R18Dreamnovel

Butterfly

 旅行先は、軽井沢の別荘だった。
 ゼミの先輩が旅行へ誘ってくれ、泊まる所も別荘を借りた。その方が割り勘でホテル代よりも安く済むからという理由からだった。
 しかし浮いた分はもちろん酒に消える。
 飲んで騒いでをしたがために、ホテルでは注意を受けるかもしれない。その辺は代々やってきた飲み会の結果、ゼミでホテルと取ると断れるのだという。
 別荘はわざと周りに別荘がない場所を選んだ。
 その方が騒げるし、周りに迷惑もかけない。そういう理由だ。
 三日間借り、そこには一日だけ泊まりにくる人や、三日間泊まり込んで飲みまくる人など様々だ。
 そんな中、大羽は三日間、泊まることにした。
 バイトが一段落して暇をしているのを先輩に捕まったからだ。
「掃除とか、人手がいるんで!」
 そう言ってきたのは、幹事の補佐をしている乙藤先輩だ。
 乙藤は、華奢な体つきのアイドルばりに顔の整った人だった。だから女子には人気があったのだが、乙藤はゲイだった。
 それでも女子は「私が先輩を元に戻してあげる」といい近づいては玉砕するという現象が毎年起こっているほどである。
 そんな乙藤は、さわやかな顔とか裏腹に、性欲の高い人だった。
 ゼミの人間は殆どが乙藤とセックスをしたことがあり、大羽のようにまだの人間の方が少ない。しかし大体が一回、二回くらいすると、乙藤が飽きてしまうのだという。
 数人の先輩だけが、先輩風を吹かせて乙藤に迫って、何回もやらせてもらっているという状況だ。
 大羽は、そんな乙藤の噂を鵜呑みにするのは、よくないと思っていた。
 その旅行までは――――――。


 旅行の初日。
 乙藤と買い出しに行き、他のゼミの人間よりも早く別荘に着いて準備をしていると、 さっそく幹事の先輩と乙藤が消えた。
 大羽は料理を担当していたのだが、味見をして貰おうと乙藤を探していて、外へ出た時に、山の中で乙藤と先輩がセックスをしているところを目撃してしまう。
「あぁ……っ、せんぱっ……、せんぱっ……おっきぃっ!」
 乙藤が木にしがみつくようにし、尻を付きだしているのを、幹事の先輩が後ろから激しく腰を振って、ペニスを乙藤のアナルに突っ込んでいる。
「ひぁあぁあんっ! せんぱっ……せんぱぃ……っ! らめ、強過ぎ……っ!」
 突かれるたびに乙藤は嬌声を上げ、口から涎を出している。
「このっ……淫乱……っ 中がとろっとろじゃねえかっ!」
「あっ! ぁひっ、ひんっ! せんぱぃ……っあっあっ、い……っ、いいっ……っ」
「本当に、お前はどうしようもないなっ」
「はっん……ふっ!……はぁっ! ぁ、あん……ぁ、あぁんっ!」
 躰を支えきれないほど乙藤は、幹事の先輩に乱暴に扱われながらも、嬌声を上げて、気持ちがいいと口にした。
 その時であった。
 嬌声を上げている乙藤大羽が目が合ったのだ。
「っ――!!」
 さすがに驚いたが、乙藤はふっと笑って、シッと口に人差し指を当てた。
 幹事の先輩は気付いておらず、必死に腰を振っている。
 どうやら、翻弄されているのは幹事の先輩の方で、乙藤の方には笑うほどの余裕があるようだった。
 パンパンと激しい音がして、幹事の先輩が達した。
「ふぁあっ! やぁ――ひぁっ、あぁああんっ!」
 乙藤も達したのを見た大羽は、慌ててその場を逃げ出した。  

 逃げ出した大羽はトイレに駆け込み、自分のペニスを見た。
 完全に勃起して、先走りさえ出ている。
 あの乙藤のいやらしい腰使いや、艶めかしい姿に勃起したのだ。
 躰は正直で、駄目だと思ってもどうにもなってくれない。
「……はあ。なんで……」
 むなしいなと思いながら、仕方ないので扱くしかないのかと溜め息を吐いたところ、コンコンとトイレのドアがノックされた。
「……うあっ……入ってます!」
「いいから開けて?」
 ノックをしてきたのは乙藤だった。
