橋野に食べさせた。
 効き目が切れそうになると、クスリを足されてしまい、橋野は角松の陰謀から抜け出せずに春休みを角松と過ごすことになってしまった。
 そしてずるずるとセックスを繰り返しているうちに、花粉症の時期が終わり、クスリを飲まなくなったのだが、それでも体調の変化のせいで二人はお互いの匂いですぐに興奮するようになってしまい、未だにセックスをする関係のまま大学を卒業した。
 橋野は角松の手によって角松グループの秘書として研修を受ける羽目になり、さらには一年後に入社した角松の秘書の一人にされた。
 部屋はまだあの時のままであるが、橋野はほぼ角松の家で寝起きしている。
 それを周りは付き合っているというんだろうと言うのだが、角松はそうだと言うし、周りもそうだろうというのだが、橋野だけが意地で認めないまま続いている。
 絆(ほだ)されたのが悔しいだけの意地なので、身体の関係が続いている以上、二人はちゃんと幸せなのである。