 どうやら行為は終わって、幹事の先輩とは別れたところだったらしい。
「いや、あの」
「じゃ、開けるね」
 そう言うと、乙藤は器用に外からトイレの鍵を開けてきた。
「うっえっ? ええっ!」
 びっくりして、大羽は便器に座ってしまった。まだ便座は上げてなかったので、ちょうどよかった。
 前を見ると、乙藤がドアを開けていて、すぐさまトイレに入ってきた。
「あの……乙藤さん……?」
 唖然として乙藤を見ていると、乙藤の視線は下を向いている。
「あは、やっぱり大きいね……おちんぽ」
 乙藤は嬉しそうに言った。
 勃起したままのペニスは、座っていても起ちっぱなしで、この驚きにも萎えていなかった。
「うわっ!」
「隠さない隠さない。見せて、そのガチガチに勃起しているおちんぽを」
 必死に手で隠そうとするのだが、その手を乙藤が止める。
「お、乙藤さん!?」
「シーッ、静かにしないと、幹事に気付かれるよ」
 そう言われて、大羽は口を自分の手で塞いだ。だからさっきまでペニスを隠そうとした手が離れ、ペニスがむき出しになった。
 すると乙藤がその場に座り込み、大羽の足を広げて、ペニスに顔を近付けている。
「お、……乙藤……さ……んんんん」
 乙藤大羽のペニスを勢いよくパクリと口に咥えた。
「んく……っく、ぅ……」
 乙藤はペニスを口で扱き、指でも撫でてくる。
「んふっおおきいっ……いい……大きくて……すてき……大羽のおちんぽっおいしっ」
 乙藤がそう言いながら、大羽のペニスを舐めて、亀頭などもしっかりと舌を絡めてくる。
 乙藤のフェラチオは、それは上手かった。腰が抜けそうなほどの舌使いで、更には口で扱かれると天国にでもいるのかと思えたほどだった。
 さすがにあの噂通りで、慣れているのだろう。
「んっ……ぁっ……ふ、あぁん……おちんぽっ精液っもっと出して……んふふっ」
「ぅあ、ぁ…っ!」
 さすがにフェラチオには耐えられなかった。
 大羽乙藤も頭を抱えて、腰を自分で振って、乙藤の口内で射精をした。
「んん!? んぅーっ!」
 乙藤は満足そうに、大羽の精液を喉を鳴らして飲み、残滓も綺麗に舐め取っていく。
「……んは、いっぱい……でたね……んふ。ごちそうさまっ」
 乙藤はそう言うと、口を拭ってからすぐにトイレから出て行った。
 呆然と取り残された大羽は、乙藤のフェラチオを思い出して、また勃起をしていた。
「んんぅっ……、な、んで……っ?」
 結局、自分でも抜かなければならなかったが、今度は乙藤のフェラチオをしっかりと思い出しながら、ペニスを扱いてやるとあっという間に大羽は射精をした。
 二回目だと言うのに、どっぷりと出た精液を大羽は溜め息と共にトイレに流したのだった。


2
 夜にはゼミの人間達が十人ほどが到着し、宴会となった。
 用意した料理は、あっという間に消えてしまい、大羽は追加のつまみを作ることに専念した。
 まだ未成年である大羽は、できれば飲みたくはないと言ったので、料理を作る方へ役割を振ってくれたのだが、消費の多さから多忙になってきて、なるほどそういうことかと大羽は納得していた。
 買ってくるわけにもいかない距離にあるコンビニや店、夜中に行くわけにもいかないので、食料を大量に買い込み、作り込むことで持たせた方が安上がりなのだ。
 余り凝ったモノを作ると、面倒なので簡単に炒めたり、焼いたりしただけで出せるものを用意していると、そこに乙藤がやってきた。
「……あ……」
 大羽は一瞬、戸惑ったが、その時の乙藤の様子は少し真剣だった。
「ちょっと、隠れるところ、ない?」
「……えっと、テーブルの下とか?」
 乙藤の問いにテーブルクロスを掛けているが、椅子が全て、料理の材料の物置と化しているテーブルを指さしたら、乙藤は礼を言った。
「ありがと!」
 すぐにテーブルの下に潜り込んで隠れると、ちょうどドアが開いて幹事の先輩が入ってきた。
 ニヤリと笑っていた幹事の先輩の顔が、大羽と視線が合って、驚いた顔になった。
けれど、すぐに笑顔になると言った。
「わりぃな、大羽。でも料理、美味しいぜ」
 幹事の先輩がそう言って入ってきた。
 大羽はすぐに察した。
「あの、できた料理を運んでくれませんか? 持ちきれなくて……」
 大羽がそう言うと、幹事の先輩はハッとしたようにして笑った。
「お、おう。そうだな、よし運ぼう」
 そう言うと、二皿を持って台所を出て行く。
「すみません、もう少しここにいてください。料理を運んできますから」
 そう乙藤に言うと、大羽は同じように料理を運んでいき、酒のケースも運んだ。そしてその料理が今日の最後である事を告げて、空になった皿を持って台所に引きこもった。
 一応、鍵があったので台所に鍵を掛けてはいってくると、乙藤はそのまま待っていてくれて、テーブルの下から這い出てきた。
「あー助かった……ふう」
 乙藤はそう言うと、膝の埃を払い、大羽が自分用に置いてあった椅子に座った。
「どうしたんですか? 先輩と何か?」
 察してはいるが、違うかもしれないので乙藤に聞いた。
 理由を聞かれた乙藤は、少し溜め息を吐いてから言った。
「あー……うん、まあ。しくじったから自業自得なんだけど……」
 どうやら、昼間のことが関係していそうだ。
「ほら、昼にしてたじゃん。前からやりたいって誘われていてさ。でも、なんかしつこそうだし、避けてたんだけど……結局やったわけ。そしたら、俺のことを自分のモノだって思い込んじゃって……あちこちでやろうとしてくるわけ」
 そう乙藤が言ったので、大羽は溜め息を吐いて言った。
「自業自得ですね、本当に」
 そう冷たく言い放つと、乙藤は一瞬だけ傷ついた顔をしてから、苦笑した。
「だよな……はぁ、上手くやってきたつもりだったのになぁ」
「上手くできなかったから、そういう目に遭っているんです。俺が言えた義理ではないですが、これからは自重した方がいいんじゃないですか?」
 大羽はそう言った。
 誰彼構わず手を出していれば、いつかは幹事の先輩のように独占欲の強い相手にぶつかりもするだろう。それに大羽にしたようにちょっかいを出したりしていれば、勘違いをする輩は高確率で現れるだろう。
「とにかく、なるべく人と一緒にいた方がいいですよ。あの先輩、前の彼女をストーカーしていたって噂がある人ですから」
 幹事の先輩は、普段はいい人なのだが、執着を見せると酷い独占欲を発揮する人だった。普段の姿が善人なので、誰もなかなか信じようとはしないが、同じ小学校から知っている大羽は、先輩のしてきた事実をその目で見てきたので、厄介な人だということは知っている。
「マジで? うわーっ」
 まさかそんな人だとは思ってもいなかったようで、さすがの乙藤も厳しい顔をしている。
「なあ、ちょっと提案、いいか?」
 そう乙藤が言い出した。
「いやですよ」
 大羽はすぐにそう返した。
「聞く前に断るなよ」
「聞いても俺にメリットがない話なのは分かります」
 大羽はそう言いながら、洗い物を始める。溜まっている食器は山ほど持ってきたからだ。片付けていかないと、深夜までかかってしまう。
 冷たい大羽乙藤は、苛立ったように大羽の後ろから抱きついた。
「お前……本当に……もうっ」
「ちょっと、やめてください……なにやって……」
 大羽が泡まみれの手で食器を持っていることをいいことに、乙藤大羽に抱きついたまま、ズボンの前のファスナーを開けて、大羽のペニスを取り出している。
「いい加減に……」
「しないよっ」
 意地になった乙藤が、大羽のペニスをしっかりと手に持って扱き始める。
「んっくっん……!」
 持っていた食器を流しの桶の中に落とした。
「ふふっ……生理現象って怖いね、大羽……ふっやっぱり……立派なおちんぽだね……ふふ」
 背中で興奮したような乙藤の息遣いが聞こえる。
「なんだって……もう、こんなこと……ふっん」
 大羽は流しの縁を手で握って、乙藤の行為に耐えようとしているが、抵抗ができないでいた。
「何故って? そんなの決まってる。お前とセックスがしたいんだよ」
「ふ、ん……っ こりたんじゃないんですかっ」
「意地悪な大羽が悪い」
「俺は……っ こういう関係はっ、いやなんです……っ」
 大羽はそう言いながらも、乙藤の手管で、射精をしていた。
 流し台の壁に大羽の精液が飛び散り、それが垂れている。
「……はぁ……いい加減にしてください……っ」
 そう言った大羽は泣いていた。
 背中にくっついていた乙藤は、まさかと思い、大羽から離れる。
 振り返った大羽は、涙を流しながら言った。
「あんた、最低だ……」
 大羽はそう言うと、ズボンの中にペニスを仕舞い、そのまま台所の裏口から外へと飛び出していった。
 まさか、泣かれるとは思わなかった乙藤は呆気にとられた後。
「あ、大羽っ! 待って!」
 飛び出した大羽の後を追って裏口から出た。
 
3
 大羽はすぐ裏の森の中に走っていったが、余りにも暗い森の中で、すぐに足が止まってしまった。
 内部の人間に泣いているのを見られるのがいやだったので外へ逃げたが、夜の暗さを嘗めていた。明るいところから暗いところに出て、走れるのは明かりがあるところだけである。家の周辺にある街灯以外、ここには明かりと呼べるものは存在しない。
 昼間に通った道も、遠くの街灯があるだけで、道がそこにあるのかさえ定かではない。
 月明かりでも限界の暗さに、逃げる道を失った大羽だが、そこへ乙藤がやってきた。
「……大羽……」
「……なんですか?」
 大羽は逃げるに逃げられなくなり、乙藤と向き合う形になった。涙がまだ溢れていて、腕を上げてTシャツの袖で拭いた。
 それでも涙が溢れてくる大羽を見ながら、乙藤は何故かときめいた。
 エッチなことをされて、その後を要求する人間にしかあったことがなかった。まさか、手淫で達したことで泣かれるなんて、初めてだったのだ。それが新鮮で、そして泣く大羽は可愛かった。
 身長が百八十はある男に言う言葉ではなかったが、大羽にちょっかいを掛けていた理由が少し思い当たったのだ。
 乙藤は、大羽のことが気になっていた。噂を聞いても、決して手を出してくるわけでもなく、エッチな言葉を口にもせず、ただ乙藤を先輩だと慕ってくれて、態度は一切変わらずにいる後輩が、それまでの人とは違いすぎて、衝撃だったのだ。
「なんで……泣くんだ?」
「悔しいからですっ」
 理由を聞くと、悔しいと言われた。
 乙藤は更に尋ねた。
「何が悔しくて泣くんだ?」
「屈辱的で恥ずかしい。でもこんなことされても、あなたのことが……好きだからです……っ」
 まっすぐに乙藤を見つめて、大羽乙藤に告白をした。
 それはとても純粋に乙藤を思っていた、大羽の大事な言葉であった。
「……好き……?」
 耳から入ってきた言葉に、乙藤は戸惑った。
 久々だった。こういう風に真っ直ぐに好きだと言ってくれた人間は。
 最初の恋人だった人くらいだ。こういう真っ直ぐな感情を向けてくれたのは。その人はもういない。二度と乙藤を抱くことさえない。それが悲しくて行為に溺れた。
 そうすれば、全部忘れられた。
 そんな熱さが大羽にある。
 最初の恋人も大羽のような、真っ直ぐな人だったから、大羽に惹かれた理由も、この時思い当たる。
「俺はあなたが好きです。だから噂も信じなかった。けど、あなたは本当に噂通りで、どうしようもなかった……。悔しいです。俺にあなたを止める権利も義務も何もありはしないことが、悔しいです」 
 大羽はそう言って、顔を歪ませて泣いている。
 想像だにしなかった言葉で悔しいと言われ、てっきりあんなことをしたので失望されたのかと思っていただけに、乙藤は更にときめく。
 無理強いして止めることはしない大羽は、乙藤を止めるのに自分は相応しい立場や資格はないと自覚している。
 確かに、大羽乙藤の行動を制限するように止めていたとすれば、乙藤はここまで大羽に興味は抱かなかった。
 大羽が、自分の立場を理解した上で、乙藤の行動に不満はあれど、制限する行動にでないのは、乙藤が好きでしていることだからと認めているからだ。
 乙藤が望んではいない行動を、大羽が取るわけにはいかなかったのだ。
 だから、乙藤大羽に手を出したことには戸惑ってはいても、乙藤を好きな大羽からすれば、願ったり叶ったりな状況で、拒否する必要はなかったことなのだ。
 けれど心が付いてこなかった。
 大羽は、乙藤にそこらにいる男の肉棒と同じ扱いをされたことにショックを受け、これ以上、乙藤に近づくのはやめようとしていた。
 乙藤に望むことは、恋人になりたいであり、そうでなければ、大学の良き先輩でいてほしかった。
 その二つが既に絶たれてしまったわけだ。
「こんなこと言いたくはないのですが……俺を恋人にしてくれないなら、もう俺にちょっかいを出すのをやめてください。俺はあなたほど強くはないし、割り切って生きていくこともできません。お願いします」
 大羽がそう言い切った。
 その言葉に、乙藤は息を呑んだ。
 真面目で、とても誠実な告白であるその言葉は、乙藤の一切を拒否する宣言でもあった。
断るなら二度と良き先輩としても、大羽とは付き合えない。
 大羽は宣言した通りに乙藤を無視して生きていくのだろう。そして乙藤を忘れ、自分を大切にしてくれる恋人と結婚をする。
 乙藤はここで大羽に対して、頷かなければならなかった。しかし、乙藤は動揺して言っていた。
「やだっ」
 むすっとした顔をしている乙藤
「……へ?」
「俺はお前にちょっかいをかけるし、そのおちんぽを俺の中に入れるまで諦めないからなっ!」
 乙藤はそう言うと、大羽の腕を引っ張って、森の奥へと入っていく。
「……な、何言ってるんですかっ! てかっ何してるんですか!」
 外で大きく騒いでいるが、部屋の中からは大きな音楽の音がドスドスと重低音を響かせていて、中にいる人間には、二人の喧嘩は聞こえていなかった。
 大羽は、乙藤を振り払うことはできずに、そのまま森の奥へと連れて行かれる。
 すると、暗かった森の中に月の光が届いた場所がある。ちょうど雲が晴れたのか、顔の表情が分かるくらいの明るさになった。
 乙藤はそこまでくると、いきなり服を脱ぎ始める。
「な、何をやってるんですかっ! 乙藤さんっ!」
 止めようとしても、既に脱いだ服を乙藤はその辺に投げてしまう。投げ捨てた。
「何って、見て。ほら、美味しそうな乳首でしょ?」
「……っ!」
 ビクリと大羽の動きが止まる。
「こうやって、指で摘まんで……ああっん。両手で、捏ねてっんっあっほら見て……もう勃起しちゃった……んふっ」
 乙藤は自分で乳首オナニーを始めて、そのオナニーでペニスを勃起させて見せた。ユラユラと揺れる勃起したペニス。踊るように腰をくねらせている躰付きに、大羽は眩暈がしそうなほどだった。
 それを見ているだけで、大羽のペニスはズボンの中で勃起している。
 乙藤は、大羽のズボンを無理矢理に脱がし、ペニスを取り出してしまう。
「だ、駄目ですっ乙藤さんっ!」
 大羽乙藤に対して強く拒否できないことを、乙藤はいいように利用した。決して突き飛ばしたり、乱暴に拒否ができない。そうした時に乙藤が怪我をするかもしれないと気を遣っているからだ。
「う……、ぅ……っ」
 乙藤は、取り出した大羽のペニスをすぐに扱き始める。
「ぅ、っ……!」
「大きくて……美味しそうな……んふっんふうっ」
 乙藤は待ちきれないとばかりに、大羽のペニスを咥えた。
そそり起ったペニスをしっかりと勃起させ、夢中で扱いた。
「ああっ凶悪な……おちんぽ……ああっん……ふっんふっんんんっ」
 しつこいほど舐めて濡らし、大羽が我慢できずに乙藤の頭を手で掴んだ。
 しかしそれは拒むものではなく、押しつけるそれで、腰を使って乙藤の口にペニスの挿入を繰り返した。
「んぐぅ……っん、んっ、んぁ…くっん、ぶちゅ……っくち、むちゅっ」
 激しい水音が周りに響いている。グチョグチョと鳴っている音は闇夜に響いているが、それを聞いているモノはいない。
「――っ!」
「ん! ……っぶ、んぶ……んぐっ!」
 とうとう大羽が達した。精液が乙藤の口内に射精され、それを乙藤はゴクゴクと喉を鳴らして飲み込んでいる。
 そして少し萎えていくペニスを、しっかりと起たせるようにまた口淫をする。
 また勃起してガチガチになった大羽のペニスから口を離すと、乙藤は側になった木に手を当て、腰を大羽に突きだしてから言った。
「その凶悪なおちんぽぉっを……俺の、ケツま○こにいれてぇっ奥までいっぱい突いて……っおちんぽで、俺を虜にして……そしたら、恋人になれるかも……しれな……」
 その台詞を乙藤が言い終える前に、大羽が動いていた。
 さっきまでの消極的な態度とは違い、目の色を変えて乙藤の腰を掴むと、乙藤のアナルにペニスの先端を宛がった。
「このペニスで、乙藤さんを夢中にさせたら、恋人になってくれるって本当に約束してくれますか?」
「しなかったら?」
「やめます」
 そう言ってはいるが、入れたくて仕方がないように、大羽のペニスはしっかりと乙藤のアナルに押しつけている。
「……約束はするけど、やってみて駄目だったら、なしにするかもしれない」
 乙藤はちょっと怖くなってそう言っていた。
 大羽のさっきまでの態度と違い、飢えた熊のようにゼーゼーッと荒い息をして尋ねてくる様子が、何か言ってはいけないことを言ったのではないかという気にさせたのだ。
 その予感は、当たっていた。
 
 4
「俺をセックス経験がない、童貞だと思っているんでしょうが。残念ながら、彼女に振られた原因の全てが、性の不一致なんですよ」
 そう大羽がふっと笑って言い出した。
「……え?」
「大きなペニスと性欲、そして俺の絶倫に限界だから、別れてほしいって言われたんですよ。今年に入って三人目にねっ!」
 そう言った大羽の瞳が暗闇で光ったように見えた。次の瞬間、大羽が一気に乙藤のアナルにペニスを突き入れた。
「えっ……ちょっ、待ってっああああぁんっ!」
 大羽のペニスは半分ほど入ったところで、入りきらずに止まった。
「あ゛ひぃぃんっ!! やっああああっあっんぁあっうそっおおきすぎっるっあっ!」
 あまりの大きさに、咥えている時よりも大きく膨らんでいることに、乙藤は気付いた。
「入れるっ瞬間に……大きくなるっのっずるいっんぁあっさぎっ」
「……ふっ乙藤さんも、使い込んでいる割には、中、すごくキツいですね……ふっ全部入ってないんですけど……」
「うそ――ああっ!! あ゛あああぁっあひっあひぃっ! あっあんっあんっあぁあんっ!!」
 入っている部分だけで、出し入れを開始する大羽に、乙藤はしくじったと思った。
「あぁっ! あっあひぃっ……すごっあんっ! はぁっあぁんっ!」
 ゆるりとした動きだったが、中の圧迫感が酷くあった。けれどもそれまでの誰のペニスとも違う、全体的に大きいペニスでありながら、長さまでもある大羽のペニスは、多分大きいと紹介されている巨根と言われる部類に属していると言っていい。
 舐めただけで勃起した時よりも一回りも違う大きさになるなんて、本当に詐欺としかいいようがない。彼女たちも逃げてしまうと大羽が大口を叩いていたと思ったが、間違いなくこれが原因だ。女性ではこれは耐えられない太さである。
「ひあああぁんっ! やぁっやらっあっあんっはぁあっ!」
 大羽が突くごとに、ドンドンとペニスが奥まで入り込もうとして、内壁を押し開いている。明らかに他の誰も入ったことがない深さまできていて、乙藤は眩暈がしそうなほどに感じ、躰を震わせた。
「どう、ですか。俺のペニス……ふっやっと奥まで入りましたよ……」
 根元までペニスが入ってしまうと、大羽は一旦動きを止めた。
「あふっ……あ、ぁあ……っ、……あああっ、あぁん……っ、ん、ぅ……奥までっきてんっあっ……んふっんっいいっ!」
 填めているだけでイケそうなほど、未知の経験に乙藤は、ハマったら抜けられないかもしれないという恐怖を味わった。
 それでも乙藤の頭は快楽には従順になっていて、口から出てきた言葉は淫語しかなかった。
「はぁ、はぁ……ほしい、硬くて、おっきくて、ビクビクしてるおち○ぽ……おれのケツま○こに……いっぱいハメハメしてほしいっ……はぁっ……」
 きっと狂ってしまう。そう感じたが、あり得ない絶頂を味合わないではいられない。それくらいに乙藤はセックスが好きな淫乱だった。
 大羽はそれを聞くと、もう返事を待たずに、挿入を繰り返した。
「あぁああっああぁあ……っ! 大羽のっおちんぽ……奥まで……っ奥まできてるっ……いいっ…あぁあっ! おちんぽっ、きもち……っ、きもちぃっ──っ!」
今までに培った、淫語を無意識に口にして叫んでいた。それまでは計算して言えていたのだが、今はいいと思うことを口にしたら、こんなことになってしまっている。
 大羽はそれに舌打ちをした。淫語を言ってほしいわけじゃなかったけれど、今までの経験で得たものが口からでているのが悔しいのだ。
「ぁあっ……あっ……あっ……きもちぃ……っ、おちんぽっきもちぃよぉ……っ!」
「誰のが気持ちいいんですかっ!」
「ふゃっ…! ああっ、大羽のっ……大羽のおちんぽっあ……っ! あっあっ、大羽のおちんぽっきもちいい……っ!」
「啓悟(けいご)と言ってください……っ!」
「啓悟(けいご)のっ! あっあっ、啓悟(けいご)のっおちんぽぉっ……啓悟(けいご)のおちんぽっぉお……っ! 啓悟(けいご)のおちんぽっきもちいい……っ! いいっああぁあっ!」
 大羽の要求を乙藤はあっさり受け取り、名前を口にした。それに対して大羽は満足して、乙藤の耳元で言った。
「悠里(ゆうり)の中も……とろとろなのに、キツくて、気持ちいいです……はぁはぁっ悠里(ゆうり)……いいっ」
「ひあっ、あっあっ出るっ、あっふあっあ゛あーっ……っ!」
 不意に名前の方を耳元で呼ばれ、乙藤はびっくりして絶頂をした。
「ああっだめっ、動いたらっ……あ゛っあ゛っああーっ!」
 絶頂をしているのに、大羽の腰は止まらない。深く犯されて、乙藤は連続で絶頂を迎えた。
「ああぁっ、ああっ、ゃあ……っ!」
「まだまだこれからですよ……、俺、持続も割と長い方なんですよね……」
 大羽はそう言う。
「え……うそ……っ」
 二度目の絶頂で崩れた躰を、後ろから大羽が腕を引っ張って体勢を保っている。この体勢になると、もう少し奥までペニスが挿入される。
「ひああっ、もっ、そこだめぇっ……あっああっ……あっ!」
 暴発しそうなほど膨らんだ大羽のペニスが、奥までぐぐっと入り込んでくる。
「あっあっあっあんっあんっ……やっあひっうっああーっ……」
「天国を見せてあげますよ」
「ああっだめっ、動いたらっ……あ゛っあ゛っあああーっ!」
 また乙藤が達する。ビューッビューッと精液とも尿とも、区別の付かない液体をペニスから吐き出しながら、大羽に後ろから突かれまくり、それが止まらないほどの絶頂を味わっている。
「何が駄目なんですっ? 気持ちいいでしょ……っ」
「んっあっい゛いっ、よすぎっよすぎてっだめになっちゃうっ……啓悟(けいご)のっおちんぽっいいのぉっあっひっおっああっ」
 とうとう放尿までした。セックスになれている乙藤は、放尿はしたことはさすがになかった。だが、気持ち良すぎて漏らすこともあるのだと知った。
「いっちゃっ…あっあっ、いってるっ……啓悟(けいご)のっデカいおちんぽっで、んっいってるっはぁっ、お尻をっ、ごりごり犯されてっ……あっあんっ……いっちゃったっ、またっでてるっ……あっあんっ! あぁああっ!」
 今度は潮を吹いた。尿よりも勢いよく、透明な液体がペニスから吹き出ている。
「……っ、ギチギチに締め付けてきて……はっ、どれだけ咥え込みたいんですか……っ」
「あぁあんっ! 啓悟(けいご)っきもちぃっ……! きもちぃよぉ…っ! ひぁあんっ!! ふぁっ、おちんぽいいっ、すごいよぉっああっ……こわれるっああっんっ!」
 周りには乙藤の嬌声と、挿入の水音のようなグチャグチャという音、そしてパンパンと腰を打ち付ける音が響いている。
「種付けしまくってあげますよっ……孕んで下さいっ悠里(ゆうり)っんんっ!」
「ああぁんっ! らめっあっあぁっあっ、やぁあっいくっいくっ……あああぁーっ……っ!!」
 乙藤は全身を震わせて絶頂をした。
 アナルの奥で大羽の精液を受け止める感触に、思わず笑みを浮かべてしまうほど、心地よくて癖になりそうだった。
 大好きなペニスで狂わされる人生も悪くはないかもしれない。そうその時は思った。


 その夜、大羽の宣言通りに、絶倫である大羽が二度目に達する頃には、乙藤は完全に自分では何もできなくなっていた。
 大羽の上に跨がったまま、下から容赦なく突き上げられ、最後の絶頂を迎えた時には目の前が真っ白になって、声にならない悲鳴を上げて気絶をした。


 翌日、乙藤が目を醒ますと、いつの間にか別荘の部屋のベッドで寝ていた。
ハッとして乙藤が起きると同時に部屋のドアが開いた。
「あ、乙藤さん、起きました?」
お盆に食事を載せて、大羽が部屋に入ってきて、ベッドサイドにそれを置いた。それからベッドに腰を掛けて、乙藤の頬に触れた。
「大丈夫ですか? 昨日、ちょっと飛ばしたから、気絶させちゃって」
 そう言われて、乙藤は自分の痴態を思い出す。
 だんだんと顔が赤くなる乙藤に、大羽は心配そうに言った。

「熱が出てきたかな? 顔が赤くなって……」
「……お前……絶倫な上に持久力があるってずるいだろ……」
 真っ赤な顔をして、昨日のことを乙藤が抗議すると、大羽はやっと思い当たったように謝った。
「え? あ、ああ。すみません」
大羽は昨日のことを思い出して、少し照れている。
 それに対して乙藤は、少しときめく。大きな男が、可愛い顔をして照れているのをいいと思ってしまう。
「そうだ。昨日は無理を言いました。泣いて訳分からなくなって、いろいろ迷惑をかけました……忘れてもらっても……」
 そこまで大羽が言ったところで、乙藤大羽の顔に枕を投げつけてから言った。
「……お前の言う通り、お前のおちんぽが良すぎて、他じゃ代用できなくなった……どうしてくれるっ!」
 乙藤がそう言ったものだから、大羽の顔がパッと笑顔になる。
「それじゃ……約束を守ってくれるんですか!?」
「守るも何も……これ、くれるなら、付き合うよ」
 そう乙藤が言いながら、大羽の股間に手を当てて、そこを摩る。
「惚れたの、そこですか?」
「そう、これ。駄目?」
「いいですけど、そこだけだと価値ないですよ」
 少しがっくりきて不満そうな大羽。それに乙藤が笑って言う。
「まあ、そうだが。ちょっと近付け、啓悟(けいご)」
「はい!」
 犬のようにピンと背を伸ばして、大羽が近づいてくる。名前を呼んでくれたのが嬉しいのか、満面の笑みだ。
 その顔を掴んで、乙藤が言った。
「今日もよろしくな、啓悟(けいご)」
 そうして大羽の唇にキスをした。
 それで火が付いた大羽は、乙藤をベッドに押し倒していた。

「……はぁ……はぁ」
「お前の、そういう獣になるところ、ゾクゾクする」
 乙藤はそう言って大羽の股間を撫で。
「これでまた、犯して?」
 そう言った。
 二人は興奮したまま別荘を後にして、駅前のラブホテルに飛び込んだのは言うまでもない。
 乙藤は、その日を境に、淫らな行為は大羽の前だけにして、全てのセックスフレンドと手を切った。

 ちなみにストーカーの幹事の先輩は、その後に来たゼミの後輩の友人の一人とやけくそでデキて、乙藤のことは忘れたという